メニューはシャンプーとヘアセットのみ！多忙な20、30代の女性に刺さり都内一等地での店舗展開に成功「uruu」オーナー・狩生志保さん
「シャンプーだけ毎日美容院でやってほしい！」誰しもが一度は考えたことではないでしょうか。そんな夢のようなサービスを成功させ、都内を中心にシャンプーセット専門のサロンを7店舗出店しているのが、「uruu」のオーナーであり株式会社Lectureの代表狩生志保さんです。
前編ではシャンプーセットのみのメニューに絞る理由や、店舗展開に向けた計画的な戦略について伺います。
今回、お話を伺ったのは…
狩生志保さん
大分県出身。明星国際ビューティカレッジ卒業後、美容室に勤務。幼いころから起業を目指していたため、美容師としての技術に加え、店舗展開や資金繰りなど経営面についても学ぶ。2015年1月に独立し株式会社Lecture（リクレ）を設立。同年4⽉には⼤分県内初のヘアセット専⾨店とシャンプーブロー専⾨店「uruu」を出店。現在は都内に3店舗、大分と福岡に合計7店舗を展開。
美容とヘルスケア両方にアプローチできるシャンプーを専門にするサロン
癒しを届けるため落ち着いた色や家具で統一した店内
――狩生さんが経営する「uruu」はシャンプーとヘアセットの専門店とのことですが、メニューを絞る理由を教えてください。
とくにシャンプーに特化しているのですが、このメニューは美容とヘルスケア、どちらのニーズも満たせると考えたからです。美容については私自身が自宅でシャンプーやブローをすることがとても面倒だと感じていたことが発案のきっかけでした。今は子どもを育てながら働く女性が増え、私と同じように髪を乾かしている時間なんてない！と嘆く方も多いと思います。そんな方に向けてシャンプーとブローだけ気軽に来ていただけるサービスがあればきっと多くの方に利用していただけるのではないかと思ったんです。
ヘルスケアの面では、以前勤めていたサロンで、白内障や緑内障、レーシック、また美容整形など手術の後に顔を濡らすことができず、シャンプーに困る方が一定数いることを知りました。行きつけの美容院にシャンプーだけお願いしに行くのも気がひけるそうで、そんな方に気軽にきていただける場所を作りたいという思いから事業を進めることにしたんです。
――たとえば別のメニューもいれながらシャンプーを推す、ということは考えなかったのでしょうか？
ほかのメニューを取り入れるメリットをあまり感じられませんでした。オペレーションが増える、原材料や教育の時間がかかるため、メニューを増やしても負荷が増えるだけかな、と。何でもできるサロンはほかにもたくさんあるので、シャンプー専門というニッチなところを攻めることで、わかりやすくお客さまに周知ができていると思います。
それから、サロン内はではカラー剤や美容室のような香りが一切しないのも「uruu」の魅力。シャンプーに使うアロマの香りだけが漂い、本当に癒される空間ができていると思います。
自分の技術を生かしてサロンを持ちたいというよりは、サービスの構成を考えてから起業をしたので、一般的な美容室とは考え方自体が違うのかもしれません。
SNSのインフルエンサーを招待することでターゲット層の来客を促進
セットやメイクのメニューもあるため日常も特別な日も利用が可能
――今までにない形態の店舗とのことで、開業にあたって苦労されたことはありますか？
資金調達については少し苦労しました。初めての業態で商談の相手が男性だったこともあり、シャンプーのみの提供で売上を確保できるということに理解をいただけないことも。しかし私は絶対に世の中の女性に需要があると思っていたので必死に説得を繰り返し、資金調達とオープンに至りました。オープンしてからはすぐに実績が出せたので、2店目以降はスムーズにいって、現在は大分と福岡、東京に7店舗を展開しています。
――オープン後すぐにお客さまが入られたのですか？
はい。3〜6カ月で事業を軌道にのせることを目標に事業計画をたてて、実際半年で黒字になりました。
――そのために行なったことを教えてください。
私たちの会社はまだ資金繰りの関係で大きく広告を打ったり、CMを出したりすることができません。そのため、SNSを使ってサービスを周知するところからはじめました。とくに美容関係のインフルエンサーの方をサロンに招待して感想をあげていただいたことは大きかったと思います。
まだほかにはない新しい形態であること、20〜30代の美容に興味のある方にとっては「行ってみたい！」と思えるサービスであること。この2点から知ってもらえさえすれば来店につながる、来店してもらえれば満足してもらえる、そのお客さまがまたSNSで投稿してくれて新規のお客さまが増える、と好循環が生まれています。お客さまに広めていただいている、という感覚は大きいです。
脳神経外科医監修のもと開発した3つのメニューでリピーターを増やす
シャンプーだけで3種類のメニューを揃える
――「来店してもらえれば満足してもらえる」とのことですが「uruu」のサービスの魅力を教えてください。
「uruu」は医療監修サロンで脳神経外科医の先生に監修をしていただき、独自の洗い方を開発しています。シャンプーのコースが3つに分かれており、1つは一般的なマッサージの洗い方、2つ目はアロマを使い香りとともに癒されるマッサージ、3つ目はツボを押しながらほぐしていく洗い方です。
日々のシャンプーの代わりにきていただきたいと思っているので、気分によって選べるように、また毎日来ても飽きないようにメニューを分けました。サブスクリプションという通い放題のサービスを取り入れていますが、恵比寿店はキャンセル待ちの状態で実際に毎日来てくださるお客さまもたくさんいらっしゃいます。
狩生さんがシャンプー専門店という新規事業を成功させた3つの理由
1.シャンプーに特化し、ほかにはない癒しの空間を作り上げた
2.ターゲットに合わせたメニューや立地を考えた
3.お客さまの日常に寄り添ったサロンづくりでリピーターを増やした
後編では狩生さんが多店舗展開を行う秘訣や経営者として大切にしていることについて伺いました。九州と東京で活躍する裏には家族の支えがあったとのこと。世の中の流れと自分の思いのバランスを上手にとって経営を続けるポイントも教えてくれました。
