高収入も、成長も叶う。学び合いと「個性化」で、美容師の可能性を広げる「WILLLUMINOUS」北村礼央さん
社会保険や休暇制度、固定給による安定を得られる一方で、「業務委託ほどは稼げない」「頑張っても収入が伸びにくい」と思われがちな正社員という働き方。本企画では、そのリアルに迫ります。
今回お話を伺ったのは、東京・阿佐ヶ谷の「WILLLUMINOUS」と東京・鷺ノ宮の「DELIGHT」を展開する北村礼央さんです。
「WILLLUMINOUS」は、経験を積んだ美容師が、年齢を重ねても成長し続けられる場として、北村さんが立ち上げたサロン。正社員サロンの教育やつながりと、シェアサロン並みの高い還元率や休みやすさの両立を目指し、経験者同士の技術交流会や、得意を伸ばすメンター制度を設けています。
平均客単価約1万5000円を実現するブランディングと、店舗全体・個人双方の売上を反映する給与制度によって、チームで支え合いながら収入を伸ばせるのも特徴です。働き方を選ぶ際に二者択一になりがちな「高収入」と「成長」を、どのように両立しているのか伺いました。
今回、お話を伺ったのは…
北村礼央さん
「WILLLUMINOUS」代表
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山野美容専門学校を卒業後、老舗サロンで14年経験を積む。2015年に独立し、「DELIGHT」を開業。2025年には2店舗目となる「WILLLUMINOUS」をオープンさせる。経験者同士が学び合い、個性を伸ばせる環境づくりに力を注ぎ、美容室向けのブランディングセミナーも行う。
顧客ゼロから約1年で月収37万5000円に。支え合いが収入につながる仕組み
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――現在「WILLLUMINOUS」に在籍している正社員スタイリストの収入と、働き方を教えてください。
私以外に、正社員スタイリストが2人在籍しています。もっとも給与が高いスタッフは月22日勤務で、月収約48万円。月に約90人を担当しています。
スタッフ平均は月75人前後、1日3~4人。客単価は約1万4500円で、技術売上は月平均100万円に近づいています。営業時間は9時30分~18時30分で、通常は19時ごろまでに退勤する形です。年間休日は115日で、前年の有休消化率は約90%。4泊5日でバリ島へ社員旅行にも行きました。
――顧客を持たずに入社しても、収入を伸ばせるのでしょうか。
はい。顧客ゼロで入社し、まもなく1年を迎えるスタッフの直近の月収は約37万5000円で、今のペースなら、あと1、2ヶ月で40万円に届くと思います。新規のお客様はこのスタッフに優先的に案内しているほか、フリーのお客様も月に20人ほど担当してもらっています。
月34万円の最低保証も、適用期間の制限なく設けています。そこから指名客を増やしていけば、1年ほどで安定した売上をつくれるはずです。
――平均客単価約1万5000円を実現できている理由はどこにありますか。
理由のひとつは、空間を含めたブランディングです。内装には力を入れており、日本空間デザイン賞2026 Longlist(入選)に選出されました。
私たちは、サロンをただ髪を切る場所とは考えていません。自分へのご褒美や、髪型を変えるワクワク感、楽しい時間、癒やしを求める方もいます。お客様が何を望んでいるのかを見極め、空間・接客・技術を含めた「サロン体験」を提供することが、高い客単価につながっています。
――給与は、どのような仕組みで決まりますか。
個人と店舗全体の売上の両方を反映しています。歩合42%のうち、約20%は店舗売上をスタッフ数で分け、残りの約22%は個人売上に応じて還元する仕組みです。そのため、ほかのスタッフを手伝った仕事も自分の給与につながり、自然と助け合いが生まれます。
社会保険料などの会社負担を含めた総還元率は、55%程度を目指しています。正社員サロンの教育やつながりと、シェアサロン並みの還元率や休みやすさを両立させることが、このサロンのコンセプトです。
教わるだけではなく、教えることで成長。経験者が学び合う環境

――このサロンは経験を積んだ美容師が、成長し続けられる環境を目指してつくられたとお聞きしました。何かきっかけがあったのでしょうか?
お客様の指名が増えて固定化するにつれ、新しい技術や考え方に触れる機会が減っていて、以前より大きく成長できていないと気づいたことがきっかけです。
美容師がやりがいを持ち続けるには、変化や成長が必要です。そこで、キャリアを重ねた美容師同士が交流し、働きながら学べる場所として「WILLLUMINOUS」をつくりました。
――「WILLLUMINOUS」は、スタイリスト同士が互いのヘルプに入っているそうですね。
はい。1人につき同時に2枠の予約を受け、空いている時間はほかのスタッフのシャンプーやカラーを手伝います。私も自分の予約がない日は、1日サポートに回ることがあります。
ほかの美容師の技術を間近で学べるうえ、施術のポイントを伝えることで、自分の技術への理解も深まります。このほか、月1回の技術交流会も設けています。
――どんな内容でしょうか?
他店の店長クラスや、美容師歴15年以上のスタイリスト8~9人ほどが月に1回集まり、技術を共有しあう会です。
毎回ランダムに選ばれた2人が協力して講師を務めるため、異なる強みが掛け合わされ、新しい発想が生まれます。
私は人がもっとも成長するのは、誰かに教えるときだと思っています。伝えるためには、自分の技術を整理し、足りない知識を学び直さなければならないからです。年齢や立場に関係なく教え合えるよう、講師は固定せず、毎回交代しています。
苦手を平均にするより、得意を価値に。個性の先にある夢も支える

――学び合う一方で、全員を同じ型に育てるのではなく、1人ひとりの得意分野を伸ばすことも大切にしているそうですね。
そうですね。私が考える成長は、全員が何でも同じようにできる状態を目指すことではありません。さまざまな技術や考え方に触れながら、自分が興味を持てることや力を発揮できる分野を見つけ、その人にしかない強みへ育てていくことが大切だと思っています。これが私達が重視している「個性化」という考え方です。
基礎技術の習得は前提ですが、苦手をすべて平均点にするより、好きなことや得意なことを、その人にしか提供できない価値へ育てたいと考えています。そのため、伸ばしたい技術に合わせてメンターがつく制度も設けています。
――こうして得意分野を独自の価値に育てた先には、どのようなキャリアを描けるのでしょうか。
個性化を今のサロンワークだけで終わらせず、その人が本当にやりたいことや、将来の夢につなげるところまで支えたいと考えています。
もっとも売上を上げているスタイリストは、将来、地元で自分の事業をつくることが夢です。ヘッドスパが得意なスタッフは、自分の技術や世界観を生かしたスパ専門店を目指しています。私にも、カウンセリングに関するセミナーを全国へ展開する目標があります。
それぞれの目標を共有し、今何に取り組めば次へ進めるのかを一緒に考え、応援しています。成長の先にあるのは店長への昇進だけではありません。得意分野から新しいサービスや事業を生み出し、その人の内側にある「やりたいこと」を形にできる環境をつくりたいです。
――成長がこのサロンのテーマとのことですが、それは年齢を重ねても同じでしょうか?
年齢に関係なく、成長したいという意思があればサポートします。ただ、常に全力で走り続ける必要はありません。疲れたら休み、停滞する時期を経て、また頑張りたいと思えればよいと考えています。
将来「ゆっくり働きたい」と思った場合には、独立を支援することもできます。「WILLLUMINOUS」に在籍し続けることだけが、その人にとってよい道とは限りません。大切にしているのは年齢ではなく、本人に前へ進みたいという意思があるかどうかです。
目先の売上を追うだけでなく、経験を重ねても学び続けられる環境を整え、1人ひとりの個性を将来の夢や挑戦につなげようとする北村さん。
年齢を重ねても成長を続けられる。そこには大きな可能性があると感じました。
「転職は、不安から始まることもあるかもしれません。でも、この記事を読んで、『こういうお店で働いたら、新しい可能性が見つかるかもしれない』と前向きに感じてもらえたら。たとえこの店に応募しなくても、『自分も何か始めてみよう』と思えるきっかけになればうれしいです」という北村さんの言葉が印象的でした。
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WILLLUMINOUS
住所:東京都杉並区阿佐谷北1-31-4 CORETAS ASAGAYA3F
TEL:03-5356-8692
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