「利他の心」で支え合い、気兼ねなく働ける職場へ。正社員で還元率日本一を目指す「粋」島﨑祐介さん

社会保険や休暇制度、固定給による安定が得られる正社員という働き方。その一方で、「業務委託ほどは稼げない」「人間関係のわずらわしさがある」と懸念を抱く人も少なくありません。本企画では、そのリアルに迫ります。

今回お話を伺ったのは、東京を中心に「arts」「terrace」「arts eyesalon」など9店舗を展開する、株式会社粋の代表取締役・島﨑祐介さん。創業以来、美容業界の働き方に向き合い、美容師が安心しながら誇りを持って働き続けられる環境づくりを進めてきました。

同社が目指すのは、「正社員雇用で還元率日本一」。歩合最大48%、平均給与40万円という高還元を実現する一方、マンツーマン施術や自社アカデミーによって人間関係の摩擦を減らし、「利他の心」を日々の行動に根づかせる組織づくりにも力を注いでいます。

2026年には、REJOB AWARDS「エンゲージメント部門 ベストチームセクション」でBRONZE賞も受賞している同社が、スタッフが安心して長く働ける職場を、どのようにつくり上げてきたのか伺います。

今回、お話を伺ったのは…

島﨑祐介さん

株式会社粋 代表取締役社長

美容師としてサロン勤務や業務委託での働き方を経験。現在は株式会社粋の代表として、東京・神奈川を中心に「arts」「terrace」などのサロン9店舗と自社アカデミーを運営し、70名を超えるスタッフを率いる。美容師が安心と誇りを持って働き続けられる環境を目指し、高還元の給与体系や教育制度の整備に取り組んでいる。

無理に仲良くするのではなく、余計な気遣いがいらない職場に

取材に応じる島﨑さん

――島﨑さんが考える「人間関係の良い職場」とは、どのような職場でしょうか。

スタッフが増えれば、考え方や価値観の違いから多少の摩擦は生まれます。そのなかで僕が大切にしているのは、誰かのために必要以上に気を遣ったり、先輩だからという理由で言いたいことを言えなかったりする環境をつくらないことです。

年齢や社歴、役職にかかわらず、1人ひとりが尊重され、お互いをリスペクトできるフラットな組織を目指しています。

無理に仲良くすることが、人間関係の良さだとは考えていません。それぞれが自分らしく働き、余計な人間関係に悩まず、お客様や美容師の仕事に集中できる環境をつくることが会社の役割だと思っています。

――マンツーマン施術や自社アカデミーも、人間関係のストレスを減らすことにつながっていますか。

はい。以前は、アシスタントが複数のスタイリストをヘルプする体制を取り入れていた時期もありました。しかし、誰がアシスタントを使うかで摩擦が生まれたり、上下関係が強くなったりすることがあったんです。夢を持って入社した人が、スタイリストの楽しさを知る前に辞めてしまうことにも、経営者として申し訳なさを感じていました。

そこで全店舗を、スタイリストが最初から最後までお客様を担当するマンツーマン施術に切り替えることにしました。アシスタントは平日にアカデミーで学び、土日に店舗でサロンワークを経験します。教育をアカデミーが担うため、先輩が営業後に残って指導する必要もありません。

教わる側は、営業時間内の8時間を練習に充てられます。指導のばらつきもないため、新卒は半年ほどでデビューでき、アシスタント期間中の離職もほぼありません。

――若手や中途入社のスタッフが、意見や悩みを伝えられる仕組みもありますか。

相談先をひとつに絞らないことが大切だと考えています。本部だけが確認する無記名のスタッフアンケート、アカデミー講師が担うメンター制度、店長との毎月の面談という複数の窓口を設けています。アンケートに寄せられた声から、半日単位で有給休暇を取れる制度を新設したこともありました。

店長も、上から指示を出す「一番偉い人」ではありません。1人ひとりの成長を支え、働きやすい環境をつくる、縁の下の力持ちのような役割です。行き違いが起きたときは双方の話を聞き、誰が悪いかではなく、なぜすれ違ったのかを確認します。店長だけで解決が難しければ、エリアマネージャーが入るようにしています。

「利他の心」を、日々の行動へつなげる

粋で働くスタッフたち。ひとりで成り立つ仕事ではないからこそ、利他の心を大切にしてほしいと島﨑さんは考えているそう

――企業理念に「利他の心」を掲げている背景を教えてください。

美容師は自分の技術や努力がお客様の喜びとして返ってくる、個人の力が見えやすい仕事ではありますが、決して自分ひとりの力だけで成り立つ仕事ではないと考えているからです。店舗や仲間、整った環境があるからこそ、お客様を迎えることができます。

僕自身も、スタッフがいなければ会社を続けることはできません。周りの人を幸せにすることが、結果として自分の幸せにもつながる。その考えを会社として大切にし、スタッフにも還元していきたいと思っています。

――理念を言葉だけで終わらせないために、どのような取り組みをしていますか。

社内アプリに、スタッフ同士で感謝を伝える「サンクスカード」の仕組みを取り入れました。忙しいときに助けてもらったら、その気持ちをカードに込めて相手へ届けます。年に一度、カードを多く受け取った人に加え、多く送った人も表彰しています。

また、サンクスカードとは別に、売上の数字には表れにくい貢献もきちんと評価したいと考えています。そのため、掃除を頑張ったスタッフに贈る賞や、店長を支えてくれたスタッフに店長から贈る「店長賞」も設けています。

こうした姿勢は、日々の仕事にも表れています。子どもの発熱でママさん美容師が急に休むことになったときは、出勤しているスタッフがお客様への連絡や予約変更、担当の引き継ぎまで自発的に対応してくれるんです。会社が命じているわけではなく、困ったときはお互いさまという意識から、こうした行動が自然に生まれています。

採用面接でも、僕たちの考えをきちんと伝えています。会社が一方的に選ぶのではなく、お互いの価値観が合うかを確かめる場にすることが大事だと感じますね。

正社員の安心感と、業務委託に負けない還元率を両立

あるスタッフの給与明細。正社員としての安定を確保しながら、高収入を実現している

――「正社員雇用で還元率日本一を目指す」という方針には、どのような思いがあるのでしょうか。

僕が美容師になった頃は、給料が低く、休みが少なく、拘束時間が長いことが当たり前でした。その環境を変えたくて、僕自身も業務委託で働いた経験があります。ただ業務委託は高い還元を得やすい一方、個人主義になりやすく、教育や社会保険が十分ではない場合もあります。

ですから業務委託に負けない還元率と、正社員ならではの保障や教育、仲間と協力できる環境を両立させたいと考えました。自分の子どもが美容師になったとしても、自信を持って「良い会社だ」と言える会社にしたいと思っています。

――給与体系と、平均月収を教えてください。

スタイリストの歩合は、フリー売上の35~38%、指名売上の45~48%です。売上100万円を超えると、150万円まで段階的に歩合率が上がり、最大48%になります。入社後6ヶ月間は、月25万円の最低保証も設けています。

時短勤務者を除くスタイリストは、月22~23日、1日実働8時間の勤務で、技術売上は平均約100万円。客単価は約1万円で、月に約100人を担当し、平均給与は約40万円です。

――なぜそのような、社員への高い還元率を実現できるのでしょうか。

会社の利益を抑えているためです。それでも成り立つのは、離職が少なく、アカデミーで育った人材が短期間でスタイリストとして活躍しているからだと思います。

さらに、店長と会社が客単価やリピート率、来店周期などを分析し、売上アップに伴走します。頑張った成果が明確な基準で給与に反映されるため、不公平感も生まれにくい環境です。

会社は18年目を迎えましたが、今の形が完成形だとは思っていません。時代やスタッフの声に合わせて変わり続け、みんなでより良い会社をつくっていきたいと思っています。その変化を一緒に楽しめる方に、ぜひ仲間になっていただきたいです。


求人情報に書かれた「人間関係の良さ」は、入社してみなければ分からないと思われがちです。しかし株式会社粋では、マンツーマン施術や自社アカデミー、複数の相談窓口、サンクスカードなど、その考えが一つひとつの仕組みに落とし込まれていました。

さらに、現在の形を完成形とせず、スタッフの声を取り入れながら変化を続けていることも、同社の大きな特徴です。正社員としての安心と高い収入を得ながら、余計な人間関係に悩まず、美容師の仕事に向き合える。そんな環境で長くキャリアを築きたい方は、一度サロン見学に足を運び、自分の目で職場の雰囲気を確かめてみてはいかがでしょうか。


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terrace 銀座
住所:東京都中央区銀座3-4-6 正隆銀座ビル3F
TEL:03-5250-2801

arts 調布
住所:東京都調布市布田4-18-1ハラビル2F
TEL:042-444-6151
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