美容業界への失意を糧に。「坪」も知らないアシスタントがカラー専門店を立ち上げるまで「Colorage」大野絵莉香さん

2018年にヘアカラー専門店としてスタートした「Colorage(当時の店名は「Age」。現在は白髪染め専門店)」。代表の今井さんとともに、「Colorage」の立ち上げから携わり、FC店を含め7店舗になるまで成長させたのが、現在入社6年目の大野絵莉香さんです。

立ち上げ時、大野さんは若干23歳で、埼玉県の美容室で働くアシスタントでした。そんな大野さんがカラー専門店の立ち上げに参加しようと思ったのは、最初に働いたサロンがとても厳しく、美容師という仕事に対する失意を感じたからだそうです。美容業界を変えたいという今井さんの言葉に共感し、大野さんの挑戦が始まりました。

今回、お話を伺ったのは…

大野絵莉香さん

「Colorage」カラーリスト

高校卒業後、美容室2店舗でアシスタントを経験し、通信制美容専門学校で美容師資格を取得。2018年に23歳という若さで、美容専門学校の同級生だった今井基成さんとともに、カラー専門店「Age」(2023年より「Colorage」に店名を変更)の立ち上げを経験する。その後、業態を白髪染め専門店に変更し、5店舗オープン。そのすべての店舗でマーケティングやマネジメントを担い、会社を牽引する存在に成長する。2022年にはFC店として「オーガニックカラー専門店Age坂戸若葉店」をオープンさせ、代表を務める。

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美容師に憧れていたからこそ感じた、ギャップ

「Colorage」で入社6年目となる大野さん。最初に就職したサロンでは、大変な思いをすることが多かったという

――現在の会社は転職で入ったということですね。

はい、入社前に2社を経験しています。私は高校卒業後に、通信制の美容専門学校に通いながら、1社目の美容室に入社しました。ところが、実際に入社してみると自分の想像していた美容師像とは違い、ギャップを感じて悩んでしまって。1年半ほどで退職することになりました

――どんなところにギャップを感じたのでしょうか?

私は元々、美容師に対してとても強い憧れを持っていました。というのも私の両親が美容師ではないのですが、美容系の仕事をしていて、小さいころからキラキラとしたイメージを抱いていたからです。ところが当時働いていたサロンは朝練、夜練が毎日かならずあって、1日の拘束時間がかなり長かったのと、休憩時間もほとんどなく、1日中ひたすらにシャンプーをし続ける状態でした。1人ひとりのお客さまと向き合う時間もなく、当時は疲れ果てていましたね。

アシスタントなので仕方がない部分もあるのですが、それだけ拘束時間が長いのに、お給料が少ないことも追い打ちとなって・・・。まわりの友人が大学に通いながらアルバイトをして得ている給料よりも、少ないこともあったんです。毎日辞めたいと思っていましたし、家に帰ってよく泣いていました

ただ、私が通っていた美容専門学校は、美容室でアシスタントとして働いていることが在籍できる条件だったので、サロンを辞めてしまうと学校まで辞めないといけなくなってしまう。それはさすがにもったいないと思ったので、次の就職先を探したんです。

――次の美容室に就職してみて、どのようなことを感じましたか?

それがびっくりするほど、働きやすくて。個人サロンだったのですが、オーナーは経験の浅い私にも信頼して仕事を任せてくれる方で、前のサロンに比べてお客さまと接する機会が増えることで、アシスタントとしてのやりがいや楽しさを感じるようになりました。働く環境が変わるだけで、こうも違うのかと驚きました

このサロンで働いていた途中で、無事に美容師免許も取ることができました。

事業を立ち上げることに不安も。自分を変えたい思いを胸に決断

代表の今井さんと二人三脚で立ち上げたカラー専門店。美容業界の課題解決を目指している

――そんなに良いサロンだったのに、今の会社に転職しようと思った理由は?

一緒に「Colorage」を立ち上げた代表の今井が、美容専門学校時代の同級生で、「カラー専門店を立ち上げようと思っている」と誘われたのがきっかけでした。同級生といっても今井はかなり年上で、美容師免許を取る前はコンサルタントとして働いていました。今井は両親が美容師という環境で育ち、美容業界の長時間拘束、低賃金の働き方を疑問に思っていて、その課題を解決できるようなカラー専門店を立ち上げようとしていたんです

今井とは卒業までほとんど話したことがなかったのですが、卒業式のときに初めて話して同じような思いを抱いていたところから意気投合したんです。そこから定期的にご飯を食べに行ったりして話しているうちに、立ち上げから参加することになりました。

――なぜカラー専門店という形を取ろうとしたのでしょうか?

美容室でのアシスタント経験があれば働くことができますし、一度出産などを経験して、美容業界から離れていたいわゆる休眠美容師さんでも少し研修をすれば活躍することができるからです。現在ではカラー専門店から白髪染め専門店に業態を変えています。一般的なカラーとは異なり、白髪染めは流行を追わなくてもいいため、さらに一度業界から離れた人でも働きやすくなりました。

――アシスタントからカラー専門店で働くことになると、カットは習得しないままになるかと思いますが、そのことに対して不安はありませんでしたか?

私はカットの練習はしていたものの、自分には難しいと感じている部分もありましたし、むしろ今、自分が持っている技術で挑戦できるということを、プラスに感じていました

一方で一から事業を立ち上げていくことに対しては、不安を感じていましたね。当時の私は23歳で、周りの友人たちもやっとスタイリストデビューができるくらいの年齢だったので、当然、美容室の立ち上げを経験している人はいませんでした。そんなことが私にできるのか、自問自答を繰り返していました。

――それでも挑戦しようと思ったのは?

今井の美容業界を変えたいという思いに共感したのと同時に、自分自身を変えたい、挑戦してみたいという思いもあったからです。当時埼玉にある実家から通える美容室で働いていたのですが、埼玉を出て、これまでと違う環境に身を置くことで、自分がもっと成長できるのではないかという思いがありました

名刺交換に不動産契約。初めてづくしに戸惑う日々

大野さんがとくに苦労したというのが、1号店の立ち上げ

――入社当初はどんなことを感じましたか?

お店の立地決めや契約、不動産屋や内装業者など外部の人とのやりとりをすることなど初めてのことばかりで苦労しました。名刺交換すらしたことがなく、店内の面積を表す「坪」という単位がどれくらいを指すのかも分からないほどだったんです。

さらに一度契約したお店がある事情によって契約破棄となり、店舗選びが白紙に戻ってしまったりと、創業当時はトラブルが多くて。結局オープンするまでに半年もかかってしまいました。

――それは大変でしたね。オープン時にはほかにもスタッフの方がいたのでしょうか?

いえ。最初はお客さまもそんなに多くないと予想していたので、私ひとりがスタッフとして働き、たまに今井の手が空いているときには手伝ってもらう形でスタートしました。

――大野さんのように一般的な美容室でアシスタントとして働いた経験があれば、カラー専門店では即戦力になれるのですか?

そうですね。私自身、カットやブローはできませんでしたが、ヘアカラー専門店なのでカットはもちろんしませんし、お客さまご自身で髪を乾かしていただく、セルフブローという形をとっているので、カラーさえしっかりできれば即戦力になれました。私の場合は、前職ではスタイリストのヘルプに入ってカラーを塗る程度でしたが、オープン前にカラーの練習はしっかり行うことで、すぐにお客さまに入ることができたんです。

――一般的な美容室と比べて、ほかにどんな違いがあるのでしょうか。

カラー技術だけを練習すればいいので、練習時間自体も短いですし、活躍できるようになるまでが早いというメリットがあると思います

また「Colorage」の場合、シャンプーはオートシャンプーという機械で行います。これは今井が美容師の手荒れや腰痛対策のため、絶対に導入すると決めていたものです。シャンプーやブローはお客さまに行ってもらうので手が空いている時間も多くなりますし、休憩時間もかならず1時間とるというルールなので、体力的には楽になると思います。スタッフの労働時間も8時間に設定しているんです。

ただ私の場合は、一スタッフとしてではなく、マーケティングやマネジメントなどお店の運営にも携わっていたので、その点ではアシスタントとして働いていたころより大変になりました(笑)。美容業界を変えていきたい気持ちがあったので、ある程度店舗展開をしていかなければ意味がないと思っており、軌道に乗るまで1つのお店に私が入ってスタッフとともに売上をあげていき、スタッフに任せられるようになると私が次のお店に移動するということを繰り返していました。

ほとんどお休みもなかったですし、入社してきたスタッフの教育を担当したり、お店のルール決めをしたり、集客のためチラシ配りをしたりと、やるべきことが山のようにあって。それでも自分が動いた分だけ売上という形に表れる運営の仕事に、段々とやりがいが感じられるようになっていきました


大野さんが3社目でやりがいある新人時代を過ごせた3つのポイント

1.美容業界への失意を感じても、美容の仕事の可能性を諦めなかった

2.自分を変えたいという思いを胸に、新しいことに挑戦した

3.未経験の仕事にも正面から取り組み、やりがいを感じるまでやりきった

後編では「Colorage」のマーケティングとマネジメントのすべてを任された大野さんが経験した挫折について伺いました。とくにマネジメントでは、自分より年上で、美容師経験が長いスタッフに仕事の指示を出さないといけないこともあり、苦労をしたという大野さん。仕事の期限を明確にするなど試行錯誤を繰り返していたそうですが、最終的には苦手なことは人にお願いするようにしたそうです。後編もお楽しみに!

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Salon Data

白髪染め専門店Colorage(旧Age) 都内7店舗・埼玉1店舗
店舗:三鷹南口/三鷹北口/渋谷並木橋/渋谷明治通り/荻窪/武蔵境/坂戸若葉/吉祥寺
メール:webmaster@ccage.tokyo
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