SNSなら履歴書よりも自分の経験が伝わる!うまく使えば希望サロンとマッチングしやすく/aRietta 馬場義隆さん #2
就活に効果的にSNSの活用法について、有識者へのインタビューを通して学ぶ本企画。前回に続き、「丸みショート・ボブの達人」としてInstagramを運用している「aRietta」代表・馬場義隆さんに、お話をお聞きします。
後編では、美容学生におすすめのSNS活用法、就活にSNSを活用する際のアドバイスをお聞きしました。
お話を伺ったのは…
aRietta 代表 馬場義隆さん
新潟県出身。新潟理美容専門学校を卒業後、新潟1店舗、都内2店舗を経て、2014年「アリエッタ」オープン。現在は銀座2店舗、麻布十番1店舗を展開中。
SNSでの「ブランディング」は
美容師になったら必須。
その意識があると就活でも有利になる
――もし学生が、美容師になった未来を想定してSNSアカウントを活用していたら、採用する立場としてはどう感じますか?
やっぱり意識の高さは感じます。昔だったら作品を通して美容師としての自分の個性を伝えていたと思うのですが、今はSNSというかたちで伝えていく時代です。そういう意識を持っていること、「こう見てもらいたい」というブランディングができることは、美容師として必要な要素だと思うので、学生時代からその意識を持っていることは強みになるんじゃないでしょうか。
――これから就職を目指してSNSを活用するとしたら、おすすめのSNSは?
採用側が一番見ているのは、今のところInstagramだと思います。1枚の写真として投稿できるので、ヘアカタログとしても使える点が美容師とは親和性が高いんです。
また、動画投稿は労力がかかる分、敷居が高いイメージがあります。だから、InstagramのリールやTikTok、YouTubeなどの動画投稿に取り組んでいれば、「すごいな」と思いますね。その力を活かす方法はたくさんあると思うので、評価は高いです。
――では評価の高いInstagramの投稿内容は、どんなものでしょうか?
1枚の投稿というよりは、アカウント全体を見たときにファッションや世界観が統一されていると好感度は高いです。パーソナルが分かりやすい投稿をできるのは、ひとつのセンスだと思います。
それが食事写真であってもオシャレに撮影しているとか、そういった細かい部分で受ける印象からは、自分の見せ方をどうしたいかという視点を持っていることが伝わります。その視点を持ったうえでアカウントが作られていると、「自分の見せ方がわかっているんだな」と思いますね。
――逆に悪い印象を持つ投稿は?
やっぱりお酒やたばこが絡んだ投稿や、羽目を外しているような感じの投稿は、ちょっとマイナスイメージにはなりますよね。友だちと旅行に行く…くらいなら全く問題ありませんが、そこに一般的に印象のよくないものが写っていたりするのは、美容師という仕事柄NGかなと思います。
そのあたりも含め、サロンにマッチしているかどうかじゃないでしょうか。マイナスイメージの投稿がなくても、ファッション性などがサロンのイメージとマッチしなければ採用にはつながらない可能性もあります。
学生のうちに動画編集や写真撮影の
スキルを身につけるのがおすすめ
――もし馬場さんが学生なら、SNSをどんな風に活用しますか?
就活のためというよりも、美容師として働き出したときのことを考えた活動をする気がします。だから、学生で時間があるようなら、少し凝った動画編集に取り組んでいるかもしれません。美容室で働いていれば、モデルさんやお客様の施術を撮影することで、投稿用の素材はたくさん準備できますし、スタイルで差別化することもできます。でも美容学生の場合は、そうはいきません。
まわりと差別化するなら、個として強いものを作れることが大切になってくるし、美容師に限らず将来的にもいろいろな可能性が広がっていくんじゃないかなと思うんです。上手くいけば、そのままインフルエンサーになれる可能性もあるし、今の時代なら動画編集スキルは美容師以外の職種でも役立ちますから。
――その他、SNSにまつわるスキルで、学生の内に取り組んでおくと美容師になってから役立つものは何でしょうか?
美容師として、であれば、写真の撮り方のセンスを磨いておくのは役立つんじゃないでしょうか。SNS時代になっても素材作りという面で作品撮りはありますし、「どこのアングルから撮るとキレイに写るか」といった部分は経験によって積み重ねられるセンスです。
もちろん入社後に教わることの方が多いとは思いますが、まったく初めてからスタートするのと、ある程度意味を理解できている状態でスタートするのとでは、成長スピードも違ってきます。まわりと差をつけるなら、学生のうちから撮影スキルを学んでおくのはおすすめです。
自分らしさを伝えつつ
入社したいサロンの雰囲気に合わせた投稿が
就活を有利にする可能性を高める
――これから就活に向けて、SNSを活用していきたいと考えている美容学生にアドバイスをお願いします。
SNSは自分を知ってもらうためのツールです。もしかしたら履歴書以上に必要なものになる可能性もあります。ただ、自分を出すのももちろん大切ですが、就活においては、入りたいサロンに合わせた自分を演出するというのも大切です。
もし入社したい美容室があるなら、そのサロンの特色を自分なりに調べて、近い世界観やセンスを取り入れた投稿をしてみるといいかもしれません。入社したいサロンのニーズを考えるのは、マーケティング的な面もあり、就職後も必要なスキルです。サロン側が「うちのサロンっぽいね」と感じれば、就活もスムーズに進むんじゃないでしょうか。
あとは、サロン見学前に髪を切りに行って、そこでSNSをフォローしてもらったり、メンションをつけた投稿をしたりして、SNSを活用した繋がりを作って自分を売り込むのもいいと思います。そういった活動的な子はたくさんいるので、埋もれないようにアピールしていくことがすごく大事。そのためにも、SNSアカウントに力をつけていくことは効果的です。
数十分で書いた履歴書の内容よりも、2年間でやってきたことがリアルだと思います。それがSNSでは、見せることができる。ぜひ活用して欲しいです。
美容学生がSNSを活用するときのポイントまとめ
1.採用側がチェックするInstagramを活用
2.撮影スキルと動画編集スキルを磨く
3.希望のサロンに寄せた投稿でマッチングを図る
取材・文:山本二季