SNSでバズっても慢心しない! 引き出しを増やし続けるのが課題【ACQUA表参道店 坂内諒太朗さん】#2
新人時代をどう乗り越えていくのかを伺うこの企画。前編に続いて、ACQUA表参道店のスタイリスト、坂内諒太朗さんのインタビューをお届けします。
前編では、数あるサロンの中からACQUAを選び、「一生、寄り添うスタイリスト」になるために接客力と技術力を磨いたこと、最終試験をパスするために過酷なノルマをクリアしたことなどを伺いました。
後編では、スタイリストとして売上を作るためにモデルハントをし続けたこと、SNSを活用して新しいスタイルを提案していることなどをご紹介します。
お話しを伺ったのは…
ACQUA表参道店
スタイリスト 坂内諒太朗さん
2019年3月にベルエポック美容専門学校原宿校を卒業後、4月にACQUA入社。2022年8月にルーキースタイリストデビューを飾り、2024年4月にはスタイリストに昇格する。現在は表参道店に勤務している。
売上100万円を達成するために、休日を返上してモデルハント
――スタイリストデビューをしてから、お客さまを獲得するのは大変だったのでは?
僕の1つ上の先輩がデビューしたのがちょうどコロナ禍で、インスタを上げてもヒットしませんでした。当然、お客さまも来ない。そんな状況の中で、モデルハントだけで売上100万円を作ったんです。その様子を見ていて、「僕もモデルハントで売上を作ろう!」と思い立ちました。
――通りすがりの方に声をかけるのって、大変ですよね?
最初のうちはドキドキしましたが、そんな悠長なことは言っていられません(笑)。それにスタイリスト試験を受けるまで毎日1人のモデルカットをしていましたから苦ではありませんでした。
――どんな目標を設定して声がけをしていたんですか?
最初は売上100万円を目標にしました。1時間に30人くらいに声がけをして、そのうち10人はインスタをフォローしてくれるだろうと計算しました。その人たちに割引のクーポンを送ったら1~2人は来店してくれるのでは…と考えました。この人数をザックリ計算して、1日何万円×日数で100万円のノルマがクリアできるように逆算しながらハントしていましたね。
――モデルハントは毎日ですか?
最初のうちは毎日でしたね。休日は午前中に作品撮りをしているので、その日の午後にもモデルハントをしていました。ずっと声がけしてもキリがないので、4時間と決めて1時間声がけしたら10分休む…というのを続けました。
そのおかげでデビュー前はインスタのフォロワーが1400人くらいだったのが、今は5000人にまで増えたんですよ。
――モデルハントはどのくらい続けたんですか?
デビューから3か月間くらいですね。休日に作品撮りをしたときのウルフスタイルがバズって、お客さまが一気に増えたんです。このスタイルをきっかけに僕のことを知ってくれた人が増えました。モデルハントをしていたときも、撮影した作品を見せると「あなたなんだ!」って、言ってくださる方も多かったですね。
自分の引き出しを増やして、表参道店を大きくしたい!
――作品撮りは今も続けているんですか?
月4回のサロン定休日に、新しいスタイルの撮影を続けています。
自分が「いい」と思っているスタイルを押しつけるだけでは、僕のエゴになってしまいますし、お客さまも飽きてしまうと思うんですよね。だから今のトレンド、韓国のトレンド、僕が得意なウルフやレイヤー以外で流行っているカラーや髪型を参考にしたスタイルを毎回、考えながら撮影しています。自分の引き出しを増やし続けたいですね。
――スタイリストデビューをしたら学びは終わり…ではないんですね。
技術的に何でもできて、お客さまにいろいろ提案できるスタイリストってカッコいいですよね。
例えば、今はウルフだけど「飽きちゃったら襟足を切っちゃえばいいよね」とか「韓国っぽ巻き髪も素敵ですよね」とか、いろいろ提案できるようになりました。停滞したくないんです。常に新しいことにチャレンジし続けていたいですね。
――スタイリストになって2年。今、坂内さんはどんな展望を持っていますか?
お客さまが来店してくださるのは、当たり前のことではありません。表参道には素敵なスタイリストさんがたくさんいます。その中で僕を選んでくださったことが嬉しいんです。お客さまの一生を、僕だけじゃなくてチームACQUAとしてアシスタントたちも一緒に担当していればいいですね。そのためにも、アシスタントにも僕と一緒になってお客さまを幸せにして欲しい…と思っています。
――具体的にどんな工夫を?
例えば僕のお客さまがサロンにいらっしゃるとき、顔なじみのアシスタントがいれば、それだけで居心地がよくなると思うんです。ですからその日、僕に付いたアシスタントのことを必ずお客さまに紹介します。アシスタントもそのお客さまのことを覚えれば、自然とその人を幸せにしたい気持ちが芽生えてくると思うんです。
今まで自分のスキルアップばかり考えていましたが、今は僕の仕事やお客さまに対するマインドを後輩たちに伝えて、「会いたい」と思えるスタッフを増やしていきたいです。
――ゆくゆくはご自身のサロンを?
いずれはACQUAプロデュースの新店舗で自分が店長になりたいという夢があります。
僕は表参道という街が好きなので、先ずはこの表参道店をさらに大きくしたいですね。
坂内さん流! 壁を突き破るための3つのポイント
1.大きな目標には、細かくプランを立てて少しずつクリアする
2.SNSを活用して自分のスタイルを発信し続けること
3.得意なスタイルに固執せず、自分の引き出しを増やしていくこと
常に前向きな坂内さんでも、落ち込むことがあるとか。そんなときは「プラスマイナスの法則」を思い出すそうです。「辛いことがあって頑張らなくてはいけないことがあっても、その先には楽しいことや幸せがあるんです」(坂内さん)。もう少し、もう少し…と努力を積み重ねることの大切さを教わりました。
撮影/森 浩司