接客スタイルの手本は教育番組のお姉さん。子どもと親が喜ぶ施術に苦戦「チョッキンズ」新海優花さん
東京、神奈川、福岡など全国に14店舗を展開している、子ども専用美容室「チョッキンズ」。同店でスタイリストとして活躍しているのが新海優花さんです。
前編では、学生時代の様子やスタイリストデビューに向けて取り組んだことなどについて伺いました。
後編では、子ども専用美容室に転職した理由や新人時代に取り組んでおくべきことなどについて伺います。集客を追い求めた結果、自分のやりたいことがわからなくなってしまったという新海さん。夢の国のような空間で楽しそうに働くスタッフの姿に惹かれて「チョッキンズ」への応募を決めたといいます。
今回、お話を伺ったのは…
「チョッキンズ」スタイリスト
新海優花さん

日本美容専門学校を卒業後、都内のサロンに就職。5年間勤めた後、「チョッキンズ」に入社した。現在15年目のスタイリストで、似合わせカットを得意としているママさん美容師。
仕事とプライベートの境目が曖昧に。キラキラ笑顔のスタッフに惹かれて転職

――「チョッキンズ」に転職したきっかけは?
きっかけは環境を変えて心機一転、新たな気持ちで仕事をしたくなったことでした。というのも前職では仕事とプライベートの境目が曖昧になり、窮屈感を覚えて、少し精神的にも不安定になっていたんです。
前の職場では講習で学んだ知識を活かして売上を伸ばす工夫をしていたのですが、そのひとつとしてターゲット層に合わせた服装をしていたんです。自費で購入していたのですが、当時は収入が少なかったので、プライベートでもその服を着ていて。
仕事に対する思いも強かったのでいつも仕事のことを考えていましたし、プライベートでも仕事の服を着ているし、このままいくと仕事が辛くなってしまうかもしれないと考えたんです。仕事とプライベートの線引きをきっちりするために転職を決意しました。
――新たなスタートを切りたかったのですね。「チョッキンズ」を選んだ理由は?
「チョッキンズ」で働くスタッフの方がキラキラして見えたからです。当時はSNSやネットが発達していなかったので、求人誌でリサーチしていました。ジャンルなど特に考えずにページをパラパラとめくっていると、楽しそうに笑顔で接客しているスタッフの写真が目にとまって。直感的に働きたいと思ったのが「チョッキンズ」でした。
当時メンタルが不安定で何をやりたいかもわからなかった私には、「チョッキンズ」のスタッフさんがキラキラして見えたんです。給料や福利厚生などは確認せず、すぐも電話をかけて応募しました。
――キラキラですか。
はい。ここまでお話したことを聞くと、美容師以外の選択もあるんじゃないかと思うかもしれません。でも、美容師という仕事は好きでしたし、ここまで続けてきたことを無駄にしたくないという思いがあったので、美容師しか考えられませんでした。
教育番組で学んだ接客で、子どもも親御さんも笑顔になれる施術を目指す

――入社してみてどうでしたか?
どんな仕事も楽しくて、毎日テーマパークに訪れているような感覚です。
――入社後は何からスタートしましたか?
2ヶ月間の研修からスタートしました。研修内容としては、子ども相手の施術と接客の仕方が中心でした。スタイリスト入社だったので、研修後はすぐ入客が始まりました。
――子ども専用の美容室ならではですね。子どもを相手にすることに対し難しいことはありますか。
たくさんありますね。お子さんだけでなく、親御さんもお客様です。刃物を扱う場所なので、お子さんへの安全確保には細心の注意を払わないといけませんが、安全のためにお子さんへ即座に注意をしなければならないときでも、親御さんに嫌な気持ちをさせない話し方をするのが最初はなかなか難しく感じました。
――ちなみに注意の仕方はどのように工夫しているのですか?
たとえば、店内で走り回ったり、入ってはいけない場所に行こうとしたりするお子さんがいたときは、ただ声をかけるのではなく、「カンカン!踏切です。止まってくださーい!」というように、言うことを聞いてくれやすくなるよう工夫しています。こういった工夫は、先輩スタッフや教育番組のお姉さんの接し方を見て身につけました。
――お子さんがいるそうですが、子育て経験も接客に活きていますか?
はい。私は入社後すぐに産休に入ったのですが、復帰してからは子どもとの接し方などの悩みがすべてなくなりました。私の子どもには知的障害があって、手話など子どもとの接し方についてはすごく勉強したんです。育児経験をフル活用できるので、子どもを持つ美容師さんにはとても向いている職場だと思います。
辛いことがあったときは、初心を思い出して

――新人時代と今を比べてご自身にどのような違いがあると思いますか?
考え方が変わり、広い器を持てるようになりましたね。新人時代は自分の意見が聞き入れられなかったり、理不尽なことがあったりすると苦しい思いをしました。でも、今は何があっても受け止められるようになりました。
――美容師の仕事をしていて、やりがいを感じる場面はいつですか。
自分の子どもが「うちのママ、美容師なんだ」と誰かに自慢するときですね。とても誇らしい気持ちになります。
――最後に、新人時代を過ごしている人に向けてアドバイスをお願いします。
美容師になろうと思った初心の気持ちを忘れないでほしいです。新人時代は技術をはじめ、接客、社会生活など学ばなければならないことが多く、壁にぶつかることもあります。いま所属しているサロンがすべてではないので、環境に不満があるのなら美容師を辞めるのではなく、私のように転職を検討してみてください。辛いことがあったときは初心を思い出して、諦めるという選択だけはしてほしくないと思います。
新海さんが充実した美容師生活を送れている3つのポイント
1.環境に窮屈感を覚えたとき思い切って転職した
2.子育て経験を活かして子どもと親が笑顔になれる接客を目指した
3.どんなに辛くても美容師という仕事を辞めなかった
終始、元気ハツラツとした口調でインタビューに答えてくださった新海さん。転職、育児などさまざまな経験を活かして美容師の仕事に打ち込み続ける姿勢には、尊敬の念が生まれました。これから美容師として活躍したい人、いま新人時代を過ごしている人はぜひ参考にしてみてくださいね。
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チョッキンズ 多摩平の森店
住所:東京都日野市多摩平2-4-1 イオンモール多摩平の森3F
TEL:042-843-1148