「アロマ調香デザイナー®︎」は、家庭が一段落した私のネクストキャリア 私の履歴書 【アロマ調香デザイナー®︎ 佐藤亜紀子さん】#1

今や、女性も当たり前のように仕事を持つ時代。特に美容やヘルスケア関連の職業は女性ならではの感性を活かせることから、ライフステージの様々なシーンで選択肢に上がる方も多いはず。昨今は仕事と家庭とのバランスについてよく耳にしますが、両立が必ずしも正解とは言えないのではないでしょうか?

今回お話を伺った「アロマ調香デザイナー®︎」として働く佐藤亜紀子さんは、仕事と家庭とで人生のフェーズをある程度分けられたと言います。ご自身の仕事をこなしながらも出産を機に辞めて、母として家族を守ることに奮闘。そして母という役割に節目を見出した時、佐藤さんは、次なる自分のありたい姿を自らに問いかけました。

前編では、自分にフィットするネクストキャリアを見出すまでの、佐藤さんの物語を語っていただきました。

AKIKO’S PROFILE

お名前

佐藤亜紀子

出身地

神奈川県

憧れの人

「特定の人がいるわけではありませんが、自然体で伸びやかに生きている方は素敵だな、と感じます」

プライベートの過ごし方

「自分の心身のケアとして、ヨガをしています。プライベートでは香りとの接点を意識して少なめにしていて、精油の機能面を効果的に活用する程度に留めています」

好きなこと

映画観賞、美術館へ行くこと、アンティーク雑貨や家具を見ること

仕事道具へのこだわりがあれば

「透明のガラス製の道具を使うことが多いです。天然精油の色や混ざり合う様子は美しく、見惚れてしまうこともあります」

海外での生活経験から、アロマの世界へ

佐藤さんとアロマとの出会いは、海外での生活経験だった

――早速ですが、佐藤さんがアロマの世界に携わることとなったきっかけや経緯を教えてください。

私はマレーシアとイギリスで生活していた時期があるのですが、アロマとはマレーシアにいた頃に出会いました

大学卒業後は新卒で総合商社に就職しましたが、出産を機に退職しています。やりがいも多い仕事でしたが、働き方に限界を感じました。

その後、主人の転勤でマレーシアに5年半ほど住んだのですが、自分や家族の体調管理に悩むことが多かったんです。マレーシアの一年を通じて高温多湿な気候になじめず、なんとなく体調が優れない日が続くこともありました。子どももまだ小さく、医療体制が日本と異なることも心配で…。アロマに着目したのはそんな時ですね。芳香療法という、植物の香りが持つ薬効成分を用いたセルフケアができないかと考えました。

――マレーシアにいる時期に、アロマはどこかで学ばれたのですか?

家の近くに、イギリスのIFPAアロマセラピストが開催しているアロマセラピーコースを受講したのがきっかけです。

――アロマセラピーの勉強を始めてみて、いかがでしたか?

学んだことを実践するようになってからは、自身も以前より体の調子が良いことが増えた気がします。子どもが体調を崩しかけていても悪化を防ぎやすくなるなど、効果はマイルドですが、ある程度のケアができるようになりました

その後、偶然にも次の転勤地がイギリスだったんです。これを機に、より本格的に学ぼうと現地でスクールに通って認定講座を受講し、イギリスにおけるアロマセラピストの資格であるIFPA(国際プロフェッショナルアロマセラピスト連盟)認定セラピストを取得しました

IFPA認定セラピストの認定証(佐藤さん提供)

――「アロマセラピスト」とは、具体的にどんな資格や職業なのでしょう?

「セラピスト」なので、心身の状態に合わせてアロマを用いたトリートメントを提供するのが大きな特徴です。アロマの持つ機能的な知識だけでなく、トリートメントの技術について、さらには解剖生理学や皮膚科学などの人体の仕組みについても学びます。

「母親」としてのステージが落ち着いた時、私はどうありたいのか?

佐藤さんがアロマを学ぼうと思った理由が、実はもう1つあるという。その理由とは…?

――子育てをしながらアロマセラピストの勉強をされるのは、大変だったのでは?

もちろん楽ではありませんでした。イギリスでは小学生まではどこへ行くにも保護者の送り迎えが必要でしたから、スクールの日はお友達のママに協力していただくこともありました。

それでも学び続けたのは、自分自身の次のキャリアのためです。駐在員の家族として滞在していたので外で働くことはせずに主に母親として家族を守る役目を担う時間が長かったのですが、その役目が一段落した時、「私は何をして過ごしていたいだろうか」と、次のフェーズで自分の生活の軸となるものを当時から少しずつ模索していました

気候も文化も社会制度も異なる海外では、日常生活を過ごしやすく整えて健康でいることの大切さを実感していたこともあり、ウェルビーングに貢献できるアロマに関わる仕事に就きたいと思っていたんです。

そんな経緯から、イギリス在住時から、アロマに関する仕事を日本で行うとしたらどのように展開できるのかについてリサーチし始めていました

――調べてみて、いかがでしたか?

これについては、しばらく頭を悩ませました。まずは、IFPAアロマセラピストとしてトリートメントサロンを運営することなどを考えましたが、日本とイギリスではアロマセラピストを取り巻く環境が異なると感じていたからです

日本では、アロマを用いた施術はラグジュアリーなもの、贅沢なものといった印象が強い一方、イギリスではもっと人々に生活に寄り添った役割があるように思います。アロマをはじめとする植物療法が、日本より身近なんです。病院やケアホームではトリートメントによるリラクゼーション効果を通じて、医師と連携しながら医療の現場で患者のQOLの維持や向上に貢献しているセラピストも多いんですよ。

――日本とイギリスで、そんなにも違いがあるんですね…!

日本でも産婦人科やメンタルクリニックなどでの求人を探しましたが、なかなか見つかりませんでした。またトリートメントサロンは、夜間帯の勤務時間を希望されることが多かったため、家庭との両立を担保したかった私は、日本でアロマセラピストとして働くイメージがうまく持てないままでした

香りやアロマに携わる職業としての新たな選択肢が「アロマ調香デザイナー®︎」

帰国後のキャリア探しに難航していた矢先、運命の出会いを果たす

――状況を打開するきっかけはあったのでしょうか?

「セラピスト以外に、日本でできるアロマの仕事にはどんなものがあるのだろう?」と、一旦視野を広げて探してみることにしました。

「TOMOKO SAITO AROMATIQUE STUDIO(トモコ サイトウ アロマティーク スタジオ)」の現代表である齋藤智子をFacebookで見つけたのは、そんな時。まだ帰国前で、イギリスに住んでいました。

――ここで繋がるんですね!

齋藤はアロマ調香デザイン®︎という独自の技術で、精油が持つ機能的な側面を活かしつつ使う目的や場所に合った香りを生み出し提供する事業を展開していました。天然の香りが生活を豊かにし、うまく活用することで人生を変える可能性を持つことも伝えていました

アロマセラピストとしても数種類程度の精油をブレンドしたことはありましたが、アロマ調香デザイン®︎では十数種類を組み合わせ、クライアントが求める唯一無二の香りを作るという仕事に感銘を受けたんです。

知れば知るほど「この方の下で学びたい」と強く思うようになり、帰国後「一般社団法人プラスアロマ協会(IAPA)」のアロマ調香講座の門を叩きました

――現職のアロマ調香デザイナー®︎を目指すこととなったのですね! 具体的に、どのようなことに取り組まれましたか?

1つ1つの香りについて、より深く見直すようになりましたね。例えば、精油が持つ機能面だけでなく時間の経過による香りの変遷にも注目するなど、それまでのアロマセラピストとしての自分にはなかった着眼点を養いました。

また、以前よりもっと香りに触れる機会を多く持つようにもなったと思います。市販品の裏面の成分を見て、自分で試して作ってみることもありました。

あと、この仕事の特徴の1つでもあるかもしれませんが、香りの言語化にも注力しました。世界にただ1つの香りを創造するのがアロマ調香デザイン®︎なので、その香りがイメージできるよう、香りを言葉で表現する必要があるシーンが多かったんです。調香はアーティスティックな性質があることから、色に例えることも多かったですね。美術館へ足を運んで色彩感覚を養うようにするなど、自分なりにできる努力も積み重ねていきました。


佐藤さんとアロマとの出会いは、海外での生活経験からでした。後にアロマセラピストとなってからは身近な人たちのケアを通じてアロマの世界へ魅了されていき、家庭や子育てが一段落したらアロマを主軸に置くことを決意します。イギリス在住時から日本での活動について模索していたところ、アロマ調香デザイナー®︎・齋藤智子さんと海を超えた運命的な邂逅を果たし、帰国後は齋藤さんに師事、同じ道を目指すこととなりました。後編では、母親の次のキャリアとして選んだアロマ調香デザイナー®︎としての活動や、佐藤さんの仕事観について深掘りしていきます。

撮影/内田 龍
取材・文/勝島春奈

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