精油と生徒さんを橋渡す「香りのメディエーター」アロマインストラクター 岩本明子さん#1

セラピスト、インストラクター、ブレンドデザイナー、メンタルアロマカウンセラーなどアロマの資格を多数取得し、アロマインストラクターの活動に注力する岩本明子さん。10年目を迎える現在、受講生は延べ1600名を超える豊かな経験の持ち主です。

岩本さんは、福袋に入っていたアロマランプがきっかけでアロマの世界へ。神経質で人が苦手な性分(ご本人談)だという岩本さんですが、それを知った生徒さんが「この方なら大丈夫」であろう人を呼んでくれて、その人がまた人を呼ぶ。そんなスタイルで徐々に生徒さんが増えていったのだそう。

AKIKO’S PROFILE

お名前

岩本明子

出身地

東京

出身学校

立教大学社会学部観光学科

憧れの人

趣味・ハマっていること

飛行機鑑賞と空港散歩

仕事道具へのこだわり

肌への安心感と嗅覚への安堵感を満たすもの

存在感はないけど、この子たちはすごい力を持っているのかも

 多数のアロマ資格を持ち、インストラクターとして活躍する岩本さん。

――アロマとの出会いについてお聞かせください。

いちばん最初のきっかけは、百貨店で買った福袋でした。福袋の中にアロマランプが入っていたので玄関に置いたら、行き来の多かったママ友や宅配の方が「いい香りだ」ととにかく喜んでくれたんです。そのときに、香りってすごいんだなと思ったのがアロマとの最初の出会いでした。

もうひとつはフラワーセラピー(花を生けてそれをもとに心理状態を読み解く箱庭療法の花版のようなもの)を習ったときにアロマの先生がいて、雑談ばかりする先生だったんですが、その方が大好きだったんです。それで香りに興味を持ち始めたんだと思います。

その後、育児中にうつの一歩手前の状態になって。たまたま精油に手を伸ばしたときに、あーなんか上を向けそう、動けそうと思ったんですよね。小さくて、蓋を開けたときだけ香って、蓋を閉めたらそれ以上のことは何もしない。存在感のないこの子たち(精油)は、もしかしたらすごい力を持っているのかもしれないと思いました。

――いろんなきっかけがあってアロマの世界へ入られたのですね。岩本さんはアロマの資格をたくさんお持ちですよね。

はい。AEAJのアロマ検定からスタートしてアドバイザー、インストラクターまで当時は独学で取れたんです。わたしは高校生のときから不登校気味で、同じ時間に、同じ場所で、同じ人に会うのが苦手でした。だから通学しなくてはいけないセラピスト資格を取ることは大問題。当時は、セラピスト資格がないと海の物とも山の物ともつかないと思っていましたし、そもそもセラピストの勉強だけさせてくれるスクールが少ないんです。でもなんとか実技だけでもいいと言ってくれるスクールが見つかりました。

――セラピストになるつもりはなかったのですか。

なかったですね。語弊があるといけないんですが、人に触れることが苦手というか、申し訳ないという気持ちがあって。通学前日から明日が嫌だなと思って緊張するし、当日も早く終わらないかなと思っていました。担当の先生にも相談して、先生に支えられながら無事にセラピスト資格を取ることができました。

精油と利用者さんの橋渡し「香りのメディエーター」

最初は、気軽に参加できる単発講座を開催。季節に応じて内容をアレンジ。 

――アロマが仕事になったきっかけを教えてください。

知り合いが紹介してくれたヨガの先生が「せっかく資格を持っているなら教えなさい。ヨガとアロマは絶対に相性がいいから。わたしが生徒10人集めるからやってごらんなさい」と言ってくださったんです。でも当時のわたしの口癖は「自分なんて…」。

準備はしているけど、10人集まってもやりたくない。ちょっと恥ずかしいとかの嫌じゃなくて、本当にやりたくない。と思っていたときに母が亡くなって。母が亡くなったことはひどいショックでしたが、「明日の講座はできなくなりました」と先生に伝えながら、ほっとしている自分がいたんですよね。

母の死がショックでしばらく何もできなくなってしまって。それから約1年が過ぎた頃、わたしがなんとか復活しかけているのをヨガの先生が見極めて、また声をかけてくれたんです。そこで初めて講座を担当しました。

――初めての講座はいかがでしたか。

香りをご紹介して、ジェルにしたものをお持ち帰りいただく本当に簡単な内容だったんですが、終わったときはもうへとへと。反省することもたくさんありました。でもまたやってみたいという気持ちもありました。

――不安もあるけれどアロマを伝える喜びも。その後、お仕事は増えていったのですか。

ゆっくりと増えていきました。ヨガの先生にしばらく面倒を見てもらった後、自宅でやるようになったんですが、まだ子どもも小さいし、休日は家族との時間もあるしと悩んでいたら、生徒さんがすぐ近所に心ばかりの料金で貸してくださる隠れ家的な場所を教えてくださいました。

――そこに拠点を移されたのですね。

神経質で人が苦手なわたしの性分を知ってくれた生徒さんが、そのフィルターをクリアできる方、また私も大丈夫であろう方を連れてきてくださって。その方がまた次の人を連れてきてくださってという形で徐々に生徒さんが増えていきました。

障害支援施設に併設するカフェでも講座を担当しています。一般の方にも施設を知ってほしいということで、一般の方向けのワークショップなんですが、娘さんを施設に通わせていた80歳の方が「ずっと自分の時間が持てなかったけど、この齢でアロマデビューしたことを自慢してるの」と言われたのがめっちゃ嬉しかったです。自分はすごくいい仕事してるんだなって。

 ――それは嬉しい出来事ですね!

それといま自分の集大成の場だと思っているのが、メンタルクリニックでの講座です。メディカルなところは紹介がないとなかなか難しいそうで、やりたいけどわたしで大丈夫かなと最初はすごく緊張しました。

――実際にやってみていかがでしたか。

わたし自身、子どものころに強迫性障害や摂食障害を経験していて、当時こういう人がそばにいたら少し違ったかもしれないと思うんですね。いまその役割を自分が担うことで子ども時代と繋がることができて、これは続けたいなと初めて思えました。自分よりはるかに年上の人生を達観した方に「先生」と呼ばれて、「今日もいい勉強になりました」なんて言われたら、もう舞い上がってしまいます(笑)。

――岩本さん、すごいです!

そのツールであるこの子たちは本当にありがたいです。出しゃばらず控えめで。クライアントさんが「はあ~っ」と心地よくなる感覚は、この子たちによるものなので、わたしは棚ぼたのような感じ。良い香りと出会っていただくきっかけや、香りの案内人になる橋渡しの意をこめて「香りのメディエーター」と名乗っています。

講座は癒しを提供する場。一方スクールはアロマを理論的に伝える場

取材当日は、MoonLeaf鎌倉校ConnyAromaでブレンドデザイナー講座を担当。

――講座とスクール講師で違うところはありますか。

めっちゃ違いますね。わたしの講座には、今日なにをしたいというよりもこの時間だけは日常を忘れたい、無になりたいとういう方が多く、完全に癒しを提供する場。

一方スクールは、インストラクターやセラピストなど上位資格取得を目指す方も多く、合格させなきゃという使命感もあるので、アロマを理論的に伝える場と考えています。「この精油にはこんな成分があるからこんな作用があります」「検定にはこの問題が出るから覚えてください」と講座とはまったく別の内容をお伝えしています。

――一見、同じような内容なのかなと思いがちですが、結構違うのですね。

講座では、言葉で伝える分量は少ないのですが、自分の引き出しにあるものを出して、出して、出しきる感じ。

スクール講師には、テキスト理論に沿ってアロマの学問的な部分をお伝えできる楽しさがあります。これまで独学でやってきたこともあり、スクールで教えるためには2倍3倍学ばないとダメだということも分かったので、インプットのために使う時間が増えました。念願だったスクール講師は嬉しさ半分、切磋琢磨半分という感じでしょうか(笑)。

後編では、アロマブレンドへの並々ならぬこだわりについて、アロマ業界を目指す方へのアドバイスをいただきます。

撮影/佐藤克己
取材・文/永瀬紀子

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