成長し続けるプレッシャーから心身を崩した過去。「幸せ」を求めて、つかんだ自分らしい働き方【美容師 越川健司さん】♯2

東京・錦糸町の美容室「Little錦糸町」で、人気スタイリストとして活躍する越川健司さん。前編では美容師として「人間力」を高める大切さを学んだという新人時代を振り返っていただきました。

後編では越川さんの美容師としての転機について伺います。

独立という目標に向かい、常に自分を高め続けてきた越川さん。しかしその一方で、休みを削りながら働き続けたことで、心身に負担がかかっていきます。

気づけばストレスからお酒に頼るようになり、ドクターストップがかかるほどの状態に。そこから休みをとることを意識するようになった結果、仕事も私生活も充実するようになったといいます。

今回、お話を伺ったのは…

越川健司さん

「Little錦糸町」スタイリスト

千葉県出身。高校卒業後、美容室に就職し、通信課程で美容師免許を取得。複数のサロンで経験を積んだあと、フリーランスに転向。現在は「Little錦糸町」に所属。丁寧なカウンセリングと1人ひとりに寄り添った提案を強みとし、リピートにつながる関係づくりに定評がある。

インスタグラム

美容師の仕事の多くはアドリブ。だからこそ自ら学びにいく姿勢が重要

技術を伸ばすために、自ら学びにいく姿勢を大切にしてきたという越川さん

――美容師という仕事を通して、技術を伸ばすために意識してきたことはありますか。

自分から学びに行く姿勢を持つことです。

美容師にはカリキュラムがあり、練習を重ねて基礎技術を身につけていきますが、実際の現場ではその多くが応用です。お客様ごとに状態や要望が異なるので、マニュアル通りにいかない場面がほとんど。アドリブで対応する力が求められます。

それに美容のトレンドは日々変化していくので、流行の技術も自分から取りに行く姿勢がなければ、取り残されてしまいます。

だから、定められたカリキュラムをこなして、スタイリストデビューできればゴールなのではなくて、むしろそこからがスタート。教えてもらうのを待つだけでは成長できないと強く感じていました。

――そのような考え方になったのには、何かきっかけがあったのですか?

フリーランスになり、さまざまな背景を持つ美容師と一緒に働くようになったことが大きかったです。

そのお店には、表参道で経験を積んできた人や個人店で働いてきた人など、技術のベースが異なる人が集まっていたので、カットひとつとっても考え方やアプローチがまったく違いました。

そのなかで、自分のやり方にこだわるのではなく、「なぜその技術を選んでいるのか」を聞くことで、自分の視野が広がり、大きな学びにつながったんです。

この経験から、自分から学びにいく姿勢を大切にするようになりました。

プレッシャーやストレスから、心身の不調に。見つめ直した自分の幸せ

美容師としての転機について話す越川さん

――お話を伺っていると成長を続けていこうという意志を強く感じます。辛くなることはありませんでしたか?

ありました。2年ほど前は「常に成長し続けなければいけない」というプレッシャーや、お客様との関係性を考え続けることが負担になっていた時期があって。

お酒に頼ってしまうこともあり、ドクターストップがかかったこともありました。

――そんな過去が。そこからどのように立て直したのでしょうか?

まずは「自分が幸せであることが大事だ」と考え直しました。

それまでは週1日だった休みを週2日に増やし、生活のリズムを整えるように。猫を飼ったり、マッサージやサウナに通ったりと、仕事以外の時間も大切にするようにしましたね。

――そのように変えてから、ほかの部分にも変化は現れましたか?

はい。お客様の指名も増えましたし、いいパートナーにも恵まれました。自分が無理をしていたころよりも、自然と人との関係がうまくいくようになった感覚があります。やっぱり自分が幸せでニコニコしていれば、自然と人が寄ってくるんだと思います。

正直、休みを増やすのは勇気がいりました。売上は絶対に下がってしまうと思ったからです。でも実際にやってみると、指名が増えたこともあり、売上は大きく変わらなくて。

それまでは、とにかく働いて、成長して、売上を伸ばす、そればかりを考えていましたが、この経験を通して、人生の充実度は売上だけでは測れない部分もあると感じるようになりました。忙しすぎて大切な人と過ごす時間がなくなってしまうのであれば、それは自分にとって本当に望んでいる状態ではないのかもしれない、と。

今は自分が目指す売上と生活のバランスを見極めながら働くことを大切にしています。

友達でも仕事仲間でもない。それでも生活に寄り添える美容師という仕事

越川さんが美容師として大切にしてきたのは、お客様との関係性

――越川さんにとって働くこととは?

美容師として働くことは、お客様の生活の一部になることだと思っています。

美容師って、家族でも友達でも恋人でもないのに、その人の日常のなかに入り込める存在なんです。たとえば「髪が伸びてきたな」と思ったときに、「そろそろ越川さんに切ってもらおうかな」と思い出してもらえる。そういう関係性が築ける仕事だと感じています。

世の中には上手な美容師さんはたくさんいますが、そのなかで「この人にお願いしたい」と思ってもらえるかどうかは、技術だけではないと思うんです。

自分のことを理解してくれている、自分に合った提案をしてくれる。そう感じてもらえることで、「有名な美容師」ではなく「自分にとって最高の美容師」として選んでもらえる可能性があると思うんです。そして、そんな存在になるのが私の目標のひとつでもあります。

そのために、お客様1人ひとりに合わせた提案を大切にしています。次回来店されたときのことを見据えてスタイルを考えたり、一緒にイメージをすり合わせたりしながら、その人にとって最適な形をつくっていく。

そうやって関係性を積み重ねていくことが、自分にとっての「働くこと」だと思っています。

――今後の目標を教えてください。

独立したいという目標はずっと持っているので、まずはそれを実現させたいと考えています。最初は一般的な美容室としてスタートし、将来的にはヘアだけでなく、ネイルやエステなども含めたトータルビューティーを提供できるサロンをつくりたいです。

人を輝かせる側に回りたいという思いから美容師を目指したので、その軸はこれからも変わらないと思います。

お客様1人ひとりにとって、髪型だけでなく、その人自身の魅力を引き出せるような環境を、自分の手で形にしていきたいです。


越川さんのお話を通して感じたのは、出会いを大切にしてきた姿勢です。お客様や一緒に働く仲間との関係のなかで、自分の考え方や働き方を少しずつ見直しながら、今のスタイルを築いてきました。

技術や経験だけではなく、人との関わりのなかで自分自身を更新し続けてきたからこそ、現在の越川さんの姿があるのだと感じます。

出会いをきっかけに、自分をどう変えていくのか。その積み重ねが、美容師としての価値を形づくっていくのかもしれません。


1
2


Check it

little 錦糸町
住所:東京都墨田区江東橋4-28-2下町ビル2F
TEL:03-6659-5331

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事

近くの美容師求人をリジョブで探す

株式会社リジョブでは、美容・リラクゼーション・治療業界に特化した「リジョブ」も運営しております。
転職をご検討中の場合は、以下の地域からぜひ求人をお探しください。

関東
関西
東海
北海道
東北
甲信越・北陸
中国・四国
九州・沖縄