山形栄介 interview：「美容師」への葛藤……。そして「美容師」の仕事が楽しくなった瞬間

南青山で絶大な人気を誇る「HAIR DIMENSION」の人気美容師と雑誌などでひっぱりだこのヘアメイク。２足のワラジで走り続けた10年間を経て、メイクアップアーティストとして独立した山形栄介さん。「現場に行くのが嫌だと思った時期もあった」と語る山形さんは、どうやって仕事と向き合っていったのでしょうか？

まったく『憧れ』がなかった、美容師という仕事

「小学生くらいの頃から何かを作ることが好きでした。絵を描いたり、工作したり。貰っていたおやつ代で食材を買って、料理をしたりもしてました。簡単なチャーハンなどですが、その方が菓子パンを買うよりも量を食べることができたので（笑）。そんなこともあって、高校生になって進路を決める時は『ものづくりの仕事がいい』と思いました。最初は料理人を考えていたのですが、角刈りにしないといけないという噂を聞いて。今思えば角刈り指定なんてないんですけども、『角刈りは無理だ！』と諦めてしまいました。そんな時、親が美容師の友だちが美容師を目指すと聞いて、軽い気持ちで一緒に美容師学校へ見学に行きました。その学校の雰囲気がなんだか良かったので受けてみて、通うことにしました。結局、その友だちは別の学校に行ってしまったんですが（笑）。

ところが、美容師に対してそんなに憧れや強い思いがなかった僕は、授業に興味が持てなくて……。みるみるとやる気を失っていきました」

葛藤の末に『やっぱり行くか！　表参道！！』

「僕は男３人兄弟の真ん中で、地元の友だちも男ばっかり。一方美容師学校は、圧倒的に女の子が多かった！　友だちができずにバイトに明け暮れて、夜は地元の友だちと遊んで、すると学校で寝てしまって……なんて生活を繰り返していたら、とうとう除籍処分ギリギリにまでなってしまいました。その時は悩みましたよ。美容師が自分に向いているとも思えなかったし、学校を辞めて就職しようとまで。でも、ここに入学したいと言ったのは自分。そしてお金を払ってくれたのは親だって気づいた時、申し訳なさでいっぱいになりました。せめて美容師免許だけは取ろうと、卒業まで頑張りました。晴れて免許を取って卒業したものの、就活なんてしていなくて。たまたま雑誌で見かけた表参道の有名美容室に見学だけは行きましたが、逆に圧倒され、働く自信がなくなったりして。そこで、学生時代から続けていたバイトのお店に就職しました。が、だんだん、このままでいいんだろうか……と葛藤し始めて。『やっぱり行くか！　表参道！！』と、やっと一念発起したのは、卒業して３ヵ月くらい経った頃でした。

僕、運がいいってよく言われるんですが、専門学校に一緒に見学に行った友だちが、たまたま有名美容室ヘアディメンションに就職していたんです。そこでまた、軽い気持ちで見学に行って、軽い気持ちで履歴書を渡しておきました」

吹っ切れた瞬間から、めちゃくちゃ楽しくなった！

「面接を受けたのは６月くらいかな。ちょうど新卒で入った子が辞めた時で人が足りなかったらしく、未経験なのに入社させてもらいました。ね、運がいいでしょう（笑）！　入ってみると、従業員もお客さんもおしゃれだし、広いし、当たり前ですが地元の美容室とは全然雰囲気が違う。中途入社だから丁寧に教えてもらえるわけでもないし、最初はとても不安でした。ところが、実はものすごく体育会系だったんですよ。筋肉隆々でゴツゴツの男っぽい人が多くて、先輩は超厳しかった！　でもそれが、男ばかりの中で過ごしてきた自分にはすごく馴染みがあったんです。『そんなに気負わないで、いつもの自分で頑張ればいいんだ』と、ストンと腹に落ちました。それからですね、仕事が楽しくなったのは。もちろん練習がうまくいかなくて悔しかったり、寝る時間が少なくて大変だったりしましたが、辛い・辞めたい、という気持ちは全くなくなりました。そのうちに仲間が増えて、先輩にもいろいろ教えてもらえるようになって、毎日めちゃくちゃ楽しかったです。

やがてスタイリストになったその日に、先輩からヘアメイクの仕事を紹介してもらいました。やはり不安にはなりましたが、やるしかない。でもそうやって続けていたら、ヘアメイクの仕事がどんどん増えていきました。」

勤務10年。今までとは違う世界に旅立ちを

「ヘアディメンションには10年いました。サロン美容師と雑誌のヘアメイク、２足のワラジで。休みは全くなかったです。でも、楽しくて楽しくて仕方がありませんでした。当時、撮影でヘアメイクの大御所、森ユキオさんとご一緒する機会もありました。大御所なだけにすごいんですよ、プロ意識と集中力が！　ヘアディメンションとはまた違ったメイクのやり方をしていて、話していてすごく面白かったです。ところで、ヘアディメンションには10年ジンクスがありました。不思議なんですが、なぜか勤務10年目で独立する人が多かったんです。僕も７～８年目くらいから、今後どうしていくかとなんとなく悩み始めて、９年目になった時には全然違う環境に行きたくなりました。すでに独立して自分のサロンを立ち上げた先輩たちからの誘いはいっぱい受けました。けれど、僕はディメンションとは全然違う世界を見てみたかった。そんな時、森さんを思い出したんです。そういえば、何年か前に一緒に食事に行った時に『ウチに来れば？』って言ってくれていたなあって。森さんは忘れているだろうけど（笑）。

森さんは美容が大好きな人で、知識が豊富で話していてとても楽しいし、ヘアディメンションとは違う技術をいっぱい持っている。ここに行けば、今まで知らなかったことがいっぱい勉強できる！　そう思って森チームの門を叩くことにしました」

新しい知識を吸収できる喜び

「その前に、違う世界も見ておこうと（笑）。３ヵ月間お休みをいただいて、世界一周旅行に行きました。ヨーロッパから入ってペルー、チリなど、世界各国を周りました。片言の英語と身振り手振りで会話しながら、地域の野外パーティーに飛び入りしたりして、楽しかったです。ホテルも電車も手配は自分で行い、もちろん荷物を持ってくれるアシスタントはいない。なんでも1人でこなすリハビリだったんです。森さんのところに行って、全く違うやり方でも素直に聞くことができたのは、この経験のおかげだと思います。森さんのメイクの技術はやっぱりすごくて、新しい勉強は思った以上に素晴らしく楽しかった！森さんはいろいろサロンを立ち上げてるんですけど、今は青山のROIという美容室。僕は、そこに所属しているフリーランスのヘアメイクです。今の仕事は、女性誌の撮影の時にモデルのヘアメイクをすることがメインです。ショーなどは積極的にはやっていませんが、親しいモデルさんに指名された場合はやります」

諦めなければ、なんでもできる。

「今、雑誌を読む人はどんどん減っていっています。モデル写真も『すごく格好良いもの』よりも、親しみのあるスナップ的なものの方が人気がある。森さんとよく話しているのは、雑誌がなくなっていっても、最後まで指名されるような仕事をしよう、ということ。それは、ひたすらに技術力を磨いていくことに尽きますね。でも、たとえばブライダルや一般向けのメイクスクールなどもありますし、ヘアメイクという仕事はなくならないと思っています。女性にとって『美しくなること』ってすごく喜びがあることですから。失敗することはもちろんありますよ。女優さんやモデルさんに、『なんか違う』って言われたこと。自分のせいで、作品全体がピシッと決まらないこと。そういう時は、どう改善していけばいいのか、頭フル回転で考えます。落ち込みはしますけど、それで仕事のクオリティを落とすわけにいきませんから、きちんとしたものを作るということに集中するようにしています。逆に嬉しいのは、最高の仕事ができた時です。この仕事はチームワークですから、モデル・スタイリスト・カメラマン、全てのスタッフがプロの力を合わせます。それで最上級の仕上がりになった時は、鳥肌が立つほど嬉しいです。

僕が最初に現場に行った時、自分には完全に向いてないと思っていました。女性の世界だしね。撮影に行く前に嫌だなって思ったこともあります。でも今は、めちゃくちゃ楽しい。仕事って、向き不向きじゃないと思います。苦手だろうが、興味がなかろうが、続けていくものです。決めたことを諦めないで続ける。その先に喜びがある。諦めなければ、人はなんでもできる。僕はそう思います。」

Company

こだわりの技術を体験できる初回キャンペーン

圧倒的な技術力を誇る美容室ROI。
初めてROIにいらしたお客様の施術料金を30％OFFにてご提供させていただくキャンペーンを実施中です。
対象のメニューなど、詳しい情報はサロンへお問い合わせください。

他キャンペーンもあります。http://www.roi-hair.com/news/※山形さん、代表の野口さんは対象外です。

ROI

MARIS代表だった野口尊さんが独立して代表を務める、南青山の美容室。
ヘアメイクの大御所、森ユキオさんがROIヘアメイクチームの代表。
お客様の髪の健康にこだわったトリートメントやカラー、ヘアメイク専用ブースの設置など、随所にセンスが光る。
ヘアメイクサロン。アンティーク調の落ち着いた店内で、リラックスしながら最新の技術を体験できる。

ROI
〒107-0062 東京都港区南青山5-7-21-B1F
TEL:03-6434-1168

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