新人時代に失敗するほど、人は成長できる。スタイリストデビュー直後から楽しめた美容師の道「EMU international GROUP」飯田千裕さん

埼玉県春日部市を中心に展開され、創業50年を迎える美容室「EMU international GROUP」。今回お話を伺ったのは、2007年の新卒採用で「EMU international GROUP」に入社し、現在はスタイリスト兼プレスマネージャーとして同社を牽引する飯田千裕さんです。

前編では飯田さんが美容師を志したきっかけや、「EMU international GROUP」に入社した当初の経験について伺いました。

後編では、スタイリストデビュー後の飯田さんについて伺います。多くの人がデビュー直後に苦労するなか、飯田さんはすぐに楽しさを感じたのだとか。その理由はアシスタント時代にたくさんの失敗を重ねたからだと考えているそうです。

お話を伺ったのは…

飯田千裕さん

「EMU international GROUP」スタイリスト／プレスマネージャー

埼玉県出身。ブライダルのヘアメイクに興味を持ったことをきっかけに美容業界に入ることを決意。美容専門学校を経て、2007年に「EMU international GROUP」に入社する。現在は2人の子どもを育てながら、スタイリスト、プレスマネージャーとしてサロンを支えている。

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たくさんの失敗を経験。どんなことがあっても支えてくれた先輩たち

――新人時代の印象的な出来事はありますか？

新人時代に経験するあらゆる失敗を、一通りしてきたのではないかと思うほど、多くの失敗をしたことです。

たとえばシャンプーの際にお客様の襟を汚してしまい、とても落ち込んで、「もう辞めます」と泣きながら朝礼で謝ったこともありました。でも先輩から、「やってしまったことは仕方ない。しっかり謝って、繰り返さないことが大事だよ」と励まされて。どんなに失敗をしても、いつも先輩たちに支えてもらって続けることができたと思います。

――先輩たちのサポートが大きかったのですね。

はい。「EMU international GROUP」には本当に人柄のいいスタッフが多く、こんなに温かい美容室はほかにはないのではないかと思います。メンター制度というものもあって、ひとりのスタッフに対してひとりの先輩がつき、技術だけでなく心のケアまでしてくれます。

自分の課題を解決策まで一緒に考えてくれますし、必要があれば会社全体で改善に取り組んでくれます。そうやって伴走してくれる環境があるから、とても働きやすいんです。

――スタイリストデビューはどのくらいで？

3年ほどでデビューしました。デビュー直後からとにかく楽しくて、1年上の先輩にも「デビューしてすぐにそんなに楽しいなんて、ちょっとおかしいよ（笑）」と言われるほどでした。

当時、技術が特別優れていたわけではないと思いますが、自分でお客様を担当できること自体が楽しかったんです。アシスタント時代はスタイリストをサポートするのが役割でしたが、今度は自分が施術を提供し、その対価をいただける。お客様と直接向き合う時間は、本当にかけがえのないものでした。

――これまで担当したなかで印象に残っているお客様はいますか？

初めてカットを担当した男性のお客様です。その後ずっと指名で通ってくださって。結婚を機に引っ越され、最後の来店時に「実はあなたが私の最初のお客様だったんです」とお伝えしました。未熟な技術だったと思いますが、ずっと担当させていただいたことに感謝しかありません。

託児所も完備。女性が安心して働ける環境

――スタイリストとしての楽しさに、変化はありましたか？

楽しい部分の根拠が徐々に変わってきたかもしれません。デビュー直後は「美容師になれた」こと自体が楽しかったんです。でも35歳を過ぎたころから、自分の技術が安定し、どんなお客様にも対応できるようになってきて、美容師としての楽しさをより深く感じるようになりました。

――これまで、美容師を辞めたいと思ったことは？

一度もありません。それは「EMU international GROUP」の環境による部分が大きいと思います。この会社には私と同じくらい、もしくはそれ以上にキャリアを積んだ女性のスタッフが多いのですが、女性が働きやすい環境が整っており、出産・育休後の復帰率は100％なんです。

――どんな点が働きやすいのですか？

一例を挙げると、美容室内に託児所があることです。美容師にとって日曜日はお客様が多く忙しい日ですが、多くの保育園は日曜日がお休み。その点、託児所があることで安心して働けます。

実際、私の美容専門学校の同級生は妊娠や出産を機に美容師を辞めた人も多かったのですが、私は託児所に支えていただいたおかげで、現在もふたりの子どもを育てながら安心して仕事を続けられています。

新人時代に多くの失敗を経験することが大切

――美容師としてやりがいを感じた瞬間は？

27歳のとき、さいたまスーパーアリーナで行われたヘアショーの担当を任されたことです。数社の美容室が合同で開催する大規模なショーでとても大きなステージだったため、衣装やメイクも通常より華やかに見えるよう工夫を凝らして準備しました。

当日はとても緊張しましたが、大舞台に立つ機会はそう多くはありません。美容師だからこそ経験できた、貴重な体験だったと思います。

――美容師として心がけてきたことを教えてください。

お客様の心の声を聞くことです。「EMU international GROUP」では新規のお客様やご希望の方に30分間のカウンセリングを行います。これまでの髪の履歴や悩み、理想を丁寧にヒアリングしなければ、お客様の納得のいく仕上がりにはならないからです。

実際、その結果として次回予約をしてくださる方が多く、信頼につながっていると感じています。

――飯田さんにとって、新人時代の経験はどんな学びになりましたか？

「失敗をすることで学べる」ということです。私は美容師の失敗をほとんど一通り経験してきたと思います。そしてその度に先輩から指導してもらい、今では同じミスをしないようになったと考えています。

だからこそ、これから美容師を目指す人たちには、アシスタントのうちにたくさん挑戦して、たくさん失敗してほしいです。デビューしてしまうとプライドがじゃまをして聞けないことも出てきます。失敗を恐れず経験することが、デビュー後の安心につながると思うんです。

私がデビュー直後から仕事を楽しめたのも、アシスタント時代に数え切れないほど失敗をしたからだと思っています。はじめは失敗して当たり前。でもその経験が、スタイリストになったときの強さになります。大舞台での経験も、日々のサロンワークも、全部が自分を育ててくれるので、安心して一歩を踏み出してください。

飯田さんが新人時代を充実させることができた３つの理由

1.失敗を恐れず何事にも取り組んだ

2.先輩の支えがある環境に就職した

3.経験を次につなげる前向きな姿勢を持っていた

取材を通して感じたのは、失敗を恐れず挑戦することが、成長への一番の近道だということ。そして18年もの間、美容師を続けてきた飯田さんが、今なお仕事を楽しんでいる姿からは、美容師という職業の大きな可能性を改めて感じました。これから美容師を目指す人も、どうか恐れずに前へ進んでみてください。