来るから待つサロンより自分から出向く現場が好き アロマテラピーサロン&スクールChelseaオーナーセラピスト原奈美さん#2
鎌倉御成通りに隠れ家サロンを構え、産婦人科専属メディカルアロマセラピスト、さらにアロマスクールも運営し、育てたセラピストを病院に送りこむ派遣業までされている原奈美さん。前編では、海外勤務先のシンガポールで英国IFA資格を取得したこと、帰国後は産婦人科や内科・耳鼻科でのセラピスト業務を拡大していったお話を伺いました。
この後編では、他にはない専門的な内容だというスクール業について教えていただきました。セラピストひとりひとり、目的も違えば体型も手の形も違う。だから原さんのスクールでは生徒ひとりひとりに合ったオーダーメイドの手技を教えているのだそう。
生徒ひとりひとりに合ったオーダーメイドのスクール運営

――原さんはスクール&派遣業もされていますね。
産婦人科でセラピストをしているときにひとりでは回らなくなったので、生徒さんを育てて、その育った生徒さんをスタッフとして雇うようになりました。サロンと派遣業とスクールの3本柱でやっています。
――スクールのホームページには「その方に合ったコース設定」とありました。
大手スクールではベッドを何台も並べてやりますが、先生との接触が少ないので、実際どうやって手を当てたら最大限に気持ちよくなるかまでは教えてもらえないことがほとんど。スクール卒業後、実際の現場でお客様や患者様にドンピシャなマッサージができるようになるとは限らないです。でもわたしのスクールでは、先生1:生徒1~2の基本マンツーマンです。
――マンツーマンでどんなレッスンを?
2時間のレッスンだったら、前半はわたしがモデルになり生徒さんの施術を受けながら「ここの手の当て方はこうして」とか「ここはもっとグッと入れて」とかアドバイスします。後半では自分の施術を生徒さんにも受けてもらいます。自分が施した手技を今度は自分が受けることでさらに理解が深まり、各セラピストに合ったマッサージができるようになるんです。
――セラピストひとりひとりに合った手技。
そうです。肘が張っている、肩が入っているなどその人の体形や手の大きさ、指の反り具合で教え方はまったく違ってきます。手が浮いていたり、角度が違ったりしてセラピストがやりづらい状態だと、相手も気持ちよくないんですよね。それだとアウト。生徒さんひとりひとりに合ったマッサージができるようになることが、他のスクールにはない特徴だと思います。
――施術内容以外にも特徴が?
いきなり100時間数十万円のレッスンはやっぱり大変なので、その人が今後どういうセラピストになりたいかを入校前によく聞いて、時間数も小分けにしたオーダーメイドにしています。例えば職場のスタッフや家族にやってあげたいなどの希望があれば、チェアでの施術をメインに10時間くらいのプログラムを組みます。これも他のスクールにはない特徴だと思います。
――趣味で始めるような人はあまり?
趣味で始めて本格的にやりたくなる方も多いですね。だんだん楽しくなって最終的にメディカルアロマセラピストコースにスライドして、結果産婦人科の派遣スタッフになっている生徒さんもいます。
――派遣先はどうやって見つけるんですか。
20年前、病院で経験を積んでいるセラピストはほとんどいなかったので、ドクター同士の繋がりで「うちにも来て」とお声をかけていただくことが多かったです。産婦人科でひとつ経験を踏んだら、その経験が欲しいという内科や耳鼻科のドクターに口コミで伝わっていくという感じで。
あとはMR(医薬品の営業)の親友が力を貸してくれました。その当時、保険診療から自由診療を取り入れたり、アロマを医院に取り入れたいというドクターも少しずつ増えてきていることを教えてくれました。
――派遣スタッフを募集することも?
それはしていません。やっぱり自分が教えた手技とアロマテラピーに対するとらえ方が同じ方と一緒に働きたいです。セラピスト派遣会社はたくさんありますが、うちのスタッフ派遣業の強みは、すべての派遣スタッフの思いやレベルが同じであること。どんな方でもとりあえず派遣してしまうような考えはまったくありません。派遣するからには、その現場にとって最高のチームを届けたいです。
サロンの継続意義は「ビジネスとしてセラピストをやっている」という信頼感

――出張とスクール業の後にサロンを持ったんですか。
産婦人科スタートと並行して、茅ヶ崎の実家にもサロンを一部屋持っていたんですが、仕事の割合としては出張が多かったですね。
――原さんのセラピストとしてのスタートの形はやっぱり珍しいですよね。
そもそもシンガポールのスクール選びを間違えたというか(笑)。でもすごく分かったことがあるんです。新卒からシンガポールの転職先までずっと商社勤めをしていたんですが、物を動かす仕事だったので、人の喜ぶ顔を見たことがなかったんです。インドの工場に無理言って交渉して出荷調整しても、本社に電話したら「はいありがとう」で終わり。誰が喜んでいるのかまったく分からなくて、だんだん商社は向いてないなと思えてきて…。シンガポールの商社を辞めるときに社長に「人の喜ぶ顔が見える職業につきたい」と言ったのを覚えています。
――それでアロマを仕事にしたんですね。
当時は人とコミュニケーションをとることが好き。その上でマッサージをすることが楽しい。それを喜んでくれる人がいることが嬉しかったので、自分が好きなことができれば場所にはこだわらなかったです。サロン開業がゴールというセラピストの方とは少し違っていたかもしれませんね。結局、現場が好きなんです。
――原さんがおっしゃる「現場」はサロンではない?
来るから待つのではなく、自分が行くのが現場。そんなわたしが教えているので、自然と現場好きな生徒さんが集まってくるのかもしれません。でもサロンを継続することで自分を律することができると思っています。
――詳しく教えてください。
鎌倉のサロンを継続する意義は、ビジネスとしてセラピストをやっているという信頼感だと思っているんです。人の家にマッサージを習いに行くよりは、ちゃんと鎌倉という場所にサロンがあることで安心感や信頼感が生まれる。鎌倉の高い家賃を払ったら10数人分のマッサージ代が消えてしまうけど、それがひとつのプレッシャーとなって必死になれる。店を持つプライドみたいなものに力をもらっています。
セラピストに向いているのは人に興味がある人

――アロマセラピストの魅力を教えてください。
お客さまとお話することとマッサージが両方セットになっていることです。わたしのお客さまは、施術中ずっとおしゃべりしていて寝ないんですよ。だからアロマじゃないんじゃないの?って話なんですが(笑)。
施術前の会話で1時間経過なんてことも珍しくないです。でもだからこそ分かることってあるんですよね。もちろん嗅覚反応だけで好きな精油を選んでいただいてもいいんですが、先月悩んでいたことはクリアになった。じゃあ今回はこの精油をベースにしてこっちを加えようとか。お客さまとの会話そのものが、カウンセリングなんですよね。
――ではアロマセラピストを目指す人にメッセージをお願いします。
セラピストに向いていると思うのは、人に興味がある人。カウンセリングをして、その人にドンピシャな精油をブレンドして、尚且つドンピシャのところに触れる。アロマセラピーってフルコースじゃないですか。それは人に興味がないとできないですよね。ちょっと辛辣かもしれませんが、人を癒したいが先に来る人よりも、結果癒やしていたという人がいいセラピストになっていると思います。
――最後に原さんにとって働くとは?
ひとことで言えば「楽しむ」こと。商社時代は会社に行きたくないなと思うこともしばしばありましたが、セラピストになってからは一度もないんです。だから「働く=楽しむ」。その一言に尽きますね。
原さんがアロマセラピストとして成功している理由は
1.産婦人科、内科、耳鼻科など病院でたくさんの経験を積んだ。
2.セラピストひとりひとりに合ったマンツーマン&オーダーメイドのスクール運営。
3.人に興味がある。人が好き。
施術中ずっとおしゃべりしているアロマサロンって珍しいなと思いましたが、インタビューが終える頃には、原さんとならそれも心地いいかもと思える自分がいました。会話=カウンセリングは、施術のうちの重要なファクターですよね。
撮影/森末美穂
取材・文/永瀬紀子
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アロマテラピーサロン&スクールChelsea
住所:神奈川県鎌倉市御成町6-4
電話:0467-22-1573
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