おとな塾・子どもを丸ごと認めてあげよう【子育てが楽しくなる処方箋 #2】
ビューティ業界で働くママやパパは毎日忙しいので、「子どもと過ごす時間が少なくて…」「子どもの気持ちがわからない」など、子育てが辛いなと思うことも少なくないはずです。
また、サロンにお子様連れのお客様がいらしたときに「どのように対応したらいいの?」と、そんな疑問も起こりますね。
そこで、フリーアナウンサーでNPO法人「親子コミュニケーションラボ」を主宰している、天野ひかりさんにお話を伺いました。
ご本人も、現在中学2年生の女の子のママ。5月末に著書『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』(サンクチュアリ出版)を出版されたばかり。とっても参考になる貴重なアドバイスです。
この#2では、子どもをもっと理解するところからのお話を。
勉強は始める前に、その子の器を大きくしてあげよう
自己肯定感を育まれた子どもは、具体的にどのように成長をしていくのでしょうか。天野さんは3つのことを教えてくれました。
① 新しいことにチャレンジする勇気が持てる。
水泳を始めよう、サッカーを始めよう、学芸会の準備をしよう、掃除をやってみよう、新しい環境で皆と仲良くしようなど、新しいことを前向きにとらえて、そこで学ぶことができるようになります。
② 壁にぶつかったとき、乗り越えていける
新しいことを始めると、友達に意地悪を言われたり、先生に怒られることもあります。思ったようにうまくできない場合もあります。でも、そんな壁を「私は私だから大丈夫」と乗り越える力がわいてきます。
③ 相手の気持ちや立場を認められる
友達や仲間など自分以外の人の立場を想像できて、認める力がつきます。でも、まずは、自分の主張が十分に認められてからできることなので、発達途中に小さい子どもには難しいもの。①や②に比べたら、少し長い目で見守りましょう。
「5月に出版した著書『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』でも、この自己肯定感を育てることを中心に書いています。残念ながら、日本の子どもたちは、自分に自信がないのです。平成26年の子ども・若者白書によると、自分自身に満足している割合が5割弱。他国は、韓国は71%、アメリカは86%、ドイツは80%と日本に比べると高い数字がでています」
もちろん、英語が話せたり、難しい本が読めたほうがいいけれど、その前に「その子の器を大きくする=自己肯定感を育てる」ことが大切だと、天野さんは言います。知識、情報、社会のルールを水とするなら、それを受けとめるその子自身の器を大きくすることが、まずは必要です。
子どもの良いところも悪いところも個性です
「自己肯定感が育むことが大切だとわかったけれど、何から始めたらいいんだろう?」と迷ったときに、まず一番初めにトライして欲しいのが、子どもの良いところも悪いところも、どちらも認めてあげることです。悪いところも子どもの個性なのです。
「例えば、ご飯をこぼしながら食べる子どもに、ママやパパは『こぼさないで食べなさい』と怒ってしまいがち。でも、こぼしながらでも食べられたのは、本当はすごいことです。だから、『よく食べたね。がんばったね』と、まずは子どもを認めてあげます。そのあとで、こぼさないで食べるルールを教えるのです。364日こぼしたとしても、1日こぼさずに食べたら『こぼさずに食べられてすごいね』と子どもを認めてあげる。364回『こぼさずに食べなさい』とどなるよりも、1回の『こぼさずに食べられたね』という言葉がけが、子どもの心に響きます」
子どもの悪いことを良いことに変換しよう
大人でも、長所と短所は表裏一体である場合があります。子どもも一緒なのです。でも、わかっていても、子どもの悪いところを認めるのは難しいものです。
「講座でよくやるのが、子どもの短所をあげて、それを長所に置き換えるとどうなるのかというワークです。例えば、おっちょこちょいという短所は何事にも好奇心旺盛、大人しいという短所は人にやさしいなど、長所になります。子どもに声をかけるときに、『おっちょこちょいね』ではなく、『好奇心旺盛ですごいね』と言って認めてあげてから、改善した欲しい点があったら『◯◯はこうしたほうがいいよ』と言いましょう」
このワークで書き出してみると、親も冷静になって、「うちの子も良い所がたくさんあるのね」と気がつくきっかけになるそうです。
#3は、子どもと話すときのコツが満載。コラム・お店に来てくれた子どもと仲良くするためコツQ&Aも必見です。
取材・文/大橋史子(ペンギン企画室)
Profile
天野ひかりさん
フリーアナウンサー、「NPO法人親子コミュニケーションラボ」主宰。自身の子育てと仕事の両立の経験や、アナウンサーとして多くの専門家に取材した知識や情報を、やさしくかみくだいいてママたちに伝えたいと、NPO法人「親子コミュニケーションラボ」を立ち上げる。子どものコミュニケーションを育む講座やイベントなどの企画・運営をしている。また、全国各地で講演や講座を行っている。たくさんの父母から「育児に関する考え方が変わりました」と、うれしい声が寄せられている。
天野ひかり公式サイト http://www.amanohikari.com
NPO法人親子コミュニケーションラボ http://www.oyakom.com
Information
子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ¥1,200/サンクチュアリ出版
5月に出版した天野ひかりさんの最新著書。子どもの自己肯定感を育てることの大切さを中心に、子どもとの会話がスムーズになるような具体的な例がたくさん掲載されています。外で騒ぐとき(飲食店や電車の中など)、宿題をやって欲しいとき、兄弟姉妹のけんかが始まったときなど、シーン別の具体的な会話のコツなど、参考になることがきっと見つかります。
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