美容師をずっと続けたい。だからこそ求めたのは、自分にフィットした働き方 私の履歴書 【美容師 Namiさん】#2

華やかでキラキラして見える一方、体力や精神力、地道な努力が必要とされる美容師の世界。この職業には女性も多く、プライベートやライフステージの変化などとの兼ね合いに悩む方も少なくないはず。今回ご登場いただくNamiさんも、そのような悩みを抱えながらキャリアを築いてきた美容師の1人です。

前編では、Namiさんが美容師を志した理由やアシスタント時代の様子、そして転職を経てスタイリストとして一人前になっていく姿をお伝えしました。

後編では、ライフステージの変化をきっかけに自分と仕事との関わり方を見つめ直し、東京・国分寺のヘアサロン「NEEM(ニーム)」にて現在の働き方に行き着くまでの経緯、そしてNamiさんの仕事観について伺います。

美容師としての働き方を見直した、埼玉・川越のヘアサロン時代

結婚を機に、埼玉の川越へ拠点を移されたというNamiさん。その後のキャリアについて、引き続きお話を伺った

――埼玉の川越でも、美容師は続けていたのですか?

はい。前職の吉祥寺のヘアサロンへ通うのを諦めた後は、気持ちを切り替えて川越のヘアサロンに転職しました。知人経由でオファーをいただいたのがきっかけです。

こちらは、地元での美容師歴が長く、1人1人がお客様を多く抱えるスタッフたちで作ったヘアサロンだったようで、お客様も常連の方が多い印象でした。

――そこでのキャリアはいかがでしたか?

正直に言ってしまうと、長時間労働が常態化していて、私としてはかなりしんどかったです。

都心のヘアサロンの営業時間は、始業も終業も遅めのところが多いんです。お客様にも若い方や独身層、働き盛りの方々が多く、彼ら、彼女らのライフスタイルに合わせているんですよね。

一方郊外のヘアサロンでは、始業が早いにも関わらず終業が遅いお店が多くて。ファミリー層や年配の方など、都心よりも幅広い年代のお客様をカバーするためでもありますが、シフト制ではなく基本的にフルタイムだったので、結果的に長時間労働になっていました。

――体力的に厳しい条件ですね…。

さらに、人手不足の問題もありました。私もスタイリストとして在籍していましたが、途中から入ったこともあり先輩スタイリストたちのアシスタントも兼務しなければいけなくて…。自分のお客様の施術に加えての対応だったので、営業中は休む暇もなくずっと忙しかったです。

――それはしんどい…。

川越に来てからは体調もずっと優れず、自分の趣味やプライベートを楽しむ余裕も無くなっていって…。自分の美容師としての働き方を、改めて見直すことにしました。

限界が来る前に辞めようと考えていた時、新卒時代の同期を通じて転職のオファーをいただいたんです。それが今のお店、東京・国分寺にある「NEEM」との出会いでした。これを機に川越のサロンを辞めて、拠点を東京に戻すことを決意しました。

ワークライフバランスが整った環境で、趣味やプライベートも充実

今のサロンと出会い、Namiさんの美容師ライフはどのように変わったのだろうか

――東京・国分寺のNEEMは、どんなヘアサロンなのですか?

結婚や出産を経てママになったスタイリストでも、産後の職場復帰で正社員として働けるようなお店を作ろう! というコンセプトでできたヘアサロンです。もちろん私を含め、ママ・パパではないスタッフもいます。

そのため、保育園等のお休みに合わせてお店の定休日も日曜・祝日、勤務時間も8時間で基本的に残業が発生しない仕組みになっています。

――日・祝休みに加えて、残業も!?

スタイリストが、担当するお客様に対してマンツーマンで最初から最後まで施術するスタイルを採用しているんです。

残業が発生しがちな理由の1つに、アシスタントの育成に関する業務があることから、NEEMにはアシスタントが在籍していません。こちらは分店の1つで本店は吉祥寺にありますが、そちらは通常の都心スタイルのヘアサロンになっています。

――そういうシステムなのですね!

今のお店に移ってからは体調も回復し、自分の趣味やプライベートも以前より楽しめるようになりました! 川越と今の国分寺との両店舗を経験したことで、ワークライフバランスって本当に大事なのだと、身に沁みて実感しています。

「NEEM 国分寺南口店」の内観。シックで落ち着いた、男女問わず気軽に来店できる雰囲気が魅力

――タイプの異なる複数の店舗を経験されてきたNamiさんですが、美容師として心がけていることはありますか?

お客様のライフスタイルに合わせたヘアデザインをすることです。お客様の来店頻度には個人差があるので、次にお店に来ていただくまでの間も、ご自身のヘアスタイルを楽しんでほしいと思っています。

ヘアカットなら自宅での再現性やボリュームの調整、ヘアカラーなら直後の色味はもちろん褪色の美しさ、パーマなら時間の経過に伴う落ち感…などといったように、時が経つごとの変化も楽しんでもらいたい。毎回そんな思いを込めて、お客様の大切な髪を預かっています。

小学生の私が志した道は、間違っていなかった

美容師一筋15年。インタビューを通じて、美容師としての自分を振り返っていただいた

――小学生の頃に美容師を志してから、Namiさんはずっと美容師一筋ですよね?

そうですね。気が付けば、もう15年になりますね!

――歴15年! それだけのキャリアを築いてきたNamiさんが感じる、美容師という仕事のやりがいを教えてください。

髪をお預かりしているお客様との信頼関係でしょうか。吉祥寺時代に担当させていただいてから、川越、国分寺と店舗を移っているにも関わらず通い続けてくださるお客様もいるんです。来店頻度はその時々のヘアスタイルなどにもよりますが、トータルで10年以上の付き合いになります。そんな中で、施術の合間にお客様たちの多様なライフスタイルの話を聞くのは、やはりとても楽しいですね。

また、暮らしに寄り添ったヘアスタイルだけでなく、時には人生のライフイベント、例えば結婚式に向けた華やかなスタイリングなどといった、特別で非日常なシーンに関わることができることも美容師の醍醐味だと思います。日々の仕事を通じてこれだけいろんな人たちに出会える職業って、そんなに多くないんじゃないかな。

――今後の展望はありますか?

美容師の仕事が好きなので、この仕事を続けていきたいです。

これまでには体力的なしんどさなどもありましたが、今のお店に来てからはそれらも解消され、活き活きと働けています。お客様とマンツーマンで施術ができ、最初から最後まで自らの手で仕上げられることも私には合っていて、心地いい働き方ができています。

――これから美容業界を目指す方へアドバイスがあれば、ぜひ!

ベタかもしれませんが、練習あるのみ! です。失敗を恐れず積極的に、たくさん経験を積んでいってください。

美容師の仕事は、お客様の表情などを通じてその場で結果がわかってしまうお仕事です。シビアに聞こえるかもしれませんが、その分、多くの喜びややりがいも感じられると思います。

――最後に、Namiさんにとって「働く」ということは?

「自分の好きなことや得意なことで、誰かを幸せにできること」。美容師の仕事は、少なくとも私にとってはそうです。お客様のヘアスタイルを作ることを私自身が楽しんでいるし、その結果、お客様に喜んでいただけています。

美容師以外の職に就くことを、これまでに考えたことがありません。かつて憧れた、美容師のお姉さんには今でも感謝しています。その人がいなかったら、私はきっと美容師になっていなかったかもしれない。

小学生の私が幼いながらに定めた将来の夢は、間違っていなかった。美容師という職に出会えて本当によかったと、心からそう思います。

「小学生の頃に憧れたお姉さんに、近づけていると思いますか?」という質問に、「思います…そうだったらいいな!」とはにかみながら答えるNamiさんも、きっと誰かの憧れになっているのだろう

Namiさんの成功の秘訣

1. 決めたことを最後までやり抜くグリット力

2. 人生のフェーズに応じて最適な働き方を求める柔軟性と行動力

3. 自身のキャリアやお客様のヘアスタイルにも発揮されている長期的な目線

撮影/米山大夢
取材・文/勝島春奈


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NEEM(ニーム)国分寺南口店
住所:東京都国分寺市南町3丁目7-12 カジュール国分寺101
TEL:042-404-2306
Instagram:@neem_kokubunji

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