読者の質問に若松先生がアドバイス! コミュニケーションの悩みを解決 #1

サロンの仕事は技術的なものだけでなく、接客する、スタッフミーティングや先輩と話し合うなど、コミュニケーションが必要になることが多いもの。中には、仕事は好きだけれど、人と話すのは苦手、なんて思っている人もいるはずです。

そこで、サロンで働く人たちの、コミュニケーションの悩みを聞いてみました。
ご実家が美容院を経営されていたという、心理カウンセラーの若松美穂先生が、皆さんの悩みにアドバイス。「どの悩みも、仕事を頑張りたいという思いのあふれたものばかり。悩み解消のお手伝いができればと思います」と、若松先生からのエールをいただきました。

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悩みケース1
東京・ヘアサロンスタッフ・23歳

「私は人と話すことが苦手です。友達となら普通に話せるのですが、同僚やお客さまとうまく話せません。会話が続かず、すぐにし〜んとしてしまいます。ヘアの仕事は好きなので長く続けたいと思うのですが。どうしたら、うまく会話ができるようになるのでしょうか?」

木

話すことよりも聴き上手をめざそう

相談者さんは、「話すことが苦手……」と思っているようですが、友達とは普通に話せるなら、実はそれほど苦手ではないのでしょう。もしかしたら、サロンで「お客様との会話が続いていないよ」と周りの人に言われるなど、何か理由があって、「私、話すことが苦手なんだ」と思い込んでしまったのかもしれません。苦手と決めてしまわず、「話ができる人もいるし、話が続かない人もいる」と、認識を変えるだけで、気持ちがラクになると思います。

あなたの周りに、人と話すことが上手だなと思う人はいませんか? コミュニケーション上手な人を観察していると、自分のことはそれほど話していないはずです。それよりは、相手の話を上手に聞き出していますね。実は、コミュニケーションで大切なのは、話すよりも聴くこと。聴いてもらうと、自分を受け入れてもらえたと感じ、聴き手に信頼感を抱きます。

自分の面白い話をしないと会話が弾まない、と頑張るのは、むしろ逆効果。会話のコツは、相手の関心のあることに、耳を傾けることです。たとえば、「旅行に出かけた」と、お客様がおっしゃったら、旅行先のことに関心を向けます。もしお友達がその話を始めたら、「どこへ?」「その時のお天気は?」「何が楽しかった?」「何がおいしかった?」と聞くはずです。

もちろんお客様なので、必要以上に入り込む必要はありませんが、そのときのことを教えていただく気持ちで、質問をしてみてはいかがでしょう。相手も、一生懸命聴いてもらえたら、もっと話したいと思うはず。聴く姿勢は相手に伝わるのです。

質問をするのが苦手だったり、何を聴いたらいいのかわからないときは、相手の話を繰り返してみましょう。「旅行に行って楽しかった」と言われたら「そうですか、楽しかったのですね」、「雨で残念だった」と言われたら、「そうですか。雨でしたか」と。そうすると、相手が「雨宿りのために入ったレストランのランチがおいしくて」など、次の話題を持ってきてくれるはずです。

花

聴くことは自分にとってもプラスに

「話す」とは相手に情報を分けることですが、「聴く」とは情報を分けていただくことでもあり、自分にとってもプラスになります。お客さまの中には、人生の先輩もたくさんいらっしゃいますし、同年代でも、自分には未知の世界に詳しい方もいらっしゃいます。生き方や考え方、結婚、育児、地域のあれこれ、ライフスタイルの情報を分けていただけるチャンスと考えてはいかがでしょう。自分が興味のある分野、またはどうしようかなと迷っていることなど、アドバイスをいただくつもりで、質問をしてみましょう。

また、「しーん」となるのがマイナスと思っているようですが、「しーん=必要な間」であることも。相手は次に何を言おうか考えている、そんな沈黙の場合もあります。だから、相手が話し始めるのを、待っていればいいのです。

もし、話が途切れたときに、雑誌に目を落としたり、目をつぶったりしたら、無理に会話を続ける必要はないでしょう。今は、これ以上話したくないという、意思表示です。
今の自分を「話すので苦手」「会話が続かない」とマイナスにとらえず、「話し上手よりも聴き上手」の美容師を目指して、できることを一つずつ始めてみましょう。

鳥

悩みケース2
神奈川・エステサロンスタッフ・25歳

「昔から、母や姉をマッサージしてあげたりしていたので、お客さまに施術するエステの仕事は天職だと思い気に入っています。もっと上手くなりたいと技術を磨く毎日です。そんな私が深刻に悩んでいるのが“接客”のこと。相手をリラックスさせないといけないのに、うまく対応しようと思うほど焦ってしまい、その緊張がお客さまに伝わるようで困っています。解決方法を教えてください」

大切な人を心地よくしたい…と想像して

25歳で天職と思えるお仕事に出会うことができ、さらに技術を磨く毎日。ご本人の日々の努力が伝わってくるような文面ですね。きっと仕事を頑張りたいからこそ、ぶつかる悩みだと思います。仕事に慣れてくると、サロンの仕事は技術を磨くだけでなく、サービス業として、接客も学ぶ必要があると、気がつくからです。

まず、目を向けてほしいのは、「お客様をリラックスさせなければいけない」と、堅くなっていないかどうか。また、「お客様の喜んでもらいたい。できればリピーターになって欲しい」と結果を出そうと考えるあまり、肩に力が入りすぎていないかということです。

お客様が満足したという結果は、後からついてくるもの。まずは、肩の力を抜いて、目の前のお客様のことだけを考えるようにします。お母様やお姉様にマッサージをするとき、どんな気持ちで、どのようにしているのかを思い出してみて。目の前の人に対して「うまく対応する」というより、「大切な人を心地よくしたい」と考えてみてはいかがでしょう。

広場

緊張したときにする、3つのこと

私は心理学講座を開きますが、こちらが緊張していると、生徒さんにも緊張が伝わり、堅い雰囲気になってしまうことがあります。相談者さんの場合も、こちらの緊張がお客様にも伝わって、お互いに堅くなっているのかもしれません。

私が緊張するときは、3つのことを自分に言い聞かせて肩の力を抜いています。
まずは、「結果は考えず、目の前のことに一生懸命取り組む」、そして「お客様と出会えたことに感謝する」、最後に「私自身がこの場を楽しむ」。もちろん、今でも緊張することはありますが、以前よりはかなり解消できるようになりました。

そして、この場合も、「聞き上手」なることを心がけます。話を盛り上げようとして、自分ばかり話すのはNG。相手に話してもらうように、心がけましょう。相手の話題について、感想を言う必要はありません。否定も肯定もせずに、相手に寄り添うように、ただ聞いているだけでいいのです。ときどき、相槌をうつと、「あなたの話を聴いています」という意思表示になります。

そのようなことを繰り返すと、必ずお客様から「また、お願いしたい」と言われるはず。相談者さんが希望するように、お客様に対して結果を出したことになります。

取材・文/大橋史子(ペンギン企画室)
撮影/AJHAJHA

Profile

若松美穂さん

若松美穂さん

心理カウンセラー、エッセイスト。生活情報誌「サンキュ!」や「ESSE」のカリスマ主婦として、家事、料理、節約などのアイデアを紹介して圧倒的な指示を集める。2011年心理カウンセラーの資格を取得し、現在は「心の整理術」をテーマに、講演、講座、雑誌、書籍などで活躍中。著書は「主婦が幸せになる60の方法」(双葉文庫)、「理想と違う自分を好きになる」(双葉社)など多数。
若松美穂の暮らしHAPPY STYLE
http://39.benesse.ne.jp/blog/wakamatsumiho/2
若松美穂のおいしい生活
https://esse-online.jp/57069
てのひらの幸せ
http://40s-style-happy.blogspot.jp

Information

理想と違う自分を好きになる

若松美穂さんの著書「理想と違う自分を好きになる」

¥1,296/双葉社

「理想の家庭」「理想の子育て」など、自分でつくりだした「理想」にしばられて苦しんでいる女性たちに届けたい心の処方箋。今の自分のいいところを認めて、気持ちを楽にして生きていける道を、一緒に探ってみませんか? 40’s style magazineの連載ブログ「てのひらの幸せ」に大幅加筆を加えた一冊です。

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