オーナーも認識!就職・転職前に考えるキャリア 自分で作る生き方とは #2

“キャリア”というと、みなさん、どんなことをイメージしますか? 一般的に職業経験とか、仕事に関する技能レベルなどを指すことが多い言葉ですが、本当は、個人が働くことを含めて社会と係わること、その人の「生き方」そのものがキャリアなのだそうです。つまり、“キャリアを積む”ということは、経験を通じて知識や技術を身につけることだけではなく、あなた自身を磨いていくことなんですね。
では、どうすれば、自分のキャリアをより良いものにできるのでしょうか?
今回は、就職志望の学生から企業の採用担当者まで、様々な場面で“キャリアプロデュース”を提案、サポートしているキャリアカウンセラーの松岡澄江さんに、その人らしいキャリアアップのヒントを伺いました。
美容業界人にも役立つアドバイス。この#2では、就職で後悔しないためのお話に加えて、雇う側にも知ってほしいことをお伝えします!

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せっかく就職してもすぐ辞めてしまうのは、なぜ?

松岡さん

――松岡さんは大学生の就職相談も行ってるそうですね? どんな相談が多いですか?
「そうですね。前回の#1でも挙げたように、『何がやりたいかわからない』という若者は少なくありません。就職事情はここ2年くらいは売り手市場ですから、とりあえず試験を受け、内定はもらい、条件の良いところを選んで入社する。ところが、3ヶ月くらいで『思っていたのと違った』と辞めてくる子がいるんです。『じゃあ、どう思ってたの?』と質問することから始めます」

――後悔しない就職先を選ぶにはどうすれば良いのでしょう?
「やはり、自分とその業界や職場のことを知ることではないでしょうか。今はインターンシップを取り入れている企業も多いし、その会社がダメなら、同じ業種の職場でバイトしたりするのも良いですね。美容師さんなら、納得いくまでいろんなサロンでバイトして経験値を上げるとか、憧れのサロンにお客様として行ってみるとか。働く意識で見ていれば、サロンの雰囲気やスタッフの動きなど、かなり見えてくることはあるはずです」

――人間関係で辞めたり、悩む人も多いんじゃないですか?
「ええ、多いですね。若者に限らず、どんな年齢でもどんな場面でも同様ですが、合わないなと思う人は必ずいると思った方がいいくらい。学生時代のように小さなコミュニティの中では、気の合う人、好きな人とだけ付き合っていればよかったのが、社会に出ればそうはいきません。年齢も働く意味だって人それぞれ。『働く上で一番大切なことは?』と聞けば、全員違う答えが返ってくるのが当たり前です。でも、自分と違う価値観を否定したり、されたりするのは苦しいですよね。まずは、一人一人違うんだということを認めなければなりません」

職場で求められるコミュニケーション力とは?

松岡さん

――コミュニケーションスキルを上げるにはどうしたらいいですか?
「よく誤解されている人が多いのですが、コミュニケーションスキルが高いというのは、誰とでも仲良くやっていけるということではありません。職場で必要なのは、自分を抑えて相手に合わせようとする“同調”ではなく、互いの異なる価値観を認め合いながら、仕事のパフォーマンスを上げようとする“協調”です。そのために必要なのは、気が合わない、話が合わないと思う相手にも、興味・関心を持つということ。どんな人なんだろう、どんな考えを持っているのかしら、という姿勢で接していると、その人が大切にしていることも見えてきます。
わからないから苦手、合わないから嫌い、ではなく、わからないなら質問すればいいし、相手の意見を認めた上で自分の考えも伝え、歩み寄ればいいんです。無理に仲良くなろうとする必要もありませんが、うまく付き合うことも含めての仕事なんだと割り切る必要はあると思います」

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雇い主に求められる“いまどきの若者”への理解

松岡さん

――サロンオーナーや人事担当者が気をつけることはありますか?
「企業や雇用側も、今は若手の育成に試行錯誤の状態ですよね。ご相談を受けていると、やはり『今の子は、少子化時代で大切に育てられたせいで打たれ弱い』、『自分から意見を言わない、質問しない』といったお声をよく聞きます。でもそれは、若者の多くが真面目だから。失敗を恐れ、それによって生じる気まずさを嫌うんですね。こんなこともできないと思われたくないから、分からないことを聞けない、質問できない。『どうしたいの?』と意見を聞かれると何が正解か分からなくて混乱してしまう。でもコミュニティが狭く、気持ちの逃げ場がなく、うつになってしまう……。これはもう、現代の若者の気質なんだと認めて、上手に向上心を引き出すことが大切です」

――どうすれば、今時の若者が育ちますか?
「彼らは、強くアピールしないだけでやる気はとってもあるのです。それに、認められたい、かまってもらいたいという気持ちは当然あるのです。よく、『ほめて育てろと言われるけど、ほめるとこなんてない』と仰る雇用主さんもいますが、必ずしも“ほめる”必要はないのです。例えば、ここまでできるようになったということを認めてあげるだけでいいんですよ。とってつけたようなお世辞や媚びるような甘やかしは不要。むしろ見透かされてしまうでしょう。叱られた経験が圧倒的に少ない彼らはこれからも増殖していきます。使う側も賢くならなければなりませんね」

松岡さん

――サロンのあり方も変わっていく必要がある!?
「そうです。職場は人で成り立っていますから。サロンのオーナーさんや経営者側にも、どんなサロンにしたいか、どんな価値をつけるか、どんなお客様に来て欲しいかというイメージはあると思いますが、さらに、どのようなスタッフとどのような雰囲気の職場にしたいか、どのようにスタッフに還元していくかを明確にすれば、それに共感できる若者が集まるでしょう。
人をうまく使うことは経営の一番の強みになりますから、それは、経営者として、ご自身のキャリアを見直すことでもあります。ぜひ、今の時代にあったイノベーション、チャレンジをしていただきたいですね」

いかがでしたか? 就職支援と企業の定着支援など、働く側と雇用側双方の気持ちが分かる松岡さんならではのアドバイス。

たまにはキャリアを見直し、転機だと思ったらまず動き出す!そんなステップアップでプラスのスパイラルを回しましょう!

取材・撮影/橋本弥司子
文/藤原克子
タイトル写真/AJHAJHA

profile

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松岡 澄江(まつおかすみえ)さん

日本キャリア開発協会CDA(キャリアデベロップメントアドバイザー)
1966年3月 東京生まれ
フリーランスで女性や教育関連分野の雑誌・書籍等の編集・執筆業務に携わった後、Web制作会社で管理職を勤めるなど、様々な「カタチ」でキャリアを築く。現在はその経験を生かし、就職・転職のご相談、自分らしさを考えるセミナー、コミュニケーション研修などを実施している。

HP:http://career-counselor.jp/matsuoka/
オフィシャルブログ:http://profile.ameba.jp/career-life/

キャリアデザインからキャリアプロデュースへ 自分で作る生き方とは #1>>

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