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野尻早苗 interview:自分の手をキレイにする!それには「好き」な気持ちと「自信」を持つこと

華やかなネイル業界にあって、ひときわ輝く可愛らしさと清楚さを持つ「フローレスネイル」。TV出演、書籍やDVDのリリース、日本や台湾などでのセミナーなど、まだネイリストという職業が一般的ではなかった時代から、業界の地位向上のため活躍してきた野尻さんの、ネイル業界への思いを本音で語っていただきました。

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自爪隠しから始めたネイル

野尻 早苗(のじり さなえ)さん

「ネイリストになったきっかけは、自分の手をキレイにしたかったからです。高校生の時、生活指導がすごく厳しい学校だったんですけど、薄いピンクのマニキュアを塗って通学していました。そして、すごく怒られてました(笑)。 早弁して、お昼もしっかり食べて、放課後は友だちと喋りながらおやつを食べて、食べたいだけ食べていたので太っちゃって、ダイエットをして。そういう生活を繰り返していたら、爪に斑点が出たり凹みができたりしてしまって、それを隠したい、という気持ちがありましたね。 ネイルアートをやってみたいと思い始めたのは大学時代。雑誌を見て真似して。絵を描くこと自体はそんなに得意ではなくて、今から思えばありえないくらい素人の描いたお花だったんですけど、それを見たとき『私の手、キレイになったー!』って、すごく感動したんですよ。あ、これは天職だな、って思いました。これが仕事になったらいいな、って」

アルバイトから入ったネイリストへの道

「当時はまだネイルサロンの数が少なくて、料金も高い時代だったんですが、学生には1回2万円なんてとても払えない。それもあって、自分で描いていました。その時はもう自分の天職! って思っていましたから、大学を出てからネイルスクールに通って、そのスクールに求人が来ていたサロンでアルバイトを始めました。とにかく早く働きたかったんです。ネイルを自分の職業にしたかった。 そうして、アルバイトながらも念願のネイリストになりました。時代も良かったですね。ネイリストは本当に少なかった。まだ授業は半分くらいしか受けてない学生をお客さまに入れるなんて、今、自分の立場で考えると、当時の店長さんはすごくチャンレジャーだったなぁと思います(笑)。 今、ネイルサロンはすごく多く細分化もされています。せっかく選べる時代になったのですから、今からネイリストを目指す人は、自分が何をやりたいのか見極めてからの方がいいですね。ジェル専門店だとアクリルはできないし、デコアートをやりたい人がOLさんの多い銀座の店に就職したりすると、自分のやりたいことができないでしょう? まずは方向性を決めてから就職先を探すといいと思いますよ」

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初めての失敗は「パステルカラー」

野尻 早苗さん

「ネイリストになって18年経ちますが、今でも忘れられないほどショックな出来事は、アルバイト時代の初めての失敗です。まだ技術も知識も自信もない中でがむしゃらに働いていたんですけど、ある日のお客さまがパステルピンクのマニキュアをご希望だったんです。でもその時、私はまだパステルの授業を受けていなくて。 赤などの濃い色はムラになりにくいのですが、パステルって本当に難しいんです。3度塗りをしましたが、案の定ムラになってしまって。お客さまは優しく『いいのよ』って言ってくださったのですが、その時は本当にショックで、接客も不慣れなので謝罪もままならず、ああ、これじゃお金をいただけない……、と心底落ち込みました。失敗談といえばそれです。一生の思い出ですね。 パステルカラーは難しいのにお客さまからのリクエストが多くて。その時期は、できないできない! と毎日練習しましたが、どんどん深みにはまっていきました。もうマニキュア塗るの嫌い! というところまで(笑)。そういう時は、無理に練習をしない方がいいですね。スランプに陥った時は、ペットと遊んだり、お友だちとおしゃべりしたりして、気分を変えていきましたね」

お客さまが可愛くなった瞬間、やりがいを実感

「それから一年くらいを経て、ネイルサロンへ社員として就職しました。その時もまだネイルサロンが少なくて、お客さまは『私の手は汚いんですけど、来てもいいんでしょうか……』とか『こんな手だから見せられない』という方が多かった。爪の形やささくれなど、指にコンプレックスのある方がキレイになるために、勇気を振り絞ってご来店されていた時代だったんです。 ある日、すごく……表情が暗くて、落ち込んだ雰囲気の方がご来店なさったんです。そこで一生懸命ハンドケアをして、シンプルなフレンチに塗りました。そうしたら、仕上がったご自分の手を見たお客さまのお顔が、パアッと明るくなったんですね、もう、少女マンガみたいにキラキラしたオーラが弾けて、すっごく可愛くなったんです! それを見た瞬間、この仕事のやりがいをはっきりと感じました。こんなに人って変わるんだ、目に見えるところがキレイになるって、女の子を心から変えていくものなんだ、いうことを、身体の芯から実感できて、心が震えました。 ネイリストになってまだ初期の頃だったので、忘れられない経験です。それが、18年間ひたすらネイリストを続けてきた大きな理由のひとつです」

ネイリストになるために必要なこと

野尻 早苗さん

「ネイリストになるために大切なことは? とよく聞かれるんですが、まず、ネイルが好きであることです。一日細かい仕事をしているでしょ。肩は凝るし目は疲れるし、キレイなだけの仕事ではないから、憧れから入ると続かないです。 『自分は不器用だから……』という生徒さんも多いですが、気にする必要は全くないです。不器用な人は器用な人よりも練習の回数が少し増えるだけで、最後に残るのはやっぱりネイルが好きな人! あと必要なのは、『自分にはできる!』という自信。そして体力も(笑)。私は毎日自転車で出勤しています。ジムに行く時間はないから、悪天候の日以外は毎日そうするって自分で決めたの。無理のない、自分にできることを続けていくことが大切ですよね。そして、自分で決めたことを持続していく意思の強さも重要だと思います」

アイデアを生み出すということ

「ネイルアートのアイデアは、外に出ることで生まれます。他のアーティストさんもそうだと思うのですが、例えば、インターネットや雑誌を参考にしていたのでは、それに似たものしか生まれないでしょう。人真似だったら誰でもできるし、何より自分が楽しくないですよね。 街にはアイデアが詰まっています。看板の色、カフェのコースターの文字、街を行く人々、生活の全てがデザインワークの基礎になります。自分が見たものをどう組み合わせるかが自分のオリジナルを生み出すということであり、技術だと思います。 わたしは、よく雑貨屋さんに行きますね。女の子向けの雑貨屋さんだけではなく、日用雑貨も。この色の組み合わせが可愛いとか、この柄を爪に活かしてみようとか、すごくヒントがあります。雑貨屋さんは撮影OKのお店が多いので、お店の方に声をかけてよく写真を撮らせていただきます。お洋服屋さんは撮影NGのお店が多いので、可愛いと思った色や柄は、しっかりと見ておきます。普段からよく見るクセをつけておくといいですよ。 忙しい時はなかなか買い物に行く時間がないのですが、どんどん視野が狭くなっていくので、できるだけ外に行くようにしています」

目指すべきは、トム・ホルコム

野尻 早苗さん

「影響を受けたネイリストは、トム・ホルコム。彼しかいないです。トムは、ネイリストにとって神とも呼べる人なんです。アメリカですごくキャリアがあったんですが、日本のネイリストたちのレベルが低かった時代に何度も来日してセミナーや講習会を行ってくれて、日本のネイル界を底上げしてくれた人。 彼のつくるフレンチスカルプチュアは形も薄さも全然違う。仕上がったものを見ると、『何コレ?!』ってみんなが思うんです。トムが作りだした世界、編み出した技術を目指して、みんなの技術が上がっていく。 悲しいことに、2年程前に若くして亡くなってしまいました。これからのネイリストは彼のことを知らない人が増えていくでしょう。だから、トムが残したものを受け継いでいきたいです。あの完成度を、完璧な美しさを、そこを目指すべきだということを、トムに直接教えてもらった世代は、若い人たちに伝えていかなくちゃいけないと思っています」

手から手へ、思いを伝えるネイリストへ

「美容業界で仲がいいのは、麻布十番のエステサロンのオーナー伊東香緒さん。とにかく素敵な女性なんです。肌がきれいで、スタイルが良くて、仕事ができて。彼女も経営者なので話が合うんですね。そういう、女性同士でのトークを楽しみながら、女性を美しくすることにもっと関わっていきたいと考えています。 この春には、私がプロデュースした化粧品が発売になります。最初はスキンケアからなのですが、ゆくゆくはグロスなどのメイク用品も開発したい! 化粧品開発は難しいですが、でもとても楽しみで、私が発売をワクワクして待っているんです(笑)。 そんなことができるのも、お客さまからうちのサロンを選んでいただけるからこそ。選ばれるネイリストになるには、技術よりも総合的な人間力が必要だと思います。具体的には、お客さまの好みの中で似合う色やアートを提案できる人であること。『この人なら全てお任せでいい』という信頼関係が作れたら、お客さまはずっとついてきてくれます。 『手当て』っていう言葉があるでしょう。直に人の手に触れられるということは、自分の手を通じてお客さまに元気を与えることができるんです。実際に、ケアをしている時、お客さまはみるみる元気になっていき、私がグッタリ……なんてこともあるんですよ! 手から手へ伝わるものってすごく大きいんです。そこまでいくには、やはり人間力を上げること、素敵な大人になることです(笑)」

Profile

野尻 早苗さん

野尻 早苗(のじり さなえ)さん

NPO法人ネイリスト協会常任本部認定講師“マスターエデュケーター” NSJネイルアカデミー講師 日本人で初めて“IBSロングビーチ”のスカルプチュア部門で1位を獲得。「TVチャンピオン ネイルアート女王選手権」の優勝。ネイルに関する著書の出版など、日本のみならず世界的な実績のあるトップネイリスト。 現在は、日本最大のネイルイベント“ネイルエキスポ”においてコンテストの審査員、NPO法人ネイリスト協会常任本部認定講師“マスターエデュケーター”、NSJネイルアカデミー講師を務める。

Shop Data

フローレスネイル
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フローレスネイル

日本を代表するトップネイリスト野尻さんが主宰する、上質なくつろぎと最高の技術を堪能できるラグジュアリーなサロン。 ハンドとフットのメニューも充実し、全身の指先回りをエレガントに演出してくれます。繊細で華やかなデザインに定評があり、レッスンも行っている。
フローレスネイル 東京都渋谷区恵比寿南2-1-12 サトウビル3F-A TEL:03-6427-0192 定休日/火曜日 HP:http://flawlessnail.jp/

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