お客様の傷ついたネイルを修復!シルクラップなどのリペアについて
せっかくきれいに施術したお客様のネイルが何らかの原因で割れてしまったときに、ネイリストはお客様のネイルの修復作業をします。その修復方法をネイル用語で「リペア」と言います。リペアにはシルクラップの使用、ジェルやグルーの使用、アクリルを使用、と3つの種類がありリペアを行う前にはプレパレーションという下準備も行わなければなりません。元のきれいなネイルに復元するため、どのリペア方法も専門的なプロのネイリストのスキルが必要なものばかりです。
今回は、いろいろなリペア方法について紹介します。
特殊なラップがネイルを修復!シルクラップについて
ネイリストが行うリペア作業において活躍するのがシルクラップです。シルクラップとはリペア専用の製品で文字通りシルク状のラップです。ネイルの割れている箇所、ひびが入った箇所を発見した場合、その箇所にシルクラップをかぶせます。しかし、それだけではリペア作業は完了ではありません。さらにその上にジェルを塗布し、そのジェルが硬化して初めてリペアは終了します。シルクラップだけではリペアをすることができず、ジェルと併用してリペア作業をしなくてはいけないのがシルクラップの特徴です。
シルクラップの裏地は粘着性のあるシール状になっていて、粘着性のある方をネイルの割れた箇所、ひびが入った箇所に貼り付けるとその粘着力により剥がれることはありません。シルクラップの中には柔軟性に優れたものもあり、あらゆる方向へ貼り付けられ修復箇所をすっぽりと覆うことが可能です。
リペアの際はシルクラップごとジェルを塗布してそのままジェルによってネイルに埋まってしまうので、シルクラップによりネイルが分厚くならないように薄くきめの細かいシルクが使用されています。リペアを行うネイリストにとって、割れたネイルの箇所を覆うために、より粘着性と柔軟性に優れより薄い製品が、シルクラップに求められています。
ひび割れ具合で使い分けよう!ジェルとグルーを使用したリペア方法
ネイルの割れた箇所、もしくはひび割れの入ったネイルのリペア作業を行うためにジェルやグルーを使用する方法があります。ネイル施術において、ジェルはジェルネイルをつくる際に使用、グルーはチップなどをつけるためのネイル専用の接着剤として使用、とジェルとグルーはどちらもネイルアートにおいて重要な道具です。
そしてこのふたつはリペア作業時にも活躍します。ジェルにはいろいろな種類があり、硬化したときの仕上がりがやわらかいものから硬質感のあるものまで、さまざまなジェルがあります。リペアのときに使用するジェルは、硬質感のあるビルダージェルを使用します。ビルダージェルを使ったリペアのやり方は、割れた箇所にビルダージェルを塗り割れた箇所を埋めて、さらに上からジェルを塗ります。
最後に登場するのが通常のネイルで、最終段階で使用するトップジェルです。リペアのときもこのトップジェルを塗り、硬化させたあとにまだ硬化していないやわらかいジェルを拭き取り、リペア終了です。ネイルの割れた箇所がそれほどひどくないときは、最初にビルダージェルではなくグルーを使って割れた箇所を接着します。接着がしっかりと完了したらビルダージェルの時と同様、ジェルを塗り仕上げにトップジェルを塗ってリペアを完了します。
もうひとつの人工爪をつくって修復!アクリルのリペア方法
ジェルやグルーを使用したリペア方法は「埋める」、「くっつける」という方法ですが、ネイルそっくりなものをつくりそのまま上に被せるという方法がアクリルを使用したリペア方法です。
アクリルとは、付け爪の一種であるスカルプチェアでよく使用されていた素材で、アクリルリキッドとアクリルパウダーを混合して作る人工爪の名称です。アクリルリキッドとアクリルパウダーは混ぜ合わせると、やわらかいクリーム状の個体となり、それを割れたネイルの上に乗せて爪の形を作ります。そのまま時間が経つと硬化してアクリルネイルが完成し、すっぽりと割れた箇所を覆いリペアが終了します。
リペアだけでなくネイルの補強、ジェルネイルを長持ちさせたい、ネイル表面のでこぼこを目立たないようにするなどの手段としてアクリルが使用されます。リペアによりアクリルを乗せてもそれほど違和感のない仕上がりになるのが、アクリルリペアのメリットです。そしてアクリルの上にさらにジェルやストーンビーズなどを乗せることも可能で、リペアだけでなく今のネイルに飽きてきたときに変化をつけたい場合にアクリルを利用できます。
ただし、アクリルリペアは専門の知識やスキルが重要になりますから、経験の浅いネイリストが対応してアクリルでのリペアや補強を行うと爪の健康を害するおそれがあります。そのため、アクリル使用の際は、リペアに対する知識があり、またたくさんの経験を積んでいるネイリストに相談することも考えてみるといいでしょう。
リペアの前にしっかりと下準備を!プレパレーションの重要性
ネイルの割れた箇所やひびが入った箇所を見つけても、すぐにリペア作業に取りかかってはいけません。リペアの前にプレパレーションといわれる下準備を行わなくてはいけないのです。
プレパレーションは従来のネイル施術を行う際にも必要な行程です。ネイルの元となる地の爪およびその周辺をきれいに整えて、ネイルが作りやすい環境のために必要な作業です。リペア前のプレパレーションもネイル施術と同様の作業をします。
最初に甘皮および甘皮の下の不必要な皮を除去して、爪の表面の汚れや油を取り除く作業を行います。次の行程ではネイル専用の爪やすりを使い、爪の長さや形状をきれいに整えます。そして次の行程が大事な作業で、割れた箇所と爪の表面の段差をなくし、表面全体を滑らかにするために爪やすりで磨きます。力を入れずに丁寧に行うことが大切です。以上がプレパレーションの行程作業です。このプレパレーションをしっかりと行わなければ、リペアのときに失敗するおそれがあります。
失敗の具体例は、リペアを終了した後に塗布したジェルが剥がれてしまう、または浮いてしまうなどの現象が起きやすくなります。これは特にプレパレーションの最後の行程である、爪の表面のやすりがけがしっかりとできていなかったために起こる失敗です。 失敗してしまうと、また最初からプレパレーションとリペアをやり直さなくてはいけなくなり、その度に爪に負担をかけることになるため、爪の状態が悪くなってしまう原因になりえます。
ふたつのリペア方法を合体!シルクラップを使ったリペア方法
シルクラップおよびシルクラップを使用したリペア作業は先に述べましたが、ネイルの大きなひび割れなどが起きた場合は、シルクラップとビルダージェル、グルーを併用したリペア方法があります。ネイルのリペア方法であるシルクラップで覆うやり方、そしてビルダージェルなどで埋める、くっつけると言うやり方、ふたつのリペア方法を合体させた方法です。
リペア方法は、先にネイルのひび割れた箇所をビルダージェルやグルーで埋める、あるいは付着させます。ジェルやグルーが硬化したらシルクラップを被せて、その上にクリアジェルを塗布し、硬化を確認したらまだ硬化していないジェルを拭き取ってリペアが完了します。
このように、二つのリペア方法を合体させたやり方なので修復の強度の高いリペア方法と言えますが、その一方でシルクラップとビルダージェル、グルーという異なる二つを合体させた方法ということもあり、相性が良くない場合があります。シルクラップもビルダージェル、グルーもさまざまな製品があるので、どれの相性がいいかは的確に見極めてネイルを施す必要性があります。
二つのリペア方法の相性が悪いとリペア後にジェルが浮いてしまうなどの現象が起きる可能性もあるので、お客様のネイルを修正する際には十分に気をつけましょう。