アレルギー反応も起こり得る消毒液のイロハ
ネイルの下準備や未硬化ジェルのふき取り、ネイル道具の消毒の際に、消毒液を使うことがあります。どれも美しいネイルを長く保つために重要な作業です。いくつかある消毒液のなかで、どれを使うべきか迷う人もいるでしょう。ここでは、消毒液の種類や使うタイミングについてまとめています。
また、消毒液にアレルギー反応を起こす人もいるので、使用時には注意が必要です。消毒液の選び方や施術時に気を付けるポイントなども含めて、お伝えしていきましょう。
ネイルで使う消毒液にはどんなものがあるの?
ネイルの際に使う消毒液には「無水エタノール」「消毒用エタノール」「消毒用エタノールIP」の3種類があります。「無水エタノール」は原液100パーセントということもあり、価格は高めです。一般的に洗浄などに使われますが、原液のままでは消毒効果が低いので薄めて使用しなければなりません。水を加え濃度80%にすると消毒効果が出るというものです。
「消毒用エタノール」は、無水エタノールに比べ価格は低めで、薄めなくてもそのままで消毒効果があるため、医療器具の消毒などにも用いられています。「消毒用エタノールIP」は、消毒用エタノールにイソプロパノールを少量含んだものです。酒税がかからない分安く、無水エタノールの半分以下の値段で購入できます。
ネイリストによってどの消毒液を使うのかは違いがありますが、ネイルの下準備に使うのは消毒用エタノールが多いようです。消毒用エタノールIPの場合、多少毒性が上がることも考えられるので、肌が弱い人は避けていることが多いです。ジェルネイルをふき取る際などは水分を含まない無水エタノールを使うという人もいるでしょう。消毒用エタノールに含まれる水分がジェルネイルの曇りにつながることもあるので、使い分けるというケースです。
ネイリストはどんな時に消毒液を使うの?
まずネイルをする際の下準備として、ダストを払ったあと消毒液を使い爪や爪の裏、キューティクルラインをふきとります。この工程がきちんとできていないと油分や汚れが残り、ジェルがはがれやすくなります。なかには爪にカビが生えたり、グリーンネイルになったりするので注意が必要です。
また、未硬化ジェルの拭き取りの際にも消毒液を使うことがあります。ジェルを硬化させるのにUVライトを使いますが、硬化できなかったジェルが多少残ることがあります。その際、消毒液などを使ってきれいに拭き取っておくのです。
水分によってジェルネイルが曇らないよう、エタノール100%の無水エタノールを使うケースが多いでしょう。きちんとツヤを出すことを考え、未硬化ジェルのふき取りは消毒液ではなくジェルクリーナーを使うという人もいます。さらに、ネイル道具の消毒の際に消毒液を使うこともあります。コットンに消毒液を含ませ、道具の汚れなどをふき取ります。
施術後、自分の手や指をふき取る際にも使うことがあるでしょう。手早くきれいにしたいときにはおすすめです。道具を消毒液に浸して消毒する際は一定の量が必要なので、エタノールでは金額的に負担が大きいという場合、逆性石鹸を用いることもあります。
ジェルネイルを長持ちさせるために!セルフケア方法をアドバイスしよう
ジェルネイル施術後、ネイルを長持ちさせるためお客様にケア方法を聞かれることもあるでしょう。体質的に手汗症の方や爪が薄い方など、早めにはがれてしまうという人がいます。体質以外にも生活習慣や癖によって2~3週間しか持たないという人も。
例えば、水仕事が多い人、一日中キーボードを打つ仕事の人、手先を使う仕事で酷使している人などです。そんなときは適切なケア方法をアドバイスしましょう。まず、手を洗ったときや就寝前に、爪の周りにハンドクリームを塗ることや、伸びてきた部分にマニュキュアのトップコートを塗ることなどです。
そのほか、シャンプーするときは爪ではなく指の腹を使ってシャンプーすること、食器洗いや風呂洗いは手袋を使うなどのアドバイスもしてあげましょう。細かいことですが、1週間程度モチに違いが出てきます。また、ネイルをしていないときの簡単なセルフケア方法もアドバイスしてあげるといいですね。爪ヤスリで長さを整え、ガーゼで甘皮をオフ。凹凸は爪やすりできれいにしてあげましょう。
最後にネイルオイルを全体になじませれば、ネイルをしていなくてもツヤがあるきれいな爪を保つことができます。ネイルオイルは適度な保湿状態を保ってくれるので、健康的な爪の成長にも役立ちますよ。
施術前に確認しよう!消毒液によるアレルギー反応
お客様のなかには、消毒液でアレルギー反応を起こしてしまうという人がいます。手が赤くなったり腫れたりという症状が多いようです。ひどい人になるとかゆみを伴い、赤く腫れあがるケースもあります。そのため、施術前には必ずアレルギーがないかどうか確認をしましょう。特に、もともとアルコールに弱い人などはアレルギー反応を起こしやすいというケースもあるので注意が必要です。
アレルギー反応の可能性がある場合は、アルコールを含まない別の成分を使った消毒液などを使うという方法があります。消毒以外にもジェルネイルの場合は、ジェルにアレルギー反応を起こしてしまうという人がいます。
ジェルネイルには「HEMA」という科学物質が含まれており、アレルギー誘発物質なので肌が弱い人は注意が必要です。ジェルネイルアレルギーは「接触性皮膚炎」とも呼ばれていて、発症してしまうと完治は困難です。そのため、アレルギーを軽視せず確認後の正しい対応が求められます。ジェルネイルアレルギーの可能性がある場合は、施術をお断りしなければならないこともあるでしょう。
もし、ネイリストがジェルネイルアレルギーを発症すると、ネイリストを継続できない可能性も出てしまいます。ジェルに触れないよう薄手の手袋などはめて仕事をする人もいますが、細かい作業は難しくなりますよね。主な症状は、かゆみや腫れ、赤み、水泡などですが、放置しないようにしましょう。初期の段階で皮膚科へ行き、治療を行うことが重要です。
アレルギー反応のあるお客様には気遣いを忘れずに!
ネイリストとしてより安全な施術を行うためにも、お客様に対するアレルギー対策は可能な限り行っていきたいですよね。そのために重要なことは、施術前に必ずアレルギーに関する確認を行うこと。消毒液の場合、アルコールに対するアレルギーがある人には、アルコールを含まないものを使用すれば大丈夫ということになります。ある程度アレルギー反応が出やすい方や肌が弱い方用の準備も必要になるでしょう。
アレルギーに心配のないお客様でも、できるだけ刺激の少ない消毒液を使うほうが安心ですね。また、ジェルネイルアレルギーの場合も同様に、お客様への確認は怠らないようにしましょう。いくらネイルで爪が美しくなっても、かゆみや赤みが出てしまっては意味がありません。普段から、ある程度質の良いジェルや肌の弱い人でも使える刺激の少ないジェルを使っておくといいでしょう。
ジェルネイル施術の際、爪からはみ出たジェルが皮膚につくことでアレルギー反応を起こす人もいるので、施術の際には気を付けたいですね。お客様ごとに体質や肌の状態が違うので、ひとりひとりに合わせた施術を心がけましょう。そのためにも、お客様への気遣いが重要といえます。
もし、施術する自分にアレルギー反応が出てしまう場合は、消毒液の種類やジェルの種類を変えることで、アレルギー反応が出にくくなることもあります。より安全な道具を使ってネイルできるよう、道具選びにこだわりましょう。また、アレルギー反応が出たときは早めに皮膚科を受診することが大事です。