休業期間をポジティブに捉える発想力『GARAN BARBER & SHOP』
約3年前のオープン以来、確かな技術とトレンドを程よく落とし込んだスタイリングで顧客を掴んでいった『GARAN BARBER & SHOP』。しかしオーナースタイリストである村武さんが今年の4月に交通事故に遭い、数ヶ月はハサミすら持てない状況に陥りました。村武さんひとりで店を切り盛りしていることもあり長期間休業せざるを得なくなった時、経営者として、また理容師として何を感じたのでしょうか。
長期間一線から退くことへの不安
事故で鎖骨を骨折したと聞きましたが、実際はどの程度復帰に時間を要したのでしょうか?
「丸3ヶ月間はハサミを持つこともできず、そこからさらにリハビリ期間があったので約半年間くらいのブランクがありました。この店は僕ひとりでやっているので怪我が治るまでは休業せざるをえず、刃物を扱う仕事だけに完全にカンが戻るまでは復帰もできない。最初は長期間お店を休むことに対して大きな不安を感じました。資金面はもちろんですが、やはり手先を使う仕事なので怪我の治り具合も心配でしたね。ただ、落ち込んでいてもどうしようもないので、途中からはプラス思考に切り替えて、この休業期間を改めて立ち止まって考えるための時間だと思うようにしたのです。思えば開店から今まで慌ただしく駆け抜けてきたので、ここで今一度お店のあり方を見直そうと。結果、それが今後の展開を模索するための期間となり、カットする練習を含めて理容師としての技術を磨き直すチャンスともなりました」
何事も生まれ変わった気持ちで取り組む
休業中に顧客が離れていくという不安はありましたか?
「もちろんありました。ただ、ありがたいことに今では7割程度のお客様が再び店に戻ってきてくださっています。やはり現代風のバーバーという業態の数がまだそこまで多くないことも幸いしたのではないでしょうか。実は、事故の後に考え方がプラス思考になるきっかけとなったのが、「もしかしたら事故で死んでいたかもしれない、一度死んだ気持ちで頑張ろう」と思えたことで。それで色々な不安を吹っ切れたし、今後の働き方を含めてチャレンジングな発想ができるようになりました。それまでは自分の思い通りに運営できる今の業態が気に入っていましたが、今後はスタッフを雇い入れることも考えています」
日本の理容技術の高さを発信
事故と休業を経て大きく考え方が変化されましたが、具体的な今後の展開とはどういったものでしょう?
「大きな展望でいえば、日本のバーバースタイルを創ること。バーバーってやはり西洋の文化なので、今はまだ海外のバーバースタイルの模倣のような面が強いですが、日本の技術力を活かして日本人の髪質にマッチしたバーバースタイルを提案していきたいですね。また、京都という場所柄か海外のお客様もお見えになりますが、日本のバーバーで髪を切るという行動が、一種の思い出作りのような役割を果たせればいいなとも考えています。カットの技術や手先の細かさでは日本の理容技術は抜きん出ていると思うので、国内だけでなく海外に向けてもそういったアピールをする一端を担えれば、今後一層、バーバーが一過性のブームではなく、しっかりと日本に根付くのではないでしょうか」
通常であればマイナスに捉えてしまうような経験を経たことで、理容師としての考えをより新たに第一線へと舞い戻ってきた村武さん。今後は京都という土地柄を活かしながら、新たなバーバーの在り方を体現する店として京都の理容業界を牽引していく存在となるのでしょう。
Salon Data
GARAN BARBER & SHOP
住所:京都府京都市中京区蟷螂山町462 四条コート西洞院1F
TEL:075-777-8716
http://garan-kyoto.com/
Profile
村武裕司さん
オーナースタイリスト
大阪府高槻市出身。理美容専門学校を卒業後大阪のサロンに3年勤めたのち、東京のメンズ専門サロンで13年のキャリアを経て35歳を機に独立。トレンドを加味した今風のバーバースタイル、セットしない状態でも整うカット技術に定評がある。
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