技術習得に前向きなサロンに就職。触発されて「カット好き」に「tokute吉祥寺」柳澤星来さん
吉祥寺や国分寺、立川など東京西部のエリアに、美容室、ネイルサロン、アイラッシュサロンを展開する株式会社Link up。 デザインカラーの技術で人気を集め、現在、吉祥寺と高円寺に2店舗を展開しているのが美容室「tokute」です。
今回お話を伺う柳澤星来さんは、その吉祥寺店に2024年に中途採用で入社し、小顔を実現するカット術「ステップボーンカット」を武器にスタイリストとして活躍しています。
元々はヘアメイクを目指していたという柳澤さんですが、前職のサロンに就職後、カット技術の楽しさに目覚めて美容師として働き続けることを決意したといいます。当初はカットが得意ではなかったそうですが、オーナーをはじめカットの技術が好きなスタッフが多く、会社全体で楽しみながら技術習得に取り組む雰囲気があったことから、だんだん好きになっていったそうです。
今回、お話を伺ったのは…
「tokute吉祥寺」スタイリスト
柳澤星来さん

美容専門学校卒業後、都内サロンで5年ほど経験を積む。その後、2024年に「tokute吉祥寺」に入社。1社目のサロンで身につけた「ステップボーンカット」を武器に小顔カットで支持を集めるようになり、徐々に売上もアップ。現在でも空いた時間でさまざまなカットの技法を習得するなど、技術力の向上に常に前向きに取り組んでいる。
入社したのは自由なサロン。いち早くデビューすることを誓い、練習に励む

――美容師になろうと思った理由は?
元々は美容師ではなく、ヘアメイクの仕事に就きたいと考えていました。中学生のころからメイクに興味があり、あるヘアメイクさんに対して憧れを抱くようになったんです。自分も同じ道に進めば、いつかその方に会えるかもしれない、そんな思いからヘアメイクを目指そうと考えました。
しかし周囲から、ヘアメイクというのは美容師として経験を積みながら、徐々に活躍できる場を広げていくのが一般的だと聞き、まずは美容師免許を取得することにしたんです。
ただその後、就職先のサロンでカット技術の楽しさに目覚め、ヘアメイクを目指すことはやめて現在に至ります。
――そうだったのですね。1社目に入社したサロンでの体験から教えてください。まずは、なぜそのサロンを選ばれたのですか。
そこは家族が通っていた、実家近くのサロンでした。元々は専門学校在籍時に、現場でさまざまなことを学びたいという気持ちから、そのサロンでアルバイトをさせてもらっていたんです。その後、就活が始まったときに、さまざまなサロンへ見学に行ったのですが、働きたいと感じられるようなお店を見つけることができませんでした。
そのサロンのスタッフの方は優しい方が多かったですし、職場の雰囲気もよかったので、就職させてもらうことになったんです。
――入社後はどんなことを感じましたか。
周囲から美容師として働きだすと、かなりハードな生活が待っていると聞いていたのですが、想像していたより自由なサロンだったので、その点では驚きました。一般的なサロンですと、アシスタントは営業終了後も練習のために夜遅くまで残って、終電で帰るというようなイメージだったんです。ですがそのサロンでは練習をするかどうかは個人の意思に任されていました。
ただ私は早くスタイリストになりたい気持ちが強かったため、なるべく毎日練習に取り組むようにしていました。というのもそのサロンは1ヶ月に1回しかカリキュラムのテストを受けられない仕組みだったので、そこで落ちてしまうと次の1ヶ月間も同じ技術で足踏みをする形になります。同じサロンにはスタイリストになるのに、8年ほどかかったという人もいたため、最短コースでのデビューを目指そうと考えたんです。
――自由な環境はうれしいですが、自分を保つのがなかなか難しそうですね。
そうですね。正直、自分に甘くなってしまいそうになるときもありました。私は当時、実家で暮らしていたのですが、早く帰ると母に「なんでこんなに早く帰ってきたの?この時間に帰ってくるということは、練習しないで帰ってきたということだよね」と責められることがあって。母の小言を避けたくて、自然と遅くまで残っていた日もありました(笑)。その点では母に感謝ですね。
視野が狭くなってしまった新人時代。先輩のひと言で前向きに

――先ほど、就職後にカットが楽しいと感じたとおっしゃっていましたが、技術の習得は最初から順調だったのですか。
いいえ、カット技術が簡単に習得できたというわけではなく、もちろん最初は難しいと感じました。ただそのサロンではオーナーをはじめ、周りのスタッフもカット好きだという人が多くて、とても前向きに技術習得に取り組んでいたんです。その姿を見ながら練習を重ねるうちに、私もカットが楽しく感じるようになっていきました。
――そうだったのですね。新人時代に壁に感じたことはどんなことでしたか。
パーマの技術がなかなか習得できなかったことです。専門学生時代から、パーマに苦手意識があったので、毎日のように練習を重ねていたにもかかわらず、テストで落ちてしまって。月に1回しかテストのチャンスがないためとても落ち込んで、こんなに練習をしても合格できないということは、パーマの技術を習得するのは私には無理なのかもしれないと思い込んでしまった時期がありました。
――それはどのようにして乗り越えましたか。
私が悩んでいたときに、教育係だった先輩がとてもあっさりと「もう1回、練習をがんばってみてごらん。できるよ」と言ってくれたことです。当時の私は視野がとても狭くなってしまっていたのですが、先輩が私を責めるでもなく、背中を押すような言葉をかけてくれたことで、もう一度前向きになることができました。
この先輩には何度も助けていただきました。その方は「まずは自分でやってみて困ったことがあったら聞いて」と、付きっきりではなくてある程度距離感を持って教えてくださるタイプの先輩だったんです。私もまずは自分が思うように取り組みたいタイプなので、基本的には私に任せてくれて、困ったときには助けてくれる先輩の存在に助けられていました。
「3ヶ月で90人の指名客」というデビュー直前の壁

――スタイリストデビューまでの道のりは順調でしたか。
2年半ほどでデビューをすることができ、当時所属していたサロンのなかでは比較的早い方ではあったのですが、デビューの条件を満たすためにかなり苦労をした時期がありました。
1社目のサロンでは、カリキュラムを終えるとジュニアスタイリストとなり、自分の指名のお客様のみを担当することができます。スタイリストデビューをしてフリーのお客様も担当するには月に30名のお客様を自力で集客し、それを3ヶ月連続で達成しなければなりませんでした。
――1ヶ月に30人!それはなかなか厳しい基準ですね。
そうなんです。しかもジュニアスタイリストとしての値引きは一切使えず、正規料金の設定だったため、お客様にお越しいただくまでのハードルが本当に高く……。ただ絶対に最短の3ヶ月でデビューをすると決めていたため、ひたすらに周囲の人に声をかけていました。
当初は友人や家族が中心でしたが、それだけでは到底間に合わなかったので、友人や家族に「もし周りで髪を切りたい人がいたら、ぜひ私のところで」と伝えて回っていたんです。友人の友人、父の会社の同僚などたくさんの方にご協力をいただき、最終的には友人のお母さんのお友達というくらい、自分から遠い方にご来店いただいたこともありました。
――それで順調に集まったのですか。
苦戦をしましたが、何とか目標にしていた3ヶ月で達成することができました。途中、「行くよ」と声をかけてくれていた方から連絡がなかったり、お声がけしても反応がなかったりしたこともあって。もちろんその方たちのせいではなく私の力不足なのですが、心が折れそうになることもありました。
そんなときも私を正気に戻してくれたのは母で、「3ヶ月でクリアすると決めたんじゃないの」と、背中を押してくれました。協力してくださった方にも、周りで支えてくれた方にも感謝しかありません。
後編では「tokute」に転職したあとの柳澤さんについて伺います。自分が提供できる技術の幅を広げたいとの思いから、カラーに特化した「tokute」を転職先に選んだ柳澤さん。
カラーは得意な技術ではなかったそうですが、スタッフ間で知識を共有し合う空気があるため、徐々に技術力を身につけることができたといいます。
Check it
tokute吉祥寺
住所:東京都武蔵野市吉祥寺南町1-11-3いづみビルB1F
TEL:0422-24-8877

-min.jpg?q=1)
-min.jpg?q=1)

-min.jpg?q=1)
