岩本麻奈 interview #3:自分だけの“美”をつくりあげること

皮膚科専門医、美容ジャーナリスト、コスメプロデューサーなどとして、さまざまな角度から美容に関わるプロフェッショナル岩本麻奈さん。20年ほど前、南仏へ渡った際に現地の美容法に感銘を受け、美容と深く関わるようになったそうです。その後、世界中の人々を魅了する“美の大国”パリで長年美容業界の最前線で働き続けてきました。
今回は、そんな岩本さんに、日本とフランスの根本的な“美”についての考え方の違いや、岩本さんが考える正しい美容法についてうかがいました。後編では、今後の目標や、若い世代に伝えたメッセージを語っていただきます。

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強烈に“これがいい”という人に向けつくられる、クセのある香水

オルソクリニック銀座

――日本人とフランス人のコスメの買い方に違いはありますか?
「日本人は、流行りのものを買いたがりますが、フランス人はみんなと同じものは身につけたがりません。その代わり、自分の肌質や好みに合ったものを使い続けます。香水を例にあげると、日本で人気が高まるのは周りの人に嫌がられない香りですが、フランスの場合はクセがあるものが好まれます。フランスで香水の調香師に話を聞いた際、“大多数には好まれなくても、強烈にこれでないとダメなの!という小さなターゲットを大事に作る”といっていました。その方が使用者の個性が際立ち、他の香水に浮気をすることなく長く使い続けてくれるそうです」

自分の肌の感覚に耳を傾けること

岩本さん

――日本に帰国した際に感じたことはありますか?
「日本では、極端な美容法が話題になるということです。当時、顔筋を強烈にマッサージする美容法と、肌には極力刺激を与えないほうがよいというふたつの美容法が同時期に話題になっていました。そのとき、“どちらのほうが正しいのか”と皮膚科の医師から相談をされたんです。冷静に考えれば、片方に偏ることがよくないことで、バランスよく肌に接することがよいとわかると思います。日本では話題性を重視するあまり、たびたびこういった誤った情報が発信されますね」

――なるほど。間違った美容法に手を出さないために大切なことはありますか?
「雑誌やインターネットで知った、他人に合った美容法をそのまま実践するような受け身の姿勢ではなく、肌の感覚に耳を傾け、自分に合っているのか感性を研ぎ澄ますことが大切です。そうすれば、自然と最適な美容法が見つかります。自分の体のことは、ご本人が一番知っていますから」

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もっと自由に、オリジナルを追求していい

岩本さん

――今後、日本の美容業界をよりよくするために必要なことはなんでしょうか?
「資格を持った美容の専門家が、学校の授業で正しい指導をすることです。本来であれば、試行錯誤をしながら自分にあった美を探すべきですが、入り口としてまず学校できちんとした情報を教えた方がよいと思いますね」

――若い世代に伝えたいメッセージはありますか?
「美容というよりも生き方の話になってきますが、周囲の反応を気にせずに、自分はこれが美しい、こうなるべきだと思ったことをやればよいと思います。たとえば、自分が本当に美しいと思う髪型があれば、流行に流されずに、そのヘアスタイルにしてみるなど。日本では周りと違うと、ときにはつらく当たられることもあるでしょう。そのうえで、どれだけ強く個として生きていけるかが重要ではないでしょうか。もっと自由に、オリジナルを追求していいんです」

――自分の魅力がわからないという人にひと言お願いします。
「欠点をなくそうとしないことです。逆にあったほうがおもしろいと思っていたほうがいいですね。外見以外でも人を魅了することはできますから。大切なことは、見た目以外でどんなものを美しいと感じるか、おもしろいと思うのかを意識すること。常に好奇心を持ち、自分の感性に磨きをかける。そうすれば、自然と独自のスタイルが見つかるはずです。そうして手に入れたものは、年齢を重ね成熟することはあっても決して劣化したり、失われることがありません。それこそが、その人の本当の魅力だと私は思いますね」

常に新たな道を切りひらき、まわりとは違う自分だけの足あとを残してきた岩本さん。「周囲と同調したそこそこの幸せで妥協するのではなく、もっと貪欲に自分の幸せを追い求めるべきです」と語ってくれました。日本に真の“美”を届ける岩本さんの活躍の場が、今後もますます広がっていきそうです。

Profile

岩本さん

岩本麻奈さん

一般社団法人日本コスメティック協会代表理事、一般財団法人・内面美容医学財団学術理事、皮膚科専門医、美容ジャーナリスト、コスメプロデューサー、作家。東京女子医大卒業後、慶応病院や済生会中央病院などで臨床経験を積む。1997年に渡仏。美容皮膚科学、自然医学、抗老化医学などを研修する。現在は、欧州大手製薬会社やコスメメーカーなどのコンサルタントを務めるかたわら、美容ジャーナリストとしてさまざまな雑誌メディアで美容情報を発信中。公式ブログhttps://ameblo.jp/dr-mana/

   

Salon Data

オルソクリニック銀座

オルソクリニック銀座

住所:東京都中央区銀座2-5-4 ファサード銀座 3F
TEL:03-6228-7698
http://oc-ginza.com/

岩本麻奈 interview #1:閉じられていた日本の美容業界から南仏へ>>

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