エザキヨシタカ interview ＃3：美容業界を明るく照らすような存在を目指して
2009年、原宿にオープンしたヘアサロン『grico』。常に時代の一歩先を行くおしゃれを提案し続ける技術力と、お客さまを家族のように大切にする経営スタイルで高い人気を誇っています。そんな『grico』を、わずか24歳で立ち上げたのがオーナーのエザキヨシタカさん。業界を代表する美容師としてファッション誌の表紙や、芸能人やモデルのヘアメイクを担当してきました。2012年からは、アパレル業やイベント企画などを開始、幅広い分野で活躍中です。
今回は、そんな美容師という枠を超えて活躍するエザキさんにインタビュー。後編では、仕事をするうえで大切にしていることや、この先の目標について伺いました。
美容師ではなく、『株式会社grico』の社員として働く
――スタッフにはどのような指導をしていますか？
「新卒のスタッフには、美容師として働くのではなく『株式会社grico』の社員として仕事をしなさいと言っています。なぜかと言うと、たとえば『LINE』の社員は自分の職業をたずねられた時に、“ソーシャルネットワークサービスの仕事をしています”とは答えないと思うんです。その理由は、『LINE』はキャラクターグッズの販売や保育園の運営など、さまざまな事業をしているからです。自分の職業を美容師と考えてしまうと、カット、カラー、パーマ、トリートメント以外にお客さまに提供できることがないように感じてしまいますが、実際はできる仕事の幅はもっと広いんです。gricoの社員という自覚を持つことで、職業に対する固定観念がなくなり、軽やかにさまざまな業界に飛び込んでいけると思っています」
――具体的にサロンワーク以外にどのような仕事をしましたか？
「まず美容業界でいうと、製薬会社からスタイリング剤を作る依頼を受けましたね。そこは、創業してから60年間、誰にもスタイリング剤を作らせていなかった会社でしたが、仕事を通じて知り合い、僕を信頼して声をかけてくれました。他には、お客さまとして来店されたアパレル業界の方から一緒にスキニーパンツとTシャツを作りましょうと誘ってもらい、現在企画が進行中です。また、2012年からインターネット上で『grico clothing』という洋服のセレクトショップの運営もしています。取り扱っている洋服は、イタリアやニューヨーク、ソウルの新鋭コレクションデザイナーのものです」
子供の選択肢を広げてあげられるのは、親しかいない
――美容業界で働き続けるなかで感じたことはありますか？
「美容業界は、サロンのオーナーがスタッフの将来を考え、働き方の幅を広げてあげようとするところが少ないと感じています。最近子供の習いごとについていきましたが、そこの先生が『子供の選択肢を広げてあげられるのは、親しかいない』と言っていたんです。楽器に触れる機会を作ることや、海外に一緒に行くことなど、子供の将来を考え環境を整えることができるのは親しかいません。これはサロン運営でも同じだと思います。スタッフの将来を考え、きちんとステップアップができる環境を整えることが大切だと。ちなみに『grico』は、結婚祝い30万円、出産祝い20万円、育児手当3万円支給しています。すべては、スタッフに将来を不安に思わず、もっといろんなことに挑戦して欲しいからです」
太陽のような存在を目指して
――今後の目標を教えてください。
「若い美容師の見本になるような存在になりたいですね。全国から若い美容師が、僕の元に髪を切りに来るんです。きっと、彼らや彼女たちは何かを変えたいと思い、決して安くないお金を払って足を運んでくれています。そんな人たちの将来を明るく照らせる、太陽のような存在になりたいですね」
大きいことを言わなければ何も達成できないと語るエザキさん。美容業界の先輩からは厳しい意見をもらうことも多いそうですが、「エベレストに登ると言っていないと、富士山にも登れない」と強く答えてくれました。常に思いやりと感謝を持ち、人と接するエザキさん、そして温かなスタッフがいるサロン『grico』。興味を持った方は、ぜひ原宿に足を運んでください。
Profile
エザキヨシタカさん
2009年、原宿に『grico』をオープン。 2012年、アパレルブランド『grico clothing』を開始。 現在では、サロンワーク以外にも、数々のファッション誌、業界誌等の撮影、芸能人、モデル、国内外でのコレクションのヘアメイクを担当。全国各地でのセミナーの講師など多方面で活躍中。
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