斉藤達也 interview #1:無言カットのヘアサロン『LORONG』
代々木公園駅から徒歩1分ほどに位置する美容室『LORONG』。心を休め、自分を見つめ直してほしいという思いから、積極的に話しかけない「無言カット」もウリのひとつです。「あまり話しかけられたくない」「執拗な営業はされたくない」など、静かな時間を過ごしたい方から高い支持を集めています。
今回は、そんなサロンを作り上げた斉藤達也さんにインタビュー!いったいどのようにして今のスタイルにたどりついたのでしょうか。前編では、美容師に興味を持ったきっかけや、美容学校時代について伺いました。
進学は、美術大学か美容学校
――まず、初めて美容室に行ったのはいつ頃でしょうか?
「中学生の頃ですね。おしゃれに興味を持った時期で、地元の美容室に通い始めました。僕の出身地が田舎だったこともあり周りに派手な髪型の人がおらず、初めて担当してくれた男性スタイリストの金髪に驚いたことを覚えています(笑)」
――美容師になろうと思ったのはいつ頃ですか?
「高校2年生の時です。当時から、髪を美しく整えることに興味がありました。その頃はすきばさみを買い、雑誌に載っている写真を見本に自分で髪を切っていましたね」
――美容師以外に興味を持ったことはありましたか?
「絵を描くことが好きでした。進学する時は、美容学校に通うか美術大学に進むか迷うほどでしたね。とくに、目の前の物を見て細かく観察し、形にするデッサンが好きでした」
自分にはセンスがない。必死に練習を繰り返す日々
――それでは、美容学校時代に感じていたことを教えてください。
「自分は美容師に向いていないと思いましたね。絵を描くなど、美しいものを作ることに関しては自信がありましたが、美容学校の課題をなかなかクリアできなかったんです。また、専門学校の同級生と比べて、自分にはセンスがないとも感じましたね。悔しくて練習を繰り返す日々でした。ただ、自分を客観的に見るクセは当時からあったと思います。周りに比べ自分がどのレベルにいるのかを確認し、何の技術が足りないのかを考え、追いつくまでのプロセスを作ることが得意でしたね」
――振り返ってみて、当時から変わってないことはありますか?
「具体的な計画を作らず、ざっくりとした目標を立てるところは変わっていないと思います。細かく計画を立ててしまうと、違うことに興味を持った時に軌道修正をしにくくなってしまうんです。学生の頃から、好きなものを見つけるたびに、方向をシフトし、目標を立て直すことを繰り返しています」
相手の立場に立ってコミュニケーションを
――当時からコミュニケーションを取るときに気をつけていたことはありますか?
「相手の立場に立ってコミュニケーションを取っていたと思います。自分の意見を伝える際にも、“これが正しい”と自分の意見を押し付けないことを意識していましたね。そのためか、自分にリーダー気質があるとは思ってはいませんでしたが、輪の中心にいることが多かったです。常にまわりを見て全体を調和するように動いていたからだと今は思いますね」
学生の頃から、興味を持ったことにはなんでもトライしていたと言う斉藤さん。登山に興味を持った時は、地元の長野県の山に頻繁に登っていたそうです。新しいことにチャレンジするところは『LORONG』の運営に生かされているようです。中編ではサロン勤務時代の思い出や、インドネシアでボランティア活動をしていた頃について語っていただきました。
Profile
斉藤達也さん
『LORONG』オーナー美容師。髪を切りながら自分と向き合う、完全プライベートサロン。独りの時間を大切にするため、積極的に話かけることをしない無言カットスタイルの美容室を運営している。
斉藤達也 interview #2:インドネシアでのボランティア活動を通じて学んだこと>>