斉藤達也 interview #3:安心できるひとときを提供するために
代々木公園駅から徒歩1分ほどに位置する美容室『LORONG』。心を休め、自分を見つめ直してほしいという思いから、積極的に話しかけない「無言カット」もウリのひとつです。「あまり話しかけられたくない」「執拗な営業はされたくない」など、静かな時間を過ごしたい方から高い支持を集めています。
今回は、そんなサロンを作り上げた斉藤達也さんにインタビュー!いったいどのようにして今のスタイルにたどりついたのでしょうか。後編では、『LORONG』をオープン後に感じたことや、今後の目標を伺いました。
帰り際にもらった「ありがとう」の言葉
――『LORONG』をオープンしたのはいつ頃でしょうか?
「2017年の10月1日です。知り合いの不動産屋から、理想的な間取りだった今の建物を紹介されたことをきっかけにオープンを決めました。元々は、住居用だった物件を店舗用にリノベーションするなど準備を整えていったんです」
――オープン初日のお客さまについて教えてください。
「2名来店されたうち、ひとりの方は、何も話さずカットが終わるまでじっと目を閉じていましたね。帰り際にひと言『ありがとう』と言っていただいたのが、すごく嬉しかったです。もうひとりの方は積極的にコミュニケーションを取る方でしたので、会話を楽しみながらカットしました。ありがたいことに、おふたりは今でもいらしてくれています」
丁寧な接客を心がけて
――接客をする時に心がけている点を教えてください。
「不安を感じさせないよう、丁寧な接客を意識しています。僕とお客さま、ふたりだけの空間なのでとくに女性の方に対応する時は、リラックスしてもらえるよう心がけています」
――嬉しい瞬間はどんな時ですか?
「基本的に会話がない分、ひと言感想を聞けた時は嬉しいですね。『このお店、いいですね』といった些細なひと言で本当にホッとするんです。ちなみに、何度も訪れているリピーターのお客さまになかには、まだ一度も話したことがないお客さまもいるんです。これからも、こちらから話かけることはないと思いますね」
理想のイメージは“無口な喫茶店のマスター”
――今後の目標を教えてください。
「“この人といると、安心できる”と思ってもらえるような存在になりたいです。無口な喫茶店のマスターがお客さまの雰囲気を見ておすすめのコーヒーを提供するように、似合う髪型を提案したいですね」
――最後に、美容業界を目指す方にメッセージをお願いします。
「周囲に流されず自分の直感を信じて、興味を持ったことに、どんどんトライしてほしいです。自分になりに挑戦を続けていれば、他の人とは違う自分だけの道がきっと見つかるはずです」
最近は、コーヒーの勉強をしているという斉藤さん。お客さまにもサービスし、よりホッとする時間作りに役立てるように考えているそうです。常に笑顔を絶やさず、対応してくれたことが印象的だった斉藤さん。近くにいるだけで、やさしい雰囲気が伝わってきました。静かな空間でカットを受け自分を見つめ直したいという方、ぜひ『LORONG』を訪れてみてください。
Profile
斉藤達也さん
『LORONG』オーナー美容師。髪を切りながら自分と向き合う、完全プライベートサロン。独りの時間を大切にするため、積極的に話かけることをしない無言カットスタイルの美容室を運営している。
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