國見 大 interview #1:創業1932年。80年以上の歴史を誇る『原良子美容室』
1932年に神楽坂で創業したブライダルサロン『株式会社原良子美容室』は、これまでに10万件を超える結婚式のお手伝いをしてきました。今も、年間200組以上のウエディングを手掛けています。また、2011年6月には創業の地、神楽坂に新しくヘアサロン『kasane』をオープン。創業80年以上を誇る美容室でありながら、常にトレンドを意識し、時代に合ったサービスを提供しています。
今回は、そんな歴史ある美容室の4代目、國見大さんにインタビュー。前編では、美容室を継ぐに至った経緯や、前職のアパレル業界での経験について語っていただきました。
東京大空襲を乗り越えて
――まず初めに、原良子美容室の歴史について教えてください。
「1932年に、曾祖母が神楽坂に美容室を開業したのが始まりです。10年以上たくさんの方々にご利用いただいていましたが1945年の東京大空襲でお店がなくなってしまったんです。戦後の苦しい状態からなんとか立て直し、その後は店舗を持たず結婚式会場でヘアメイクや着付けを任されるようになりました。そして、ウエディングのお手伝いをするブライダルヘアサロンとして現在まで続いています」
ビジネスに興味があった学生時代
――幼い頃から会社を継ぐことを考えていましたか?
「会社を継ぐことは考えていませんでしたね。幼い頃から家にあった着物を見ていた影響もあり、高校生の頃は漠然とですが服に関わる仕事に興味がありました。また、その頃からビジネスにも興味が湧き、会社の歴史について書かれた本や自己啓発本、心理学の本などを読んでいました。どんな話し方をすれば相手に伝わりやすく、かつ自分の思っている方向に物事を進めていけるのかなどを、勉強することがすごくおもしろかったんです」
――高校卒業後の進路を教えてください。
「進路を決めるタイミングでも、まだ将来の明確なビジョンはありませんでした。ただ、やはり国家資格を持っていた方が今後働くうえで有利だろうと思ったんです。そこで、小さな頃から最も身近な存在であった美容師になろうと決め、美容学校に進むことを決めました」
――美容学校を卒業してからの進路を教えてください。
「店舗を多く持つ、大型の美容室で働きました。人事や広報など、それぞれの部署がどのように関わり、組織ができ上がっているのかを知りたかったからです。しかし、当時はまだそれほど真剣に美容業界で働く気持ちがなかったので、長続きしませんでしたね」
アパレル業界で働くなかで身についたもの
――サロン退社後はどのような仕事をしてきましたか?
「百貨店や路面店での販売業やインターネット通販の運営など、アパレル業界の会社を転々としました」
――働くなかで気がついたアパレル業界の魅力を教えてください。
「アパレル業界で働いている方は、他の業種で働く方に比べ行動力があり、一緒に働くととても楽しいんです。『おもしろい仕事をやろう』と声をかけると、周りにいる人がそれをどうすれば形にできるかを一緒になって考えてくれます。とくに、インターネット通販を運営していた会社では、社長から『思いついたことは、やってみなさい』と言ってもらえることが多くありましたね」
――具体的に新しく企画し、実現した仕事はありましたか。
「ZOZOTOWNのようなインターネット上にあるお店を、実際に店舗として形にしたことがありました。通販の会社で働き始めた当時、『インターネットのみで販売をしている会社が、現実に出店したらおもしろいのではないか』と思っていたんです。仕事でたまたま、パルコの営業の方と知り合う機会があったので、『パルコ前の広場に期間限定で出店させてくれませんか?』と提案しました。すると『おもしろいから考えてみる』と。その後、実際に大型連休の間に出店することができたんです。YouTubeなどを使って宣伝した効果もあり、多くのお客さまの来店がありました」
家族が全員経営者であり、日常の会話を聞くなかで、自然と会社の成り立ちに興味を持ったと言う國見さん。中編では、会社を経営し感じたことや、新しく初めたサービスなどについて伺いました。
Profile
國見 大さん
株式会社原良子美容室 代表取締役社長。
全日本婚礼美容家協会講師。十二単の結婚式やフォトウェディングサービスを提供する『kaluxa』を経営するほか、2011年に神楽坂にプライベートサロン『kasane』をオープン。
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