山口直美 interview #1:女性客のための空間作りを目指した理容室
近年、理容室の存在に注目が集まっています。身なりに気を使う男性が増えたことや、レトロブームで内装などの世界観にこだわったお店が増えたことにより、男性を中心に理容室へのニーズが高まっているようです。そんな中、福岡市で長年「女性専用理容室」をしている「ヘア&メイクヤマグチ トゥシェル」。オーナーの山口直美さんは長年理容師として、“女性のための理容”にこだわり、理容・美容室以上のサービスを提案しています。
お客様のことを考えて、空間作りにこだわる
――理容師になられ、今のお店を持たれた経緯を教えてください。
「祖父の代から実家が理容師でした。だからと言って、昔から特別意識していたわけではないのですが、色んな縁もあり、高校生のときに理容師になることを目指しました。理容師になってから、今の主人と出会って、彼と店をもちました。はじめは4席ほどの小さなお店で、男性客・女性客を椅子の色で分けて、どんなお客様も対応できるようにしていたんです。でもあるときに気が付いたのが、お店に男性客がたくさんいると、女性客は入りづらいし、その逆もあって。どちらにとっても居心地のよい空間にしたいと思ったので、環境づくりをしていくうちに、今のような女性専用理容室というかたちに行き着きました」
女性のための顔そり技術を開拓
――女性専用理容ではどのようなサービスがあるのでしょうか?
「理容で思い浮かぶのが顔そりかと思うのですが、男性と同じ顔そりを女性に施すと皮膚に赤みが出たり、乾燥したりして合わないということがあります。男性と女性って肌質がまったく違うし、女性が顔そり慣れをしていないので簡単に受け付けないんです。そのため当店では独自のシェービング剤を開発し、女性専用のシェービング方法を研究し、提供しています」
「具体的には、まずお顔のクレンジングをし、マッサージ・スキンケアをして、
顔の筋肉をほぐし、血行を良くした後、リンパを流しながら刃をゆっくりあて、顔そりをします。そのあと、パックなどしっかりとスキンケアをして、肌を整えます。リンパに沿って顔そりをすることで、肌に負担がかからず顔そりができるだけでなく、肌のターンオーバーを促す効果があるんです。歳を重ねると肌のターンオーバーのサイクルってどんどん長くなってしまうのですが、この顔そりをすることで回復して、年配の方でも回数を重ねるごとにどんどん肌のトーンが明るくなるんですよ。また自律神経を休ませることで、肌も落ち着いた状態で顔そりをすることができます。このような技術は一般の方が自分でできるものではなく、理容室だからこそ体験できることだと思います。」
スタッフや同業者、お客様の声に耳を傾けて
――山口さんの技術は独自の方法だと思いますが、どのようにして習得したのですか?
「お店のスタッフや理容組合の方と研究を重ね、行き着きました。福岡県と全国の理容組合にも所属しているのですが、その方々にも助けてもらい、アドバイスをいただきましたね。また、お客様のご要望や意見も参考にさせていただき、日々の積み重ねで習得したという感じです。」
「お客様のため」を第一に考え、店の空間作りから、自身の技術向上まで努力を重ねた山口さん。次回はそんな山口さんに技術、サービス向上のための原動力について伺います。
Salon Data
ヘア&メイクヤマグチ TOUSHEL la vita
福岡県福岡市南区高宮3-9-3
092-523-6533
Profile
山口直美さん
理容師・美容師のWライセンスをもち、福岡市で女性専用理容室を経営。全国の理容組合で講師を務めるほか、女性専用シェービング剤の発案など、女性の美にこだわりさまざまな活動を行う。
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