仲野弥和 interview #3:美しさの根底には健康な体がある

ますます健康についての意識が高まっている昨今、不調の時でも薬に頼らず、より体に優しい治療を求める人が増えています。
そこで、今回は鍼やお灸で体の自然治癒力を引きだす鍼灸に注目。公益社団法人日本鍼灸師会会長の仲野弥和さんに、鍼灸についての基本的な知識や施術者に必要な力について語っていただきました。後編では、今後の目標や若手に期待することについて伺います。

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鍼灸の力でオリンピック選手を支える

仲野さん

――今後の目標を教えてください。
「2020年の東京五輪で、オリンピック選手に帯同できるよう、スポーツトレーナーの知識を持った鍼灸師を育てていきたいです。とくに、専属のトレーナーが帯同していない発展途上国の選手をサポートしたいと考えています。また、新しくできるトレーニング施設も多いので、そのなかでも鍼灸を提供できるように準備をしているんです。薬を使わない鍼灸はドーピングの心配をする必要がないため、選手も安心して治療を受けられると思いますね。ちなみに、スポーツの分野では2019年に日本で開催されるラグビーワールドカップでスポーツトレーナーとして鍼灸師を帯同させてほしいとの要請がきています」

根本を耕さなければ、大きな花は咲かない

仲野さん

――若手の鍼灸師に、伝えたいことはありますか?
「最近はすぐに独立する人が多いので、最低5年は師匠のもとで修業を積んでほしいと思います。確かに基本的な技術はある程度経験を積めば身につくかもしれませんが、接客方法やカウンセリングの仕方などは、簡単に上達するものではありません。また、独立した後は、周りの鍼灸院の値段設定が低かったとしても、治療費を下げてはいけません。世間から、鍼灸はその程度の技術だと思われてしまい、鍼灸師の価値を落とすことに繋がります。そんな、情けないことはありませんから。若手には、高い技術を身につけて自信を持って施術してほしいですね。根本を耕さなければ大きな花が咲かないように、急いで独立したところで結局大きな成果をあげることができませんから」

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世界中どこでも通用する鍼灸の技術

仲野さん

――最後に、鍼灸師の魅力を教えてください。
「技術と仕事に対する考え方をしっかりと身につけていれば、世界中どこでも活躍できる職業です。最近は、海外で活躍する日本人の鍼灸師も増えていますね。映画の舞台として頻繁に使われるニューヨークのマンハッタンに鍼灸院を開いている先生もいるんです。ちなみに患者さんは、芸能人や日本人の商社マン、著名な経済人などが頻繁に訪れると言っていました」

日々のカウンセリングのなかで、生活が乱れている若者が増えたと感じるという仲野さん。「健康がすべてです。健康でないと、働くことも遊ぶこともできませんから、美しさの根底には、健康な体があると思います」と熱く語ってくださいました。これからもますます仲野さんのもとから、日本の鍼灸業界を支える若手が誕生することでしょう。

Profile

仲野さん

仲野弥和さん

公益社団法人日本鍼灸師会会長
東京農業大学(1960年卒)、国立三重大学医学部医学研究科(1989年修)、仲野整體整骨本院院長、米国政府公認カイロプラクティックドクター(D.C)、ドクターオブカイロプラクティック1977年卒(L.A.C.C)、日本体育協会スポーツトレーナーなど。誰もが安心して鍼灸医療にかかることができる社会を目指し、活動を続けている。

Information

公益社団法人 日本鍼灸師会事務局

住所:東京都豊島区南大塚 3-44-14
TEL:03-3985-6771
https://www.harikyu.or.jp/index.html

仲野弥和 interview #1:日本鍼灸師会会長に問う鍼灸の魅力とは>>

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