CHIHARU interview#3:ヘアメイクを通して社会貢献を
今回は、元タカラジェンヌで男役スター『矢吹翔』として活躍した経歴を持つヘアー&メイクアップアーティストのCHIHARUさんにインタビュー。宝塚歌劇団には専門のヘアメイクがおらず、1人ひとりが自分の顔と向き合い、メイクもヘアーも自らセットし、演じる役ごとにセルフプロデュースを行います。生まれ持った顔、客席から見たときの自分と真っ正面に向き合い、どうしたら美しく見えるかを日々研究しています。
今回は、そうして培われた美の哲学についてCHIHARUさんに伺いました。後編では、CHIHARUさんが思う魅力のある女性像や、主宰している『Love me塾』 について語っていただきます。
人と同じで安心するな!
――長年、ヘアメイクとして活躍されてきたCHIHARUさんが思う魅力的な女性像について教えてください。
「表情が豊な人です。感情が出てこない人は、メイクをしていてもおもしろくないですから。アイラインを入れただけでもすごくうれしそうな表情を見せてくれると、こちらももっと魅力を引き出したくなるんです。ちなみに、感情を素直に表現してくれる女優さんは、舞台に立っても不思議な存在感を放つ方が多いです」
――ちなみに、現在の美容業界を見て感じていることはありますか?
「『人と同じで安心するな』と言いたいですね。赤リップが流行したら、みんな赤い口紅を付けるなど、周りにあわせ過ぎているので、1人ひとりがもっと個性的でおもしろく自己表現をしてほしいです。今は、以前と比べ情報が豊富にあるので、みんなメイクがとても上手になっていますが、逆にそれが個性を消してしまっているように感じます。トレンドを取り入れることは確かに大切ですが、自分の個性を消すようであればアップデートしなくていいんです。周りと違うことを恐れず、自分を信じてどんどん、チャレンジしてほしいですね」
パーソナルメイクレッスン『Love me塾』での日々
――最近、始めた新しい活動があれば教えてください。
「1年ほど前から『Love me塾』という、メイクのレッスンを開催しています。私は、もともと芸能人のメイクよりも一般の方にヘアメイクをしたかったんです。レッスンでは、誰でも気軽にできるメイク法を伝えています。帰る時には、みんな女優のように、キラキラした表情に変わっています。電車の窓ガラスに映る自分に見惚れてしまう生徒さんも多いんです(笑)。ちなみに、以前にレッスンを受けた方は帰りがけにナンパされ、それがきっかけで結婚しました。これからも一般の方をきれいにすることで、もっと社会貢献をしていきたいですね」
自分を磨くことは、自分を愛することに繋がる
――最後に、これから美容業界を目指す若手にひとことお願いします。
「いきなり高いゴールを目指してもうまくいきませんから、ひとりの人を満足させることを意識してください。そういう気持ちでいると、少しずつ成長することができますから。あとは、人を大事に感謝の気持ちを持って美容の道を歩いてほしいですね」
自分に意識を向けるということは、自分を愛することに繋がると言うCHIHARUさん。「私は必ずキレイになる」と信じることで、女性はいくらでも美しくなれると語ってくださいました。これからもますます、CHIHARUさんの手によって眠っている女性の魅力が引き出されていくことでしょう。
Profile
CHIHARUさん
ヘアメイクアップアーティスト。Love me 塾主宰
1986年に宝塚歌劇団第72期として入団。雪組と花組に在籍し、男役スター、矢吹翔として活躍。在団中からメイクの勉強を始め、国際ライセンスを習得。2004年に退団したあとは、プロのヘア&メイクアップアーティストとして独立。現在は、雑誌の表紙や女性誌のビューティーページ、CM撮影のヘアメイクのほか、宝塚歌劇団の公演ポスター、など幅広く活躍している。
CHIHARU interview #1:元タカラジェンヌのヘアー&メイクアップアーティストに迫る!>>