ネイルサロン衛生管理士とは?ネイリストに求められる衛生管理の内容や試験の概要、メリットを解説

ネイリストには、さまざまな資格があることをご存じですか?「ネイリスト技能検定試験」や「JNAジェルネイル技能検定試験」といったメジャーな資格以外にも、最近では「ネイルサロン衛生管理士」と呼ばれる資格が注目されています。今回は、ネイルサロン衛生管理士の概要を解説します。

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ネイリストやネイルサロンに求められる衛生管理とは?

ネイルサロンを開業する人、これからネイリストになる人はお客様が安全で衛生的なところで施術できるようなサロンづくりをしなければいけません。そのためには何をすればいいでしょうか。

ただ毎日掃除をするだけで衛生面が整うわけではありません。「換気がしっかりされているか」「害虫が出ないように対策されているか」「道具は消毒されているか」「清潔さが保たれる環境か」などいろいろポイントがあります。

ネイルサロンが増えてきた2010年、厚生労働省はネイルサロンの衛生管理はどういう点を注意すればいいのかをまとめた、「ネイルサロンにおける衛生管理に関する指針」を発表しました。こちらを次で詳しく紹介していきます。

厚生労働省の「ネイルサロンにおける衛生管理に関する指針」の内容とは?

厚生労働省の定める「ネイルサロンにおける衛生管理に関する指針」は、ネイルサロンの設備・器具・衛生管理、従業員の健康管理などの措置により、衛生の確保および向上を図ることを目的にしています。いくつかある内容の中から、特に実務で採り入れたい内容をまとめました。

①施設設備 
  • 施術は仕切られた外ではない場所
  • ネズミや害虫の侵入を防ぐ構造の施設
  • 施術スペースと待合室があること
  • 従業員の休憩と更衣室の広さは従業員数に合わせた広さがあること
  • 床や壁が掃除しやすい材質であること
  • 従業員の手洗い場があること
  • 照明・換気が十分できる設備があること
  • ごみ箱にふたが付いていること
  • 皮膚に触れる器具の片づけるケースがあること
  • 器具やタオルの量が十分あること
②管理
(施設・設備および           器具)
  • 1日1回以上清掃すること
  • 排水溝の清掃も行う
  • 作業スペースに不必要に物を置かない
  • 器具は定期点検を行う
  • 硬化用のライトは常に85μW/cm2以上の紫外線照射になるようにランプを交換すること
  • 掃除道具は決まった場所に片づける
③管理(従業者)
  • ネイルサロンごとに衛生管理責任者を定め、常に従業者の衛生教育に努めること
  • 解説者および衛生管理責任者は、常に従業者の健康管理に注意し、感染症の皮膚疾患に罹患したときは、その重要者を従事させない
  • 解説者は従業者またはその同居者が結核・重症急性呼吸症候群(SARS)などの感染症の患者またはその疑いがあるときは、感染していないことが判明するまでは従事させない
③衛生
  • 従業員が感染症にかかっていないこと
  • 施術場所にはお客様と作業するネイリスト以外の人が使わない。
  • 施術中、温度・湿度・換気をしっかり管理する
  • 制服を汚れたまま着ない
  • 蒸しタオルは消毒済みのものを使用する
  • 消毒薬などの傷薬を取り出しやすい場所に準備しておくこと
  • 肌に触れる器具はお客様1人ごとに消毒する
  • 血液の付着してるもの(その可能性があるもの)はわけて消毒すること
④消毒
  • 消毒前に家庭用洗剤で洗い、拭きとること
  • 消毒は「煮沸」、「エタノール」、「次亜塩素酸ナトリウム」、「紫外線」、「蒸し器」、「逆性石ケン液」、「グルコン酸クロルヘキシジン」「両性界面活性剤」からそれそれの器具に適した方法で行うこと
  • 消毒後水で洗い流し、しっかり拭いて乾燥させること
  • 施術者は手を洗う時は15秒以上水で流しながらしっかり洗うこと
  • ごみにふれたら必ず消毒をすること
⑤管理体制
  • オーナーは衛生管理のガイドラインをつくり従業員全員に周知させること
  • お客様には、「アレルギーをはあるか」、「薬の服用しているか」、「敏感肌かどうか」、「治療中の感染症や疾病があるか」など施術に影響すると思われる項目を必ず事前にカウンセリングすること
  • お客様に施術後のお手入れ方法を伝えること
  • お客様にネイルをすることで起きるかもしれない健康被害のリスクについて説明すること(できれば書面で了承をもらう)

引用元
厚生労働省:ネイルサロンにおける衛生基準ガイドライン(案)

ネイルサロン衛生管理士とは? NPO法人日本ネイリスト協会の認定資格

ネイルサロン衛生管理士とは、簡単に説明すると「ネイルサロンの衛生管理についての知識を習得した人」に付与される資格のことです。

NPO法人日本ネイリスト協会では、JNAが制定したネイルサロンにおける衛生管理自主基準の普及のため、「ネイルサロン衛生管理士」の資格制度を設けています。

同資格は、ネイルサロン運営に必要な衛生管理についての講習を受けた人にネイルサロン衛生管理士と認定し、現在この資格を取得している人は2023年9月末日で8万6,000人を超えました。

ネイルサロン衛生管理士の資格の取り方は、日本ネイリスト協会認定校で講習会に参加します。講習を受けたあとに筆記試験を受けて合格すると、認定証と資格バッジをもらえます。

この資格は、取得して3年目の12月末までの有効期限があります。一度更新手続きをすれば無期限の資格として保証されます。(継続には手数料が必要です。)

引用元
NPO法人 日本ネイリスト協会:衛生管理

JNA(日本ネイリスト協会)とは?

JNA(日本ネイリスト協会)とは、1985年に日本でネイル産業を広めるために設立された協会のこと。ネイルの技能研修や資格認定を開催し、ネイルの普及はもちろん、ネイリストの技能向上に努めています。

あわせてネイルに関する最新情報も提供していることから、ネイリストが求める情報を発信しているのも特徴のひとつです。

引用元
NPO法人 日本ネイリスト協会:JNAとは

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ネイルサロン衛生管理士を取得するメリット

ネイルサロン衛生管理士を取得すると、さまざまなシーンで広く役立つというメリットがあります。具体的にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

就職で有利になる

ネイルサロン衛生管理士の取得によって、ネイルサロンに就職する際に有利になります。その理由は、資格を取得していれば信頼度の高いネイリストとして活躍できるためです。履歴書に書いてアピールすることもできるので、就職に限らず転職にも有利になりやすいです。

独立開業するときに有利になる

ネイリストとして独立開業するときに有利になることも、メリットに挙げられます。JNA認定のネイルサロンとして開業する場合は、衛生管理士資格を持つ人員の配置が必須。そのことから、衛生管理士を取得しておけば、独立を目指したいときもスムーズに開業できます。

信頼の証しとなる

衛生管理士の知識を有していることから、幅広いシーンで信頼の証しになります。保健所などの行政をはじめ、利用するお客様に対しても「ネイルサロンが衛生管理に配慮しているか」を証明が可能に。きちんと管理しながら営業していることのアピールになるのはもちろん、お客様にも安心して利用いただけるでしょう。

ネイルサロン衛生管理士の資格取得の難易度・合格率は?

ネイルサロン衛生管理士の合格率は、実は日本ネイリスト協会でも明らかにしていません。しかし、100点満点中80点以上で合格ということから、きちんと勉強しておけば取得できる資格と言えるでしょう。

なお、講習会は約3時間あり、その後20分の確認テストを受ける流れです。選択および記述式問題が全部で20問出題され、同日同会場で採点、合格発表があります。

引用元
NPO法人 日本ネイリスト協会:衛生管理

ネイルサロン衛生管理士資格をとる方法と流れを紹介

ここからは、ネイルサロン衛生管理士資格の概要と取得方法を紹介します。テスト自体はそこまで難しいものではなく、講習を受けてきちんと勉強すれば誰でも取れると言われています。

取得によって就職・転職や独立開業で有利になるので、この機会に目指してみましょう。

受験資格

受験資格は18歳以上で、サロンでの勤務経験がない方でも受験できます。さらに、JNA非会員の方でも受験可能です。

受験料(受講料)

受講料はJNA会員と一般で受講料金が異なります。一般は1万560円(税込)、JNA会員は6,160円(税込)です。講習テキストは受験料に含まれますが、テキスト・証書・認定バッジの送付料は含まれず、実費がかかります。講座申し込みを済ませたら、各会場の振込先に振り込みましょう。

会員受講料は下記の方が対象です。

1.日本ネイリスト協会の個人会員(正・一般)の方
2.日本ネイリスト協会の法人会員(正・賛助)の従業員の方
3.日本ネイリスト協会認定ネイルサロンの従業員の方
4.講習開催校の学生の方
5.講習開催校の卒業の方

引用元
NPO法人 日本ネイリスト協会:衛生管理
NPO法人 日本ネイリスト協会:オンライン講習会 お申し込みから資格取得までの流れ

試験開催のスケジュール

試験は毎月各地の認定校で開催されてます。また、会場によってはオンラインでの受講・受験も可能です。詳細は下記ページをご確認ください。

NPO法人 日本ネイリスト協会:衛生管理JNA認定校セミナー

講習と確認テスト

全国の日本ネイリスト協会の認定校で講習を受けます。講習は各会場30人弱の募集です。お早めに申し込みましょう。また、一部会場では講習会がオンラインで受講出来るようになっています。

申し込みはネットから会場を選んで登録フォームから行います。氏名・住所・会員番号(協会会員のみ)・電話番号・生年月日・メールアドレスを入力して登録します。

受講人数が少数の場合は開催されない場合もあります。

講習と試験は1日で行います。所要時間は3~4時間ですが、会場ごとに異なります。

講習は、180分の座学になります。テキストは当日配られます。その後、20分の試験を行います。講習で説明した内容を確認するテストです。講習をちゃんと聞いていれば合格できます。試験後、問題の解説とまとめを聞き、その日のうちに合否が発表されます。

試験は、外国人の方で漢字が読めない場合は申込時にふりがなを希望すれば、ふりがな付きの答案用紙も用意してもらえます。

引用元
NPO法人 日本ネイリスト協会:衛生管理

オンライン講習会受講から資格取得までの流れ

オンライン講習会の受講・資格取得までの流れは下記のとおりです。

1.希望する認定校に受験申込をする
2.認定校が指定した支払い方法に従って受講料および資材の配送料を支払う
3.受講申込・支払いが終わるとオンライン受講のアクセス情報が届く
4.一週間前までに受験票・テキストなどが届く
5.受講予定日にログインして受講する
6.合格後、認定証とバッジが届く

引用元
NPO法人 日本ネイリスト協会:オンライン講習会 お申し込みから資格取得までの流れ

テストに不合格でも補修受講ができる

不合格だった場合でも、同日に行われる補習受講を受ければ、当日中に取得できる可能性があります。とはいえ、きちんと勉強しておけば一発合格が狙える資格です。そういった意味でも、綿密なスケジュールを組み、しっかりと勉強したうえで挑みましょう。

資格の有効期限は3年

ネイリスト衛生管理士資格の有効期限は、取得年を含む3年目の12月末日です。有効期限の約2カ月前までに手続き案内の詳細がJNA事務局より届くので、案内に従って手続きします。一度継続手続きをすると同資格は永続認定となり、以降の継続に関する手続き・諸費用はかかりません。

なお手続きはオンラインでも可能です。オンライン手続きの流れは下記のとおりです。

1.継続手続き専用ページにアクセスする
2.認定番号・パスワードを入力してログインする
3.衛生管理士登録情報を確認する
4.手続き料金をクレジット決済またはコンビニ支払いで支払う
5.JNAからの衛生管理に関する情報を確認する
6.約1カ月程度で永続認定証が届く

手続き料金の詳細は下記のとおりです。

1.JNA個人正会員:1,100円(税込)
2.JNA個人一般会員:2,200円(税込)
3.非会員:3,300円(税込)

引用元
NPO法人 日本ネイリスト協会:衛生管理

ネイリストになるためにとりたい資格とは?

ネイリストに活かせる資格には、衛生管理士に限らず、そのほかにもたくさんあります。たとえば、ネイルの正しい技術と知識の向上を目的とした「ネイリスト技能検定試験」や、衛生管理士の試験も開催する日本ネイリスト協会による「JNAジェルネイル技能検定試験」です。

下記ページではネイリストが持っておくと良い資格についてまとめているので、気になる方はあわせてご覧ください。

ネイリストに国家資格はある?ネイリストが持っておくと良い資格や勉強方法についても紹介

安全なサービスを提供するために 衛生管理にも気を配ろう!

ネイルはお客様の爪を綺麗にするだけが仕事ではありません。お客様に安全なサービスを提供することも仕事のひとつです。

安全なサービスを提供するために、衛生管理についてサロンのスタッフみんなが知識を付けて、協力して消毒や清掃、身だしなみに気を配るようにしましょう。

衛生管理は1回だけやるのではなく、毎日ちゃんと続けることに意味があります。ちゃんとできているのかはチェックする衛生管理者を決めて管理するといいでしょう。

そして、ネイルサロン衛生管理士の資格にも是非挑戦してみてください。講座を受けることでより知識が深まりますし、資格があれば、お客様にもあなたのお店が安心・安全なサロンだと証明できアピールポイントにもなります。

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