「低価格＆高品質」を実現できている理由とは『ACRO』
前編では「ACRO」の魅力を、オーナーの山下拓馬さんに詳しくお聞きしました。この後編では“なぜ低価格＆高品質”という、一見相反するサービスの実現ができているのか、そしてそこで働くスタッフの環境はどうなっているのかをお聞きしていきたいと思います。
正社員だからこその接客
—-接客についてはいかがでしょうか？
「まず、一般的な低価格帯のサロンのほとんどは、スタッフとの雇用形態が完全歩合制の業務委託。つまりスタッフそれぞれが個人事業主として働いているので、社会保険もないところがほとんどです。そうするとどうなるのか。低価格サロンで潰れている店は、店内の清掃がされていません」
—-スタッフは個人事業主なので好きな時間に働いて帰るだけですからね。
「そうです。店舗側はスタッフに店舗清掃の指示を出せないのです。また、忙しくてお客様を待たせている状態であっても、他のスタッフが助けない。手伝っても何のメリットもありませんから。結局お客様が待たされるだけです」
—-なるほど。では｢CIEL｣やこの｢ACRO｣ではどのようにされているのでしょう？
「スタッフは基本的に正社員になってもらっています。正社員なら皆で協力して清掃もするし、店全体でお客様をカバーしているので待たせることはありません。10分以上待たせない、という決めごともありますし。そして低価格サロンでよくある“ぶん回し”、つまりお客様の数をこなすために予約枠をパンパンに入れることですが、そういったこともしません」
—-カウンセリングにもしっかり時間をかけられるとか。
「そうです。お客様一人一人に対するカウンセリングはしっかり時間をかけて行っています。さらに電子カルテを導入していて、使用した薬剤の比率や、ビフォーアフターの画像が保存されているので、次回来店頂いた時に『前回と同じ感じで』とオーダーされた場合も、別のスタッフであってもしっかり対応できます」
—-もともと美容業界におられなかったのに、なぜここまで行き届いたサービスを用意することができるのでしょうか？
「この業界を勉強するうえで、様々なサロンに客として行き、どのようなカウンセリングを受ければ自分の望みを伝えることができるのか、施術時間はどれぐらいが心地よいのかなどを体験してきました。そこで得たものを自分の店に反映しているのです」
既成概念なくスタッフの幸せを追求
—-先ほど、スタッフは基本的に正社員だとおっしゃいましたが、スタッフの待遇や勤務環境についてはどうなっているのでしょうか。
「まず、先ほどおっしゃられた通り、僕は美容師出身ではありませんから、美容師の待遇について『これが当たり前』『昔からこういうもんなんだ』とかいう既成概念がまったくありませんでした。僕の理念のひとつは『スタッフが業界で一番幸せだと感じてくれるサロンにしたい』ということですが、それをまったくの一から考えて造り上げました」
—-なるほど。給与体系としてはどのようなものなのでしょうか。
「基本給は28万で、売上70万以上で40％バックの歩合給となります。さらに100万円達成金もあり、スタイリストは+2万円。そして本来月8日が休みなのですが、それを5日にすることで+2万円としています。
—-そうなるとかなりの高給になりますね。
「例えば個人の売上が100万円だとすると40万円。月5日休みにすれば+2万円。100万円到達しているので+2万円。交通費も1万円まで出しているので45万円という額になります。スタッフの給与体系は業界でもトップだと思います」
—-正社員ということは社会保険も？
「そうです。社会保険も完備です。有給休暇や、それとは別に男性の育児休暇も用意しています。スタッフの7割が男性で、実際に育休を利用しているスタッフも数人います。これらの待遇も、業界ではトップクラスだと自負しています。実際、第1店舗目のオープンから今現在まで誰も辞めていませんし、月に4～5人は応募してきてくれます」
—-確かにこの条件なら安心して働けますね。
「安心して頂けることはもちろんですが、例えば薬剤は店ごとに変えているし、クーポン内容も変えています。それはスタッフ自身が考えて店長が決めていくのです。スタッフが自分たちで店づくりをして、それがお客様のメリットとなり、スタッフ自身のやる気にもつながっているのです」
—-教育体制についてはどうでしょうか。
「アシスタントさんによっては早くデビューしたい方もいればゆっくり学びたい人もいます。最短で1年半でできるカリキュラムは用意していますが、自身のペースに合わせて学んで頂けます」
｢低価格＆高品質｣の秘訣とは
—-ここまでお聞きして単純に疑問に思うのですが、内装にもサービスにもお金をかけていて、スタッフの給与も高く福利厚生もしっかりしている。でもお客様が払う金額は低価格ですよね。経営的に大丈夫なのでしょうか。
「確かに１つの店舗から上がる利益は少ないですが、その分多店舗展開するという考え方です。何より、よいサービスを提供することで多くのお客様に来て頂いており、新規のお客様のリピート率も高いことから、しっかり売上を上げられていること、そして先ほど申し上げた通り、薬剤の仕入れを安く押さえられているという点も、ちゃんと運営していけている理由だと思います」
Salon Data
ACRO～アクロ～
住所：大阪市北区曽根崎2-3-2 梅新スクエアビル801
TEL：06-6940-0086
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