自分の好きな領域を極めることで、一人でも多くの人を幸せにしたい【Kiitos by Garland 和久井克哉さん】#2
「Kiitos by Garland」の代表を務める和久井克哉さんは、長持ちするカットや頭皮ケアに定評がある人気美容師です。サロンワークはもちろん雑誌の撮影などでも活躍するほか、近年はヘッドスパ専門店の経営やケアプロダクトの開発にも取り組み、お客様の髪悩みを解決するために邁進。
後編では、地域で愛され続けるサロンであるためのこだわりや、頭皮ケアへの思い、表参道と梅田にオープンした「SOKI」のお話などをインタビューしました。
お話を伺ったのは…
Kiitos by Garland
代表・美容師 和久井克哉さん
2005年4月「reve(レーヴ)」入社。2007年、ブランド統合により「Bivo PHASE(ビーヴォ フェイズ)」へ異動。2011年1月に「Garland」のオープニングメンバーとなり、スタイリストデビュー。2013年10月にオープンした「Kiitos by Garland」で店長を務めたのち、同店の代表に就任。現在はヘッドスパサロン「SOKI」や、まつ毛サロン「Garland eyelash」の代表も兼任している。
地域で長く愛されるサロンであるために

――Kiitosスタート時から貫いていることは何でしょうか。
地域密着なので、家族で通えるサロンという点を大切にしています。そのためオープンから10年ほどは、親御さんが顧客であれば小学校に上がるまでのお子さんのキッズカットを無料にしていました。土日になると子供だらけで、まるでキッズサロン状態でしたね(笑)。たまにイベントも行なって、朝から昼までの時間帯は新規の方でもキッズ無料にしたこともあります。
近年は物価高騰などもあり、さすがに今は4歳からカット料金をいただいていますが、3歳まではまだ無料にしています。
――親からしたらとてもありがたいですね!客層は幅広いと思うのですが、どれくらいの世代が多いですか。
僕のお客様は40代がメインですが、スタッフ全体で見ると30代が多いと思います。やはり、それぞれの美容師と同世代くらいのお客様が多い印象です。
――サロンの今後について、展望はありますか。
僕としてはお客様の年齢層が上がってきているので、白髪染めやケアをもっと打ち出していきたいと思っています。ただ、そちらのイメージが強くなると若いお客様には抵抗感があるかもしれないので、難しいところですね。
どの年齢層にも対応できる技術と知識のあるサロンにしたいですし、頭皮に優しい薬剤や施術方法を心がけて長く通えるお店作りを目指しています。
――スタッフの技術や知識の向上のために、何か取り入れていることはありますか。
今は技術動画などを簡単に見られる時代ですが、社内セミナーも必要に応じて行なっています。例えば、全スタッフに向けて僕が頭皮の話をレクチャーしたりとか。
――先ほどから頭皮やケアのお話が出ていますが、いつ頃から関心があったのでしょうか。
実は父方が薄毛家系で、祖父の頭はツルツル。小学生の頃から「お前が大人になる頃には薬ができているから安心しろ」なんて言われながら育ってきたんです。だから昔から人一倍気にしていて、いろいろな情報を集めるようになったんですね。
20代前半に美容メーカーのセミナーで「頭皮ケアで薄毛の進行を遅らせることができる」という話を聞き、自分で頭皮のマッサージをやり始めたんですよ。そこからどんどん頭皮ケアが好きになり、さらに深く勉強するようになりました。
ケア好きが高じてヘッドスパ専門店をオープン
――頭皮ケアを追求するうち、ヘッドスパサロンを作られたとか。
そうなんです。2021年、コロナ禍真っ只中でした。LONESS(ローネス)代表の片山良平とオンライン飲みをしていた時に、一緒に何かビジネスをしたいという話になって。僕は頭皮ケアに関することが好きで、片山はヘッドスパに行くのが好きだったので、サロンを作ろう!と。
――あの時期に動き出したなんて、すごいですね。
物件が安くなっていた時期なので、むしろチャンスだと思ったんです。だからまずは会社を作り、物件を借り、幸いスタッフも確保できたので半年くらいでオープンした気がします。
――店名の由来とコンセプトを教えてください。
「素」に「帰る」で「ソキ」と読ませて、「SOKI」にしました。土台である頭皮を素の状態に戻すという意味を込めています。頭皮がきれいなら髪もきれいになりますし、頭皮マッサージをすると自然治癒力が高まって、いろいろなことが改善します。
――表参道と梅田に出店したそうですが、空間作りのこだわりはどこですか。
素材にこだわりたいという思いがあったので、表参道は木材、梅田は石材を使って和モダンな雰囲気の内装にしました。当時は気軽に旅行やホテル滞在ができない状況だったので、ホテルスパのようなイメージで作ったんです。

――ドライではなくウェットのヘッドスパにした理由は何でしょう。
素に戻す、本当にきれいにするためには、やっぱりきちんとクレンジングしないといけないんですね。ドライヘッドスパはもみほぐしなので、血流は良くなるけれど根本的にクリアにはなりません。それでウェットにしました。
――今、ヘッドスパの需要はどうなっていると感じますか。
サロンの数はものすごく増えています。SOKIがベンチマークにされているなと感じることもあります。価格帯や雰囲気、SNSの作りまでそっくり真似された時はさすがに困りましたが…。
ヘッドスパ自体が世の中に浸透していくことが大事なので、ヘッドスパサロンが増えてきたということは、ある意味いいことだと思います。ただ、美容室は身だしなみやおしゃれのためにマストなものですが、ヘッドスパは絶対に必要というわけではないんですよ。どちらかというと、プラスαの贅沢みたいに捉えられていて。だから実は、集客もリクルートもそんなに簡単ではないんです。
自分が一番楽しむ&頑張る姿を見せることが大事

――「Garland nail」や「Garland eyelash」の代表も兼任されていますよね。いくつものサロンをマネジメントする秘訣はあるのでしょうか。
一人ですべてを見るのは物理的に無理なので、そこは本当にスタッフに感謝しています。店舗にいる子達がしっかりやってくれているからこそ成り立っているんです。
僕が心がけているのは、自分が何を考えているのかをスタッフに向けてしっかり発信すること。それをみんなが受け止めて頑張ってくれていると思います。
――なるほど。代表として大切にしていることは何ですか。
僕自身が一番楽しそうに仕事を頑張ること。そうしないとスタッフたちにも不満や迷いが生じてしまうでしょうから。そして美容に関して、スタッフやお客様のお手本になれるように生きたいと思っています。
――一人の美容師としての軸は?
美容師の仕事は、目の前で喜んでくれる人がいるので、世の中にちゃんと貢献できていることを実感できるんです。それをどれだけ増やせるかを意識しています。SOKIを作ったり、シャンプーを開発したり、頭皮ケアについて発信したり、とにかく一人でも多くの人の悩みを改善したい。自分の好きな領域を極めることで、少しでも救われる人が増えたら嬉しいですね。
――和久井さんにとって、「働く」とはどういうことでしょうか。
今言ったことと同じかも!僕は働いているという感覚がないんです。自分の力でお客様やスタッフ、周りの人達が少しでも幸せになれればいいな…くらいの感覚で。
――これからやってみたいこと、叶えたいことはありますか。
頭皮ケアをもっともっと広めていきたいです。20代、30代の頃は「若い人に頭皮の話をされても…」と思われてしまう部分もありましたが、40代になってやっと説得力が出てきたなと感じています。サロンやSNSで発信するだけでなく、頭皮ケアに関する本を出したいと思っていて、今まさに動いているところです。
美容師人生で大切にしている3つのこと
1.レングス問わず、「3ヶ月持たせるカット」
2.「ケア」には徹底的にこだわる
3.美容に関して、人のお手本になるように生きる
撮影/高嶋佳代
取材・文/井上菜々子
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Kiitos by Garland
住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町2-22-7
TEL:0422-27-2163
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