一生モノの技術を手に入れました　私の履歴書 Vol.17【エステティシャン　高橋ミカ】#2

エステティシャンとして著名人や芸能人からの信頼も厚く、効果の高さからゴットハンドとも呼ばれている高橋ミカさん。前編では、新卒時や転職後の話をお伺いしました。後半では、独立後のことや知名度が全国区に広がったきっかけなどを語っていただきました。

独立時期〜転機

借金を返したり、CM出演したりと波乱万丈の人生に！

――独立したときは、すぐにお客様が来てくださったのでしょうか。

技術にも自信があったし、お客様が来てくださると思ってたんですけど、蓋を開けてみると、驚くほど来ていただけなくて（笑）。そこで自信もなくすし、お金も借りていたので返さなくちゃいけないし、施術以外に、ビラやチラシを各家庭の郵便受けに直接投函しに行くなどして地道に動いていました。もちろんその当時、エステの仕事だけではとても生活できなかったので、夕方から深夜にかけてウエイトレスのアルバイトもしていました。そのアルバイト代で家賃や借金を支払っていましたね。

――昼夜問わず働いていたんですね。その後、何か転機はありましたか？

雑誌にどうしても載りたいと思ったんですね。よく雑誌の帯のところに電話番号や住所が書いてあるじゃないですか。出版社に直接パンフレットを入れたお手紙を送付したり、FAXを送付したり、電話したりしていました。そしたら、1社だけ本当に小さくなんですけど載せていただけて。その努力の甲斐あってか、芸能人の方を含めいろんなお客様に来ていただけるようになりました。なんといっても口コミで広まったということが大きいと思います。

――そこから軌道にのったというイメージでしょうか。

いやそんな全然、軌道にのったということはなかったですよ。その後も、サロンをオープンしたいといって経営をお手伝いしてくれる方がいたので、信用して乗っかったら借金の連帯保証人になっちゃったり……どたばたでした。結局、その借金は5年くらいかけて返しましたけどね。

――そんなこともあったんですね。

経営に関しては、創業から代表と二人三脚でやっていますが、常に必死でした。良いときは良いし、悪いときは悪いというまるでジェットコースターのよう。

――転機となることは何かあったのでしょうか。

本を出したことが大きかったですね。一番初めに出した本が30万部、今まで出した本の累計が約70万部くらいかな。一番初めの本を出すときに、直々に出版社の方に来ていただいて。そのときまで本を出すなんてまったく頭になかったんですよね。本を出したことがきっかけで、テレビにも出させていただいたりとメディアへの露出も徐々に増えていきました。でも、私の名前が全国区になった一番のきっかけは、CMですね。

――私もよく覚えています！シャンプーのCMですよね。

そうなんです。そのCMも10年くらい続いて。CMのおかげで自分の名前が全国に広まったのかなというイメージです。CM出演もたまたまお声がけいただいただけなんですよ。

――CMの中でもゴットハンドと呼ばれていましたよね。

自分ではまったくゴットハンドと実感できないですよ。普通にいろんな技術をもった施術者の方がいらっしゃるので、自分がすごいというわけではないと思います。

高橋さんの将来の展望

アジア圏の人たちに技術を伝えていきたい

――今後の展望は何かありますか。

今、講師の仕事もやっています。技術を伝えるために、教えることにも力を入れていきたいです。受講者の方々を見ると、育った環境や教えてもらった環境によって技量とかもまったく変わってくると思うんですよ。こういったセミナーなどがきっかけで、個々の技量が上がるといいなと思っています。今は、日本国内の方が大半ですけど、少しずつ中国などアジア圏の方々にも教えています。

――それはすごいですね。世界の人に自分の技術を伝えられたら嬉しいですよね。

そうですね。中国の方のボディマッサージは教えることがないくらい、とっても上手なんです。力も結構あるので。一方で、フェイシャルに関してはまだまだ技量が足りないと思います。日本人はとても几帳面で細かいところに気づけるんですけど、中国の方はどうしても大雑把な感じ。力を入れることはすごくできるのですが、抜くのが苦手だったりするんですよね。だから、教え甲斐がありますよ。

――エステティシャンとして頑張っている方々にメッセージをお願いします。

エステティシャンの仕事って、ずっと続けることができる仕事だと思うんですね。自宅でもできるし。特に女性は結婚や出産など環境の変化に左右されることが多いですが、定年されたとしても、自宅でベッド1台を置くスペースと使う化粧品やオイル、あとは技術さえあればできると思います。今は、出張エステティシャンも多くいて、口コミで予約がいっぱいな方とかかもいらっしゃいますよ。ただ、もし、辞めたいなと感じている人がいたら、一度辞めちゃえばいいんじゃない？と思います。自らをリラックスさせてあげて、何かしらのきっかけを作ってからまたエステの道に戻ってもいいのかなと思いますね。

――お客様とコミュニケーションを取るのが苦手というエステティシャンが多いみたいで、何かコツがあれば教えてください。

私自身もコミュニケーションがまったく苦手なほうで、人としゃべるのがあまり得意ではないんです。なので、あまりお客様には深入りしません。というように、コミュニケーションがうまくいかなかったら、技術を頑張るとか、自分の強みを理解することが大事です。誰かの真似は一番よくなくて、自分のキャラを立てたほうがよいと思います。そうすることで自信にもつながります。

――ここまで続けてこられた原動力があれば教えてください。

私一人で経営しているわけではないんです。誰かがいないとやっぱり私自身もできなくて。みんなに支えられてここまでこられたのかなと思います。そして、お客様がリピートして来店してくださるときに、喜びを感じますね。誰でも最初の1回来店というのはあると思うんです。その中で2回目に来てくださるというお客様がいるのは嬉しいです。自分のところに何十年もついてきてくださるお客様もいらっしゃるので、何ものにも代え難い喜びですね。

高橋さんの成功の秘訣

1.すぐに行動へと移す
2.楽観的な心を持つ
3.感謝の心を忘れない

▽前編はこちら▽
天職になるとは思っていなかった　私の履歴書Vol.17【エステティシャン　高橋ミカ】#1>>

取材・原文／梅澤暁
撮影／中村早

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