無理なく通える定額制を導入! 美容効果とリピート率のアップに成功した『Salon ERIMES』の経営術に迫る
東京・銀座にオープンして12年目を迎える会員制エステサロン『Salon ERIMES』。自宅サロンから始まり、今では銀座という一等地にあるビルにサロンを構えるまでになりました。お客さまからの信頼も厚く、来店するお客さまのおよそ9割がリピーターだと言います。今回はサロンの代表取締役社長を務める滝田エリさんにインタビュー。
前編ではサロンの基盤を築いた手腕や、オープンのきっかけや経歴などについて迫ります。
満足度の高い定額制のメニューで信頼をつかむ
————まず『Salon ERIMES』が安定して成果を上げている理由は、どういったポイントにあるとお考えでしょうか?
「3年半前に導入した定額制メニューが効果的でした。定期的に通っていただくことで美容効果もアップしますし、お客さまの満足度も高まりますからね。また定額制の場合は、次回予約とともに前金を収めていただくので、翌月の売上を把握ができ、スタッフの配置も事前に決めることができるなど、大きなメリットがあります」
————会員制についてもう少し具体的に教えてください。
「初回トライアルに納得できたお客さまから、入会金の1万円をいただき会員として登録するシステムです。1年間会員を継続いただくと、2万円相当のエステ招待券をプレゼントしていて、これも大変よろこばれています。サロン側にもメリットがあり、お客さまの情報を把握することでスタッフが安心して施術できるようになり、サービスの質の向上にもつながりました。
当初は一部のお客さまだけを対象にしたサービスでしたが、会員登録を行うことで『絶対にきれいになるんだ』という覚悟が決まり、お客さまが目標を明確にできることに気がついたんです。そしてその理想を私たちと共有することで、ゴールに到達する確率が高まっていると感じています」
————サロンワークで気をつけていることはありますか?
「新規の方が、サロンに何を求めているのかをきちんと把握するようにしています。お客さまは、きれいになりたい方だけではなく、話をしたい方もいらっしゃいますからね。また他のサロンで不信感を持ち当店に足を向けた方もいらっしゃるので、そんな方にも心から満足していただける施術を心掛けています。
理想を超えるサービスを提供するためには、私たちスタッフが心をフラットに保ち施術を行うことが重要です。施術する側の心はダイレクトに伝わりますから、エステティシャンが不安感を持っていては、お客さまはリラックスすることができません。そのため日頃から『ストレスゼロの状態で接客に臨んでね』とスタッフには伝えています」
————ファンを獲得している理由は、どのようなポイントにあるとお考えでしょうか?
「何よりも大切にしているのは、目の前の施術に集中することです。お客さまはサービスに納得できなければ再び訪れようとは思いませんし、知人にご紹介してくださることもないと思います。街を歩いていると紹介のキャンペーンをしているサロンを見かけることもありますが、お客さまは自分の得だけを考えているわけではありません。毎回100%の力を注いで、コツコツと信頼を積み重ねることが、結果として長いおつき合いにつながるんです。地道に取り組んだ成果もあり、去年からは紹介をきっかけにいらっしゃる男性のお客さまがとても増えました。本当にありがたいと感じています」
「絶対に25歳でお店を出す」。曲げなかった信念
————サロンオープンのきっかけについて教えてください。
「『Salon ERIMES』のオープンは12年前で、エステ業界に就職した当初は大手サロンに勤め技術を習得しました。その後、世界中のセレブを顧客にもつ有名なエステティシャンの元でスキルを磨くためビバリーヒルズで短期留学を経験したんです。その方が個人サロンを経営されていて、お客さまとの距離がとても近く魅力的だと感じました。『自分がサロンをオープンしたら、こんなスタイルにしたい』と思い、帰国後に自宅で痩身メインのサロンをスタートし、その後デザイナーズマンションの一室、一軒家のサロンを経て現在に至ります」
————独立はいつ頃から意識していましたか?
「エステ業界に足を踏み入れた19歳の時にはすでに、25歳でお店を出すことを決めていました。『自立したい』という思いが、最初からとても強かったんです。いち早く開業するために毎日お弁当を作ったり、終電まで仕事をしたりして、1年間に200万円のペースで資金を貯めていました。先輩からは『10年経っても開業は無理』と言われていましたが、信念をもってやっていれば絶対に叶うと思っていましたね」
逆境こそ自分を見つめ直すチャンス
————独立後は順調だったのでしょうか?
「一軒家サロンの営業を開始した1週間後に東日本大震災が起きて、お客さまの半分が引っ越してしまったことがありました。あの時は、とても悩みましたが、ある経営者の方に『期間を決めて休めばいいじゃない』と言われて気持ちが楽になったんです。週末だけの営業に切り替えて、ボランティアにも参加し、手を動かすことをやめませんでした。私たちも定期的に施術をしていなければ、再開した際に質のよいサービスを提供することはできませんからね。本当に大変でしたが、サロンの経営を見つめ直すよい機会だったと感じています」
————辛いときにはどのようにモチベーションを保ち、乗り超えているのでしょうか?
「最近感じているのは、どんな経験も最後には学びになるということです。先日、お店全体である事件を体験して、その経験から改めて自分を見つめ直すことができました。またスタッフとの結束、信頼関係も深まったと感じています。尊敬する経営者の先輩から『リスクを負わないことが、最大のリスクである』という言葉を教えていただいたのですが、その言葉の通り、動いているからこそ壁にぶつかり、それを乗り超えることで少しずつ成長できるのだと感じています」
リピート率を高めるための極意
お客さま目線に立ったサロン経営で支持を集めている『Salon ERIMES』。リピート率を高める極意をまとめると下記の3つでした。
1.定額制メニューの導入で、美容効果を高める
2.お客さまのニーズに応える施術を提供する
3.理想を超えるサービスで信頼をつかみ、紹介につなげる
後編では人材育成における滝田さんのこだわりに迫ります。
▽後編はこちら▽
任せることで人は育つ。個性にあわせたアプローチでスタッフを育てる『Salon ERIMES』の人材育成術>>