メニューは1つ、1日2組限定! シンプルな設定で顧客満足度を高める『idea』の経営術とは?
サロンの売上アップ術に迫る本企画。今回は中野坂上で個人サロンを構え、19年目になる『idea』を取材しました。『idea』では4年前にメニューを刷新し、種類を1つに絞ったことで顧客満足度が格段に上がったといいます。どのようなメニューなのか、そしてなぜメニューを1つに絞ったのか、オーナーの島田有子さんに伺いました。
ボディとフェイシャル両方を施術するメニューで、顧客満足度&単価アップ
————まず『idea』が安定した成果を上げ続けている理由は、どのようなポイントにあるとお考えでしょうか?
「メニューを1つに絞ったことが効果的でした。現在サロンで提供しているメニューは、ボディとフェイシャルで3時間2万9,000円というコースのみです。
エステはトータルで施術を行うことが重要で、たとえばお顔のたるみを取りたいときに、お顔だけを触っても効果には限界があります。しかしデコルテ、背中など全身を調整していくととても大きな効果が出るんです。そのときの私が一番よいと思うサービスを、トータルで提供するように心掛けています」
————なぜメニューを1つに絞ったのでしょうか?
「お客さまをより丁寧に施術するためです。開業したての頃は個人エステが浸透していない時代で、エステ業界にもさまざまな問題があり、集客にはかなり苦戦しました。単価が3,000円ほどのお試しメニューを作りましたが、それだと3万円の売上を出すためには10人を施術しなければなりません。1人ひとりが満足のいくまで丁寧に施術することが難しく、お客さまも美容効果を感じられないため、今と比べるとリピート率が低かったと思います。
そこで徐々にメニューを絞り、単価もアップしていったんです。メニューを1つに絞ったのは4年ほど前ですね」
自分の実力が見合っていれば、単価アップは必ず実現できる
————単価を上げるのは勇気がいると思いますが、価格の変更についてはどのように考えていたのでしょうか?
「最初から3,000円でいらしたお客さまは、3,000円が当たり前になるもの。それがよいとか悪いという話ではなくて、そういうものなんだと思います。そのため最初に自分が納得できる金額を提示して、その内容に満足をした方が訪れてくださるというふうにしたほうが、自分の思い描くサロン経営ができると思ったんです。
段々と金額設定を上げていくと、低価格で来店いただいていたお客さまは足が遠のくかもしれませんが、自分の実力が見合っていればきちんとリピートいただける方は現れると思います」
————金額設定を変更する際に大切なことを教えてください。
「焦らないことですね。自分の技術を信じて、お客さまが増えることを待つ姿勢が大切だと思います。諦めなければいつかきっと、お客さまは足を運んでくださりますからね。
もうひとつ重要なのが、あまり反響がなかったコースは一旦ストップするなど、『うまくいってないな』と思ったものは一度考え直す時間を作ることです。『材料がもったいない』と思うこともありますが強引に進めずに、冷静に見極める目も同時に必要だと思います」
コンセプトは自分と同世代に対して打ち出す
————個人エステという形態にされた理由を教えてください。
「『流れ作業のような施術が嫌だ』と思ったからです。大手サロンで働いていた時は常に時間に追われており、1人ひとりを丁寧に施術することができませんでした。今は3時間のメニュー1本なので午前、午後に1組ずつ、1日2組限定とさせていただいています。きちんとお客さまと向き合えるので、私にはこういうメニューが合っていたのかなと思っていますね」
————『idea』のコンセプトはありますか?
「『40代からのエステサロン』をコンセプトにしており、メインターゲットは私と同じ60歳を目の前に控えた方たちです。私自身が更年期を終え、シニアに入りかけているので、そういう方たちがどんなところを気にしているか、不調を感じやすいかがよくわかるんですね。同じような経験をしているからこそ、お客さまと気持ちも共有しやすいですし、施術にも説得力が出ると思っています」
顧客満足度を高めるための極意
高い技術力で多くのお客さまの信頼を集めている『idea』。顧客満足度を高めるための極意をまとめると下記の3 つでした。
1.ボディとフェイシャルの両方を施術するメニューで、美容効果を上げる
2.単価の高いメニューを設定し、丁寧な施術ができる環境を作る.
3.自分と同世代に対してコンセプトを打ち出し、説得力のある施術を行う
後編では長くサロンを続けていくための極意について伺います。
▽後編はこちら▽
エステ歴29年、独立19年目。丁寧な施術でお客さまを魅了する『idea』流のサロンを長続きさせる極意とは?>>