メイクもアロマも薬膳も! すべてが教室のコンテンツに【まりしま薬膳主宰 島守真理さん】#2
美容とは全く関連のない職種から、メイク、オイルトリートメント、アロマ、そして薬膳へと学びを深めていった島守真理さん。
前編では、ご自身の意志とはちょっと違う目的から美容の道を選択したこと、メイクやオイルトリートメントを学ぶうちに、美容の奥深さに目覚めていったことをご紹介しました。
後編では、島守さんのサロンに通うお客さまの不調を解消するには…という課題を解決するために薬膳を学び始めたこと、さまざまな学びを通して師に恵まれたこと、今まで学んだすべてのことを盛り込んだ「まりしま薬膳」という教室を主宰するようになったことなどを伺います。
お客さまの不調を取り除くには…その答えを求めて薬膳の道へ

――島守さんは薬膳の資格も取っています。それはなぜ?
毎月のように私のもとに通ってくださるお客さまは、どうして毎回同じような不調を訴えるのだろう、と考え始めたのがきっかけです。私自身も年々疲れやすさを感じるようになっていて、どうしたものかと思っていました。
――たしかに肩こりだったり冷えだったり、不調は変わらないですね。
たまたま平日にお休みが1日できて、以前から興味のあった鎌倉薬膳アカデミーの1日体験クラスに参加しました。その時点ではまだ「薬膳で不調を解決しよう」とは思っていなくて、「鎌倉で薬膳体験だ!」という軽い気持ちだったんですよ。
――そうだったんですね。
料理のひと皿食べ終わると身体がポカポカ温まるのを感じて、次のひと皿で身体がすっと涼しくなる。初めて薬膳に触れて、「これはなんなんだ!」と思ったんですね。先生のお人柄も相まって、「ここで学びたい!」と1年コースに申し込みました。本当はその場で申込みたかったんですが、先生から「せめてお家に帰って、じっくり考えてから申し込まれたら?」と言われてしまって。あまりに前のめりな姿を危ぶまれたのを覚えています(笑)。
――まるで導かれているようですね。
本当ですね(笑)。鎌倉の教室は清潔ですごく居心地がいいんです。授業の後、先生に質問したことがあって残っていたら、先生方が教室の雑巾がけをなさっていたんです。「だからどこもピカピカなんだ」って納得できました。私たちが授業に参加するときは何時間も前に集合して、準備はもちろんですが一通り掃除をなさって私たちを迎えてくださっていたんだな、というのが分かってから私も見習うようになりました。
――居心地のよさは、簡単につくれないんですね。
ピカピカに磨き上げているから、先生たちは安心して生徒さんたちを迎えられるし、清潔な場所だからこそ私たちも安心して学んだり調理したりできるのだと感動しました。
――そこで資格を取ったんですね。
中医薬膳営養師の資格を取って、鎌倉薬膳アカデミーで中薬学と方剤学の講師を務めるようになりました。
私はどのスクールに行っても、素晴らしい師に出会う星のもとにいるんです(笑)。写真やメイク、スウェディッシュマッサージ、アロマトリートメント、アロマの化学的分野、リフレクソロジー、薬膳と先生方それぞれの知識が豊富で技術が素晴らしいのはもちろんですが、物事に対する考え方や立ち居振る舞いに、いつも心が動かされています。
すべての学びを凝縮した「まりしま薬膳」

――島守さんはメイクに始まって、いろいろ学んでいらっしゃいます。相互作用することはありますか?
薬膳には食材の組み合わせに面白さがあります。私はアロマで植物の合わせ方を学んでいたので、漢方を勉強するときに役立ちました。
先生から「教えてみない?」と言われたとき、私は迷わず漢方を担当したいと答えました。漢方の働きを学びながら、それが食材へ繋がっていけばいいなと思っています。
――島守さんが教えていらっしゃるのは、鎌倉薬膳アカデミーだけですか?
ほかにもこちらの教室でもいろいろなコースを主催しています。ご自宅でも手軽に実践できる薬膳を体験するコースもありますし、メイクレッスンをしてポートレイト撮影をするイベントも開催しています。
――メイクレッスンは1対1で?
いいえ、グループです。参加者おひとりの顔は私がメイクします。その様子をみなさんで代わりばんこに観察する方法です。私たちの顔は日によって少しむくむこともあれば、眉の位置さえ少し上下することもあります。何をどう工夫するのか、ひとさまの顔を見る方が学ぶことが多いように思います。
――セラピストのお仕事は?
今も続けています。講座もセラピーも、「分かったことがあって嬉しい」とか「楽しかった」という想いを持ち帰っていただければありがたくて。学びを受け取ったという想いに立ち止まることなく、その先に続くご自身の生活にキラキラしたまなざしを向けてほしいと思っています。
――まるで黒子のようですね。
アロマセラピーでも薬膳でも、全てが終わって楽しそうにドアを開けて日常に戻られていく、みなさんの後ろ姿を見送っているときがいちばん満ち足りています。この仕事を続ける原動力ですね。
――島守さんが普段から心がけていることは何ですか?
まりしま薬膳で掲げている言葉が、「学び・食べ・語らう」です。日々の幸せを感じて考えるクラスを心がけています。薬膳って「これを食べてはいけません」とか「あれを食べなさい」という決まり事が多いイメージがありませんか。今までの生活を否定しなくてもいいんです。ほんの少しだけ加えたり引いたりするだけで大丈夫。それだけで変化が実感できると思います。
――セラピーに関しては?
自分の感情は箱に入れて、置いておくことです。「箱」はイメージですけど(笑)。
お客さまの肌に触れると、その方の想いが伝わってきます。同じように私の想いもお客さまに伝わってしまう。例えばセラピーに入る前に困りごとがあったとしても、その感情を抑えるのではなくて自分から切り離しておく。そうすると目の前のお客さまのトリートメントに集中できます。これも私の師匠に教わったことです。
――奥深いですね。これからこの業界を目指す方にアドバイスをお願いします。
何を学ぶにしても、これから先の自分に「生きる知恵」が吸収できる!と考えています。まずは学ぶ。それが楽しい一歩になると思います。
島守さんの成功の秘訣
1.興味のある分野や新しい技術を学ぶことに躊躇せずに飛び込んでみる。
2.掃除を徹底して、居心地のいい空間をつくるように努める。
3.セラピーの前に自分の感情はいったん箱に入れて、穏やかな自分でいる。
撮影/松原敬子
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