出張美容サービスでご近所の方に笑顔を!『meetsHAND』の地域に根付くサロン作りに迫る
多様なサービス展開で安定した成果を上げている『meetsHAND』。設立3年にもかかわらず、思いのほか古くからの住人が多い恵比寿の街に溶け込み、地元の方からも厚い支持を得る人気サロンに成長しています。その成功の陰には、子どもと大人がともに楽しめるコミュニティ作りや積極的にサロンの外に出る出張美容サービスがありました。
後編では、地域に根付くサロン作り極意に迫ります。
家庭と学校以外で、子どもと大人が学べる「第3の場所」を目指して
————まずは『こどもテーブル』について教えてください。
「『こどもテーブル』は、日本の子育てを豊かにするために子どもと大人が学び合うコミュニティを地域に作る渋谷区の取り組みです。『meetsHAND』では、これまでにフラワーアレンジメント教室、お菓子作り教室、ママに向けたお子さんの前髪カット講習会などをサロンで開催しました。他にも、簡単にできるお子さんのヘアセットレッスンを企画したこともあり好評でした。『またやってほしい』という声も上がっているので、何か考えないといけませんね(笑)」
出張美容サービスで地域の方の笑顔を作る
————「児童養護施設への出張美容ボランティア」と「高齢者 理容券・美容券サービスへの登録」は、どのような活動でしょうか?
「児童養護施設への出張美容ボランティアは『Lond』のメンバーとともに取り組んでいる活動です。毎月1回、駒沢と世田谷の養護施設に出向いて、子どもたちが小中学校から帰宅する17時頃からカットを始めて20時ごろまでの間に15名ほどをカットします。『meetsHAND』のオープン当初から参加しているので、携わっている期間は2年半ほどです。
『高齢者 理容券・美容券サービス』への登録は、渋谷区が展開している出張美容サービスです。介護保険の要介護4以上と認定された65歳以上のお年寄りに、年に4回無料で美容サービスを受けられるチケットを配っており、サロンに電話があるとご近所のおばあちゃんたちのもとに足を運んでカットをしています。
このサービスは、私たち世代の美容師にはほとんど知られていないそうで、現在登録しているサロンは街の床屋さんが大半とのことです。そのため、私が行くと『若い美容師さんが来てくれたことがなかったからうれしい』と、とてもよろこんでいただけますね。また、この辺りはおしゃれなおばあちゃんが多いエリアなので、『これまではなかなか理想の髪形ができなくて悲しかった』という声を聞いたこともありました。
ちなみにカットした際に回収したチケットを区役所に持っていくと、カット代をもらうことができるのでマイナスはひとつもありません。私たち世代がもっと参加して、盛り上げていきたいと思っています」
————その他には、地域に密着した活動はありますか?
「お祭りでおみこしを担いだり、マラソン大会に選手として出場したりと、さまざまな行事に参加してきました。とにかく地域の方と交流できる機会には積極的に顔を出したいと思っていますね(笑)」
集客は関係なく人とのつながりを純粋に楽しむ
————なぜ、これほどまでに地域活動に参加しているのでしょうか?
「集客は関係なく、単純に人とのつながりが好きだからです。これまでも、いろいろな方との交流を楽しむなかで、たまたま仕事につながることが多かったと感じています。そのため、SNSよりも対面で接するほうが自分にはしっくりくるというか、得意なのかもしれません。
しかし、フリーランス美容師の集客をバックアップすることもオーナーの仕事だと思っているので、これからはもう少しネットを使った発信にも力を入れたいと考えています。地道に活用方法を勉強して、少しずつ成果を上げていきたいですね」
————最後に今後の目標について教えてください。
「子どもやお年寄りの問題に取り組むなど、これまで以上に社会と密接に付き合っていきたいと考えています。また、私が取り組んでいる活動をもっと美容業界に広めて、賛同してくれる仲間が増えたらうれしいですね。
他にも、業界の雇用環境を改善したいとも思っています。これまでは、低賃金、重労働が当たり前でしたが、これからはきちんとした生活が成り立つ給料が受け取れて、夕食時には家族でご飯が食べられる業界に変えていきたいです。他の職種の方々から『美容師は大変な仕事だ』ではなく『美容師は魅力的な仕事だ』と言われることが、大きな目標ですね」
地域に根付くサロン作り極意
ご近所との交流については同世代の美容師から驚かれることも多いという『meetsHAND』。地域に根付くサロン作りの極意をまとめると、下記の3つでした。
1.子どもと大人がともに楽しめる場を作る
2.出張美容サービスで積極的にサロンの外に出る
3.集客を意識せず人とのつながりを純粋に楽しむ
フリーランス美容師への歩合を高く設定している理由について、「できるだけ長く、気持ちよく働いてもらうためには80%が適切だと思いました」と笑顔で話す田部井さん。フリーランスを視野に入れている美容師の方、地元密着スタイルに興味のある経営者の方は、『meetsHAND』に足を運んでみてはいかがでしょうか。
▽前編はこちら▽
地域密着で人気店に! フリーランスが集う『meetsHAND』のSNSに頼らない集客術に迫る>>