人と比べなかったからこそ選べた道。遠回りに見えた選択が強みになるまで「bloc japon」本間真斗さん
芸能人やモデル、著名人が多数来店する東京・渋谷の人気サロン「bloc japon」。今回取材したのは、2021年8月に「bloc japon」へ入社した本間真斗さんです。
前編では美容師を目指したきっかけや、入社当初の姿勢について伺いました。
後編では、新人時代にぶつかった壁や、本間さんの強みとなっているブラックヘアに取り組むようになった経緯を伺います。
社内に前例がないブラックヘアを、独学で技術習得していった本間さん。効率よく売上を伸ばすことが難しいとされる技術に、なぜあえて挑戦し続けることができたのか。
その背景には、本間さんならではの考え方がありました。
今回、お話を伺ったのは…
本間真斗さん
「bloc japon」ヘアディレクター

福岡県出身。福岡県の大村美容ファッション専門学校で美容師免許を取得後、2021年8月に「bloc japon」へ入社。入社後はいち早くカリキュラムを進め、入社から9ヶ月ほどでスタイリストデビューを果たす。コーンロウやブレイズなどブラックヘアを強みに、着実にファンを増やしている。
ぶつかった集客の壁。SNSで出会い、「友だちのように」関係性を築く

――新人時代に悩んだことはありますか?
東京に知り合いがほとんどいなかったので、お客様をどう増やしていくかは常に悩んでいました。スタイリストデビュー前のモデル集めも大変でしたね。
――それはどのように解決したのですか?
インスタグラムで気になった方に「よかったら髪を切らせてください」と声をかけていました。
来ていただいた方とは、お客様というより友だちのような関係を築いていくことを意識していて。仲よくなってその方の友だちを紹介してもらい、またその方とも仲よくなる。それを積み重ねていました。
――どのようにして仲よくなるのですか?
友だちを作るのと同じ感覚です。共通の好きなものがあればそこから会話を広げますし、なくても相手の好きなものに興味を持つようにしていました。
そういうことは得意だったので、お客様を増やすというより、「関係を作る」という感覚に近かったと思います。友だちのような近い関係になるのは、今も変わらない僕の接客スタイルです。
――そうやって関係性を作っていくのですね。
はい。ただ、友だちのような関係といっても、お客様としての配慮はもちろん欠かしません。
飲み物やお手洗いなどは事前に確認し、不安を先に解消することを意識していました。さらに、雑誌を読むスピードが早い方には交換するかを確認するなど、細かな対応も心がけていました。
――ちなみに、SNSでどんな人に声をかけると来てくれやすいという基準はありましたか?
最初は系統やスタイルをあまり意識せずに声をかけていましたが、結果的に来てくださるのは、自分と雰囲気が近い方が多かったです。
また、自分の顔写真を載せている方は、撮られることに慣れていることもあってか、来ていただけることが多い印象でした。
――新人時代も順調だったのですね。
先輩に怒られないようにすることは意識していました。
怒られると自分はテンションが下がってしまうタイプだとわかっていたので、最初から怒られそうなことはしないようにしていて。
ミスを防ぐというより、自分がモチベーションを保ったまま続けられる状態を作ることを大事にしていました。
比べなかったからこそ続けられた。デビュー後に着手したブラックヘア

――スタイリストデビュー後、結果はすぐについてきましたか?
なかなかついてきませんでした。東京に知り合いがいないということもあり、数字は伸びにくかったです。
でも人と比べることをしなかったので、焦りはあまりありませんでした。
――なぜ比べないでいられたのでしょう?
うーん……。元々の性格もあると思います。
それに人にはそれぞれタイプがあって、結果が出やすい人とそうでない人がいるということはなんとなく感じていました。
技術面であれば努力を重ねれば、ある程度結果はついてきますが、数字はまた別だと思っていて。
そして比べなかったからこそ、コーンロウやブレイズなどのブラックヘアをやりたいという方向性をぶらすことなく、続けられたと思います。
――というと?
ブラックヘアは施術時間が長く、そのほかは他のお客様の予約も入れられないため、効率よく売上を上げるという意味では遠回りに見えるかもしれません。
もし僕が人と売上を比べていたら、もっと数字が出やすいスタイルを選んでいたと思います。
でも目先の数字よりも、以前から興味があって、純粋に自分の表現の幅を広げられるブラックヘアを追求してきたことで、今ではこの技術を求めて来てくださる方も増え、自分の強みになっています。
――ブラックヘアにはいつごろから取り組んでいたのですか?
スタイリストになって2年ほど経ってからです。
以前から興味はありましたが、すぐに手を出すのではなく、まずはカットやカラーといった基本の技術を固めることを優先しました。お客様が持ってきた写真を再現できるようになったと感じたタイミングで、「そろそろやってもいいかな」と自己判断で始めています。
――取り組む際に苦労をしたことはありましたか?
サロン内に教えてくれる先輩がいなかったため、ほぼ独学だったことです。
そこでYouTubeで施術動画をスロー再生したり、インスタのリールで髪を編んでいる一瞬の動きをチェックしたりして、研究しました。その動きを最初はウィッグで練習し、その後は知り合いや後輩の頭を借りて、実践を繰り返していましたね。
唯一、努力をし続けられた美容師。これ以外の仕事は考えられない

――お話を伺っていると、結果がついてこなくても焦らずに努力を続けてきたところが素晴らしいと思います。昔からそういう性格なのですか?
いえ、そんなことはないと思います。その証拠に美容師以外のことはあまり続いてこなかったですね。部活もやったことがないですし。
――なぜ美容師は続いているのでしょう?
感謝をしてもらえる仕事だということが大きいと思っています。
以前、友人といってもいいほど近い存在のお客様が、BEAMSというアパレル店でアルバイトをしていて社員試験を受けたことがありました。試験に受かり、無事に社員になれたのですが、毎年トップで通った人は入社式でスピーチをするらしく、その方が選ばれたんです。
そして、「面接のときに髪を褒めてもらえて、覚えてもらった。だから受かったと思う。ありがとう」と話してくれて。自分の仕事がその人の結果につながったと感じられたことは、すごくうれしかったです。
髪型はその人の印象を大きく左右しますし、美容師は人生の大事な場面にも関わることができる仕事だと思います。
――美容師の仕事の醍醐味もそこにありそうですね。
はい。服は毎日同じものを着るわけではありませんが、髪は毎日その人とともにあるものです。
そういう意味でも、生活に寄り添える仕事だと思っています。なんとなくのきっかけで始めましたが、今は美容師以外の仕事は考えられません。
――最後にこれから美容師を目指す人にアドバイスをお願いします。
僕は新人時代に、大変なこともありましたが、努力をした分だけ結果がついてくるということを学びました。ただ、そのスピードは人によって違います。結果が出るまでに時間がかかる人もいる。
だからこそ、人と比べないことが大事だと思っています。
僕は比べずに続けてきたからこそ、ブラックヘアという表現にも挑戦でき、それが今の強みにつながりました。
やりたいことが見つからない場合は、いろいろなスタイルに挑戦してみるのもひとつの方法だと思います。そのなかで「もっとやりたい」と思えるものに出会えたとき、それが自分の軸になるはずです。
本間さんが新人時代を経て、なりたい美容師像を実現できた3つの理由
1.固定概念にとらわれず、「早く働きたい」という自分の感覚に従った
2.目標を明確にし、多くの練習を積み重ねた
3.結果を焦らず、人と比べず、自分のやりたいことを追求した
人と比べない。シンプルなようにみえて、それを貫くのは簡単ではありません。結果が出ないときほど、周囲と自分を比べてしまい、焦りから選択を変えてしまうことも少なくないでしょう。
しかし本間さんは、人と比べないことで目先の数字にとらわれず、自分のやりたいことを選び続けてきました。
その積み重ねが、結果として「遠回りに見えた道」を自分だけの強みに変えていったのです。もし今、周囲と比べて焦りを感じているのであれば、一度立ち止まって「自分は何をやりたいのか」に目を向けてみることも大切なのかもしれません。
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bloc japon
住所:東京都渋谷区宇田川町32-7 YY UDAGAWA BLD.11F
TEL:03-3462-0070


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