予約の95%が常連のお客様。人生に寄り添うため、心地のよい空間とサービスを提供【美容師・阿部タクヤさん】#2

サロン勤務、業務委託、フリーランスを経て、東京・新宿に自身のサロン「LUMINOUS HAIR」をオープンした美容師・阿部タクヤさん。前編ではそのときどきの状況や気持ちに合わせて柔軟に行動し、ステップアップしてきた過程をお聞きしました。

後編では予約の95%が常連さんという「LUMINOUS HAIR」の人気に迫ります。実は美容室が苦手という阿部さん。技術はもちろん、常連さんの多くは「友人の家」のような居心地のよさに惹かれているとのことです。

今回、お話を伺ったのは…

美容師・「LUMINOUS HAIR」オーナー 阿部タクヤさん

東京都出身。山野美容専門学校卒業後、東京・世田谷のサロンに12年間勤務。その後東京・五反田のサロンでの業務委託を経てフリーランスに転身。新宿や中野、五反田など、複数の拠点で施術を行う。2023年に自身のサロン「LUMINOUS HAIR」を新宿にオープン。面貸しも行いながら経営者兼スタイリストとして活躍している。

インスタグラム

お客様とともに人生を歩めることが美容師としての幸せ

常連さんへの感謝の気持ちを語る阿部さん

――「LUMINOUS HAIR」をオープンして約2年とのことですが、東京・新宿という人気の地でどのようにして経営を続けているのでしょうか。

ありがたいことに常連のお客様に支えられています。世田谷のサロン勤務、五反田の業務委託の頃からのお客様が変わらず通ってくださり、さらに友人や職場の方、ご家族を紹介してくださることが多く、本当に感謝しかありません。売上の95%以上は昔からの常連さんです。

ただし、現在は常連のお客様で成り立っていますが、いつどのような状況になるかわからないため、今後は新規集客も力を入れていかなければと考えています。

――これだけ多くの常連さんが通い続けてくださる理由は何だと思いますか?

僕自身が「キラキラした美容師」というタイプではなく、親近感が湧くタイプだからではないでしょうか。実は僕は美容師なのに美容室が少し苦手で(笑)。美容師といえば華やかなイメージがありますが、僕はどちらかというと恥ずかしがりで控えめな性格。だからこそ、お客様のなかにも「美容室が苦手」「リラックスしてゆっくり過ごしたい」という方が多く、そういう方と自然とご縁が続いているのだと思います。

実際、髪を切りに来てくださるだけでなく「話をするために来ている」というお客様も多いんです。最初のサロンで教わった「お客様の声を聞く」という姿勢を大切にし続けた結果だと思います。

そうやって長く通ってくださるお客様と一緒に年を重ねていく感覚がとてもうれしいですね。その方のライフスタイルや髪質の変化に合わせてデザインを提案したり、昔から知っている幼なじみのような距離感で接したり。お客様にとって、そんな「人生を共に歩む存在」のひとりでありたいと思っています。

幼なじみのような安心感とリラックスできる空間が人気の秘訣

お客様用のブランケットにも可愛いらしい工夫がみられる

――常連のお客様に心地よく過ごしてもらうためのお店作りの工夫を教えてください。

内装は白やグレーを基調にシンプルにまとめていますが、昔から好きなキャラクターや小物を散りばめていて、それが会話のきっかけになることも多いです。

「美容室らしいきらびやかさ」ではなく、友人の家に遊びに来るような感覚で過ごしていただける空間を意識しています。僕自身も好きなものに囲まれて働けるので、心地よいですしね。

――売上を維持しながら、これからも長く続けていくために取り組んでいることや意識していることはありますか?

お客様は年齢を重ねるにつれてライフスタイルやプライベートも変化していきます。美容師として、そうした変化に伴う髪質の変化やライフスタイルに合わせたデザインを提案することを心がけています。単に髪を切るだけでなく、その方の人生の節目や日常に寄り添えるような存在でありたいんです。そのために、今でも技術の習得や情報収集は欠かせません。

また、昔からの幼なじみのように、友達ではないけれど「自分のことをよく知ってくれている人」としてお客様に安心感を持っていただける関係性を築くことも大切にしています。そうした距離感を意識することで、長く信頼していただける関係を続けていけるのだと思います。

――サロンを構えたことによる新たな気持ちなどがあれば教えてください。

フリーランス時代は、間借りさせてもらえるサロンがあったからこそ仕事ができていました。今は逆に、自分のサロンを間借りで使ってくれている美容師さんもいます。そうした方の助けになれるのは嬉しいですし、かつての自分を支えてもらった経験を、今は人に返せているのかなと感じますね。

お客様がいて、美容師という仕事があってこそ人生が豊かになる

これからもお客様とともに美容師人生を歩んでいきたいという阿部さん

――今後の目標を教えてください。

将来的には「地元の町田に自分のサロンを構えたい」という気持ちがあります。実家を継ぐわけではないですが、家族も年を重ね、僕自身も地元に戻る機会が増えてきました。生まれ育った街に、少しでも恩返しができたらという思いが芽生えてきているんです。

今のサロンも、内装やレイアウトを一から考えて作り上げました。そうした「場をつくる」こと自体が好きなので、将来はまたゼロから自分の手でサロンを作りたいと思っています。

お客様との関係性が築けていれば、必ずしも「ここでなければ」ということはないと思っています。ですが、今来てくださるお客様がいる限り、この新宿のサロンはしっかり続けていきたいので、地元での出店計画はまだまだ先の話になりそうです。

――阿部さんにとって「仕事」とは何でしょうか?

一言で言えば「人生」ですね。

昔はどちらかというと人付き合いが得意な方ではなかったんですが、美容師という仕事を通じて本当に多くのお客様と関わることができました。趣味や日常のことをお客様から教えていただいたり、逆にこちらから情報をお伝えしたり。そうしたやりとりのなかで、人生が豊かになっていると感じます。

僕にとって仕事は単なる生計の手段ではなく、日常そのもの。ライフスタイルの一部ですし、お客様にとっても生活の一部になっているのではないかと思います。お互いの人生が交差して、一緒に時間を重ねていける。その関係性こそが、この仕事の魅力ですね。


お客様の気持ちに寄り添い、常に感謝の気持ちを持って接する阿部さん。安心して通える空間作りや気遣いが常連さんに愛される秘訣だと学びました。ほっとひと息つけるサロンをお探しの方はぜひ足を運んでみてください!


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LUMINOUS HAIR
住所:東京都新宿区西新宿7-22-29 EspoiR富士 6F

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