2ヵ月後に思い出してもらえる美容師になる! 次回予約率95%のプロに聞く接客の極意 【フリーランスのライフスタイル 美容師・江利仁美さん】
シェアサロンの普及などに伴い、最近増えてきたフリーランスという働き方。今回は、2017年からフリーランスの美容師として働いている江利仁美さんに登場していただきます。
「GO TODAY SHAiRE SALON 原宿Stella店」で働く江利さんですが、過去には11年間サロンの店長を勤めたり、NYとパリコレクションのヘアメイクに抜擢されたりと、さまざまな経歴を持っています。また、次回予約の大切さや自己ブランディングの方法を伝える講座を開くなど、サロンワーク以外でも積極的に活動。ご自身の次回予約率、リピート率はなんと95%以上という人気の美容師です。
前編では、なぜ次回予約を大切にしているのか、力を入れるようになったきっかけを伺いながら、リピート率の高さをキープする方法についても迫ります。
お話を伺ったのは…
江利仁美さん
佐賀県出身、山野美容専門学校夜間卒業。美容師として銀座の老舗サロンや茨城県の美容室、都内の中型サロンにも勤務する。フリーランスになる直前には、吉祥寺のサロンの新規オープンにたずさわり、11年間店長を務める。2017年に独立。現在は「GO TODAY SHAiRE SALON 原宿Stella店」でフリーランスの美容師として活躍する。次回予約率、リピート率ともに95%以上を誇る人気美容師。
Instagram:@hitomi.eri0916
Twitter:@erihitomi0916
フリーランスはお客さまにも自分にとっても一番よい働き方
――――さまざまなご経験をお持ちの江利さんですが、フリーランスになるまでの経歴を教えてください。
2017年にフリーランスになる前は吉祥寺のサロンで約11年間店長として働いていました。その前までは銀座の老舗サロンや叔母のいる茨城県の美容室などさまざまな場所で経験を積んできたので、美容師歴はかなり長いです。吉祥寺のサロンにいるときに過労と責任の重さが原因で体調を崩し退社。1カ月の休養を挟んだ後に、フリーランスとして働くことにしました。半年ほど恵比寿のシェアサロンで働いた後、現在の「GO TODAY SHAiRE SALON 原宿Stella店」に異動して今に至ります。2017年に独立したのでフリーランス歴は約5年です。
――――休職後、フリーランスとして働こうと思ったのはなぜですか?
急いで復帰しなければならなかったことと、自分のペースで働けることが理由です。当時から仕事をするうえで次回予約を大切にしていました。そのため、吉祥寺のサロンをやめた後もお客さまから予約の問い合わせがたくさん来ていたんです。それで、お客さまのためにもすぐに働くことができるフリーランスの道を選びました。また、店長というプレッシャーと過労が原因で体調を壊してしまったので、次は責任に縛られることなく、身体に無理のない時間で働きたいと思ったんです。ずっと美容師を続けたいという想いが強かったので。
お客さまの髪質から周期を把握。
丁寧に説明を行うことでリピート率急増!
――――次回予約率95%ととても高い数字をキープされていますが、リピート率を意識したきっかけを教えてください。
吉祥寺のサロンで働いているときに、自分のお客さまを守りたいと思ったのがきっかけです。サロンワーク中は忙しくて私の予約のお電話に別のスタッフが対応することがありました。自分が担当するお客さまとは直接話したかったので、必ず電話は替わってくださいと伝えていたのですが、ある日他のスタッフが私の予約を空きがないからと勝手に断っているのを聞いてしまったんです。
実は当時スタッフといい関係が築けていないこともあって、このままでは私の知らないところでお客さまが離れていってしまうと危機感を覚えました。実際、リピーターの方からも「この前電話したら断られたんだよね」と言われることが増え、解決策として次回予約に力を入れるようになったんです。
――――なるほど。具体的にはどのようにして次回予約をご案内されているのですか?
まずはお客さまのご来店の周期を把握すること、そしてそれを丁寧に説明することが大切です。たとえばカラーにいらっしゃった方には「2カ月後くらいにまた根元が気になり始めると思いますので次回はこんな色もいいですね」などと来店周期を混ぜたお声掛けをします。そこに次回の提案も添えてあげるととても喜んでいただけますね。美容院に行く頻度を把握しているお客さまは少ないので、そこを意識してもらうんです。
もし当日中の次回予約が難しい場合でも、2カ月後に鏡を見て「本当に江利さんの言った通りだ!」と私を思い出してもらえるような接客を心掛けています。ポイントは未来の話をすることです。髪の状態だけでなくイベントと絡められたらさらにいいですね。たとえば3月にいらっしゃった方にはGWはどこに行きたいか、去年はこんなことしていた、など、イベントが近づくと「そういえば江利さんとこんな話したなぁ」と思い出していただくだけでもリピートに繋がります。
お客さまの「なりたい!」を引き出す接客と技術
――――確かにふとした瞬間に美容師さんの顔が浮かぶと「予約しなきゃ」という気持ちになりますね。他に接客で気をつけていることはありますか?
大切にしているのはいらっしゃった際に些細なことでもいいので感動を体験してもらうことです。たとえばシャンプーを誰にも負けないくらい丁寧にするとか、スタイリングの方法をきちんと説明するとか、基本的なことでいいのでお客さまの印象に残ることが大切。今はどこのサロンもレベルが高く、要望を叶える技術はみんな持っているんですよね。そこで、他の美容師さんがもっていない自分の強みを見つけて生かすようにすれば、必ずお客さまに響くと思います。
――――そんな江利さんの強みとはどんなところだと思いますか?
施述の内容を道筋立てて説明するのが得意なので、それを生かしてお客さまの理想のスタイルを叶えられるのが強みだと思います。たとえば憧れの女優さんと同じ髪型にしたいと思っていても、くせ毛だったり似合わないと決めつけてしまったりする人ってたくさんいるんです。そんなときはお客さまの髪質や癖の特徴を細かく分析し、その結果を丁寧に説明することを心掛けています。
そのうえでどうしたら理想に近づけるか、施述の内容を具体的にお伝えすれば、みなさん納得してくださるんです。きちんと理解したうえでスタイルを作っていけば、できないものはないと思っています。実際「私でもこんなふうになれるんだ!」と喜びの声をいただくことが多く、その瞬間が何よりもうれしいです。
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次回予約の重要性や未来の話をするという接客のポイントを学ぶことができました。同時にお客さまの理想を叶えたいという江利さんの熱意が伝わってきて、高いリピート率にも納得です。
後編では、江利さんが大切にしている次回予約を多くの方に広めるための活動や、貴重な海外コレクションでの経験について伺います。後編も江利さんの温かな人柄がわかるインタビューとなっています。ぜひチェックしてみてください。
▽後編はこちら▽
お客さまファーストの意識が叶えた、350日もキープできる理想のスタイル作り 【フリーランスのライフスタイル 美容師・江利仁美さん】>>