パーマが似合うショートカットの作り方をレクチャー!【美容師のカット技術/Belle 原口陽介さん #2】
前編に続き、パーマ×ショートヘアで人気を集める「Belle 銀座5丁目店」副店長の原口陽介さんにインタビュー。前編では、原口さんがショートヘアに注力した理由と技術力アップ方法、そしてパーマ×ショート成功の秘訣について教えていただきました。
後編となる今回は、デザインのカギとなるカット方法をご紹介。原口さんのこだわりポイントは、フォルムを作る時の「シェープ」の仕方だそう。柔らかく動きのあるショートスタイルを作りたい方は必見です。
お話を伺ったのは…
Belle 銀座5丁目店
副店長/スタイリスト 原口陽介さん
都内1店舗を経て、2018年「Belle」に入社。2021年7月より銀座5丁目店の副店長に。スタイリスト1年目からパーマ×ショートに力を入れ続け、着実に売り上げを伸ばす。ヘアのシルエットと顔周りのバランスに定評あり。
Instagram:haraguchi___belle
Belle 原口陽介さん流『パーマが似合うショートヘア』
ショートヘアのパーマスタイル成功のカギは、カットにあるという原口さん。カットの時点でパーマをかけた時の毛流れまで想定することが大切なのだとか。
そんな原口さんが今回提案してくれたのは、数あるショートのフォルムデザインのなかでもパーマと相性抜群なマッシュショート。柔らかな動きのあるシルエットは、ワンカールでも強めのパーマでも、おしゃれに仕上がります。
それでは今回のデザインについて、まずは施術のポイントをチェック!
『パーマが似合うショートヘア』の施術ポイント
1.カット前に全体像をしっかりイメージしてラインを決める
仕上がりイメージのフォルムを考えて長さを設定。きちんとラインを決めておけば、そこに合わせてカットしていくだけ。
2.設定したイメージの毛流れになるようにシェープをとる
シェープはテンションをかけず、やわらかく優しく引き出します。テンションをかけると硬い印象になるので、パーマ後のニュアンスがチグハグに。
3.セニングは根元から取って髪全体が動くように
毛先のみにセニングを入れても、パーマをかけた時に動きが出ません。毛流れに合わせて根元からしっかり間引くことで、パーマなしでも動きのあるショートに。
ポイントを押さえたら、詳しいカット方法のレクチャースタート!プラスするパーマのポイントも要チェックです。
HOW TO
BEFORE
1.骨格に合わせて仕上がりをイメージ&ブロッキング
骨格と髪質をチェックして仕上がりイメージを考え、顔周り、後頭部、間を通る耳周りの長さを設定。
今回、顔周りは頬が隠れるくらいのマッシュショートを想定。後頭部は表面の髪が後頭部の丸みを覆う長さ、サイドは耳たぶが見えるくらいを通るイメージに。
眉くらいの高さから、後頭部が包み込める長さでブロッキング。
2.ガイドをカット
襟足は最終ラインでまっすぐカットしてアウトラインを設定。サイドは45度上げて耳たぶが見える長さでチョップカット。
バックは後頭部に丸みが出る長さより、やや長めにガイドを設定。前上がりラインになるように、サイドから後頭部につながるようにカット。
3.襟足をカット
最初に作ったエンドラインと、バックのガイドラインをつなげるように、ななめスライスでカット。コームを少しひねってスライスを引き出すと柔らかい印象に。
髪が溜まりやすいもみあげ、耳上、耳裏をセニングで少しだけ取っておく。少し軽くしておくとフィット感がアップ。
4.フォルムカット
後頭部の髪を下ろして、テンションをかけずにシェープ。ガイドよりやや長くなるイメージで表面をカット。
サイドは耳近くでとったガイドより長めにカット。表面はシェープする時に、作りたい毛流れの方向にひねりを加えてカットする。
後頭部の頂点に向かってつなげていく。ゆるやかなU字になるようにカット。
5.前髪&顔周りをカット
前髪は黒目上で三角にとり、目の上くらいの長さに設定。サイドにつなげるイメージで切り込む。
顔周りはななめに引き出し、少しひねりながら後ろ方向に流れるイメージでシェープ。サイドとつながるように、ゴールを確認しながら切り進める。
6.レイヤーを入れる
トップの角を取る程度にレイヤーを入れる。これをガイドに、トップとアウトラインをグラデーションでつなげる。これを入れるだけで、ふわっとした躍動感が生まれ、パーマの動きも出るように。
サイドから後頭部も、後ろに向かってひねりながら引き出し、後頭部の頂点につなげていく。
7.ドライカット
全体を一度ドライ。毛先全体にチョップカットを入れ、柔らかさを出す。毛先を流したい方向に向け、ポンポンとある程度深めにハサミを入れる。
8.セニングを入れる
毛量調節は、つながりを意識して流したい方向へ切り進めていく。毛先だけだとパーマの時動きが出ないので、根元からしっかり間引く。
サイドも同様に。耳裏は間引いてあるので、耳上のパネルから取る。
こめかみ付近は、髪が溜まりやすいのでしっかり間引くと小顔に。髪を振りながら間引くと、髪の動きを見ながらカットできるので、削ぎ残しなくバランス調整しやすくなる。
前髪は鏡を見て、髪を振りながらセニング。毛先を間引いて隙間を作る。襟足はコームで押さえながら、バランスを見て整える。
AFTER
パーマの施術
パーパスでトップから巻き下ろし。ロッドはトップに19mmを使用し、サイドは小さくしていく。ノンテンションで毛先から2回転、根元まで巻き込む。同様に全体を巻いていく。
仕上がり比較
パーマでしっかり動きが出るようにカットしているから、ノンパーマでも柔らかくふんわりとしたシルエットに。もちろんパーマを施せば、完璧な美シルエットの小顔ショートが完成!
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「全体的に少し長めに設定すると、余裕がうまれてパーマも成功しやすくなります。ノンパーマもそうですが、パーマをプラスする場合は特に毛流れと柔らかさを作ることが大切です。それには柔らかくシェープすること、仕上がりの毛流れに合わせてカットしていくこと!ぜひ取り入れてみてください」(原口さん)
毛流れを意識したカットのおかげで自然と柔らかな動きが生まれ、パーマもさらに活きてきます。ショートの提案のひとつとして欠かせないパーマ。その仕上がりをワンランクアップするカットテクは、取り入れて損なしです!
取材・文:山本二季
撮影:片岡 祥
モデル:福江美羽