だれもやっていないからこそ自分が一番地になれることを【美容鍼灸師・白金鍼灸サロンフューム 折橋梢恵さん】#1
鍼灸の世界に美容鍼灸という新しいジャンルを確立した折橋梢恵さん。「白金鍼灸サロンフューム」の運営に加え、人材育成や一般社団法人日本美容鍼灸連盟の理事と、業界の発展を目指し精力的に活動しています。
前編では、伝統的な鍼灸に美容を融合させた新しいジャンルへの挑戦と挫折についてインタビュー。プライドを捨てて学ぶことの大切さについて教えていただきました。
ORIHASHI’S PROFILE
- お名前
- 折橋梢恵
- 出身地
- 富山県
- 年齢
- 44歳
- 出身学校
-
東京衛生学園専門学校教員養成課程卒業
イルミアアカデミービューティースクール卒業 - 経歴
- 白金鍼灸サロンフューム院長
美容鍼灸の会美真会会長
ビートゥルースアカデミー学院長
一般社団法人全日本美容鍼灸連盟理事 - 実績
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美容鍼灸の祭典美容鍼灸フェスタ主宰者
主要6都市美容鍼灸全国ツアー講師
ビューティーワールドジャパン2016in Tokyo及びin Osakaメインステージ演者
第二回ヘルス&ビューティーショー演者
メディア取材及び講演多数 - 憧れの人
- ジャンヌ・ダルク。無名の少女が信念を持ち続け、後世に名を残すまでに至ったその生き方について尊敬しています。
- プライベートの過ごし方
- 休みの日は、料理をしています。実は調理師免許を持っているので(笑)。最近は、発酵食品やダイエットフードに挑戦中です。
- 趣味・ハマっていること
- 趣味は、歴史がある町の散策や郷土料理などの食べ歩き。ハマっていることは、全国の酒蔵巡りと御酒印集め。
- 仕事道具へのこだわりがあれば
- 刀は武士の魂なり、鍼は鍼灸師の魂と知れ」。これは、ある有名な鍼灸師が遺した言葉ですが、昔、武士が良い刀を求めた様に、鍼灸師も鍼は良いものを使うべきだと考えています。ただ私たちは人を癒し、活かす仕事なので、患者様にとっても良い鍼を選ぶべきだと考えています。
中国留学で出会った鍼灸の世界
──鍼灸に興味を持ったきっかけについて教えてください。
大学3年生の時に中国へ語学留学をしたのですが、鍼灸や漢方などの東洋医学が日常生活に自然に取り入れられているのを見て、すごく印象に残ったんですよね。
留学を終えて帰国すると、就職氷河期まっただ中。特に女子学生が就職難という世の中で、企業への就職を目指すより、手に職をつけたほうがいいと考えるようになりました。そんな時、通っていた静岡の大学の近くに新しく鍼灸専門学校ができて、中国での経験から「あ、これだ」とピンときたんです。
鍼灸師は、資格と同時に開業権が取得できる数少ない国家資格。性格的に誰かの下で働くより独立したいタイプだったこともあり、鍼灸師の道に進むことにしました。静岡の専門学校で3年勉強をして、無事に鍼灸師の資格を取得。でも、鍼灸の世界は学べば学ほど奥が深いんです。独り立ちするにはまだまだ勉強不足だと感じ、教職課程のある東京の鍼灸専門学校でさらに2年勉強を続けました。
女性の体と美容の悩みを一度に解消したい!
──鍼灸と美容を組み合わせる理論は、どのようにして考えついたのですか?
東京の専門学校時代は、午前中の講義が終わると、午後は鍼灸整骨院で働きながら臨床経験を積む毎日。たくさんの患者さんと接するなかで、女性の体の不調と美容の悩みが密接につながっていることに気づきました。
一般的に、鍼灸は体の不調を改善する場所、エステは美容のために顔や体をトリートメントする場所と分けて考えますよね? そこで、両方を組み合わせれば、体と美容の悩みをいっぺんに解消できるはずだと考え、美容鍼灸という新しいジャンルに挑戦することにしました。
ただ、鍼灸の知識はあっても、どうすれば美容と融合できるのか、やり方が分かりません。インターネットで検索すると、今でこそ関連ワードが2000万件以上出てきますが、当時は10件もないくらい。たまたま表参道に鍼灸を併設しているエステサロンとご縁があり、卒業後、そこで鍼灸師として働きながら勉強させてもらうことにしました。
「何でリピーターがつかないの⁈」。エステと鍼灸の違いに気づいた大きな挫折
──そこではどんな学びがありましたか?
鍼灸師としてキャリアがあったので、けっこう上手くやれると思っていたんです。ところが、リピーターが全然つかなくて…。もう一人、私より若い鍼灸師さんがいたのですが、彼女には常連のお客さまがたくさんいるんです。「経験は私のほうがあるのに、何で⁈」って、ものすごいショックでした。
──原因は何だったのでしょうか?
ある日サロンのチーフが私を呼んで、「折橋さんは技術はしっかりしているけれど、接客全般でお客さまへの気遣いが足りないかな」って教えてくれたんです。
鍼灸師は職人の世界なので、技術第一で接客は二の次という世界でした。でも、エステは違う。話し方やお水の出し方1つとっても、つねにお客さまを気遣い、おもてなしすることが重要な評価対象とされているんです。
──それはカルチャーショックですね。
言われたときは落ち込みましたが、チーフにしたらキャリアのある私に助言をするのは気が重かったと思うんです。そこをあえて伝えてくださって、心からありがたいなと思いました。
そこからですね、プライドを捨てて周りのスタッフにどんどん質問して、エステのスクールにも通って、セラピストとして足りないものを徹底的に学びました。エステサロンは鍼灸院より客単価が高いのですが、その意味を身を持って体験できたことも、本当によい経験となりました。
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挫折を経て、鍼灸とエステ、両方の知識と経験を身につけていった折橋さん。年齢やキャリアを重ねていくと、周りからの助言を素直に受け入れることが難しくなりがちですが、「だからこそ、客観的にアドバイスしてもらえるのは貴重な機会。特に独立して起業したい人ほど、きちんと耳を傾けるべきだと思います」。
後半では、いよいよ自身の美容鍼灸サロンをオープン。スクールや協会の設立など、美容鍼灸のすそ野を広げる活動についてお聞きします。
取材・文/池田 泉
撮影/高橋 進