「子どもと離れたくない!」という想いから起業することを決意【Salon de Spa オーナー 羽深紫織さん#1】
美容業界で働きながら子育てに奮闘しているワーキングママ、ワーキングパパにお話を伺うこの企画。今回は、2年前にメンズ専用のエステティックサロンを小田原に開業した羽深紫織さんをご紹介します。
前編では、羽深さんが子育てをしながら起業を決意したこと、その業態を男性専用のエステチックサロンに決めたことなどを詳しく伺いました。
お話を伺ったのは…
Salon de Spa オーナー兼セラピスト
羽深紫織さん
高校卒業後、カナダにワーキングホリーデーの制度を利用して留学。帰国後はホテルや旅館に勤務。2011年にはセラピストの技術を磨くために本場のタイへ留学。その後、女性専用のサロンでセラピストとして勤務する。出産を機に退職し、2020年に小田原に男性専用のサロン『Salon de Spa』を開設する。
どんなときも励ましてくれるベストパートナーと結婚
――パートナーとはどんなタイミングで出会ったのですか?
私が箱根のホテルで働いているときに主人と出会いました。共通の友人を通じて知り合って、お付き合いが始まったんです。その当時、私は22歳で主人は29歳。年齢は7歳離れていますが、もともと年上の人と過ごすのに心地よさを感じていたので年齢差を意識することはありませんでした。
――パートナーのどんなところに惹かれましたか?
彼はいつもポジティブで、私が仕事のことで落ち込んでいると励ましてくれてハッピーな気分にしてくれるところですね。お互いに束縛することはなく、必要以上に干渉しないようにしているので、今まで出会った人の中でいちばん信頼できるパートナーです。出会ってから13年経ちますが、年齢を重ねるごとに仲良しになっている気がします。
――結婚と出産のタイミングは?
私が26歳のときに結婚をして、翌年に長女を出産しました。その当時、女性専用のエステティックサロンにセラピストとして勤務していて、妊娠7か月まで働きました。働くことが大好きだったので、産休と育休を取って、落ち着いたら復職するつもりでした。
――妊娠・出産の時期はご夫婦で考えていたのですか?
夫婦で話し合うことはありませんでしたが、1人目のときも2人目のときも「子どもが欲しい!」と思ったタイミングだったので、ただただ嬉しかったです。
産前産後の2ヶ月間は、私の実家がある福岡で過ごしました。結婚してからこんなにも長い期間を実家で過ごすことはなかったので、嬉しかったですね。家族の時間がふえて、母の美味しい手料理を毎日食べられて、幸せな産後でした。
出産後は復職せず、子どもと過ごす時間を優先
――最初のお子さんを出産後、勤めていたサロンに復職しなかったのですか?
「こんなに可愛い赤ちゃんの期間を一緒に過ごせないのは寂しい!」と思って、復職するのを辞めました。「子どもがいてもできる仕事をしよう!」と思い立って、起業しました。子どもを持つまで、「会社に所属して、社員として働くのが当たり前」と思っていましたが、働き方は一つではないことに気づいたのは大きな収穫でしたね。子どもがいなければ、起業するなんて考えもしませんでした。
――最初はどんなお仕事を始めたのですか?
樹脂粘土でアクセサリーなどを作るグルーデコ®講師の資格を取りました。お母さんたちを集めて作品の作り方を教えたり、私が作った作品を販売したり。子どもを保育園に預けたくても、どこもいっぱいだったので、子どもを連れてイベント会場を回ることもしばしばありました。お客様がお母さんたちだったので、子連れでもイヤな顔をされることもなく、すごく楽しかったですよ。
長女はすごくおとなしくて、あまり人見知りをしない子だったので、それも良かったのかもしれませんね。お母さんたちに可愛がってもらえました。
――サロンを開く決意をしたのは、何がきっかけだったのですか?
グルーデコ®講師をしているとき、神奈川県が取り組んでいる「未病」の仕事に携わる機会がありました。これがきっかけで、「食」、「運動」、「社会参加」の大切さと、心と体の健康を保つことの重要性に気づいたのです。
2人目の出産はまさにコロナ禍のまっただ中で、精神的に病んでいる方が増えているのをひしひしと感じていました。特に食生活が乱れやすい独身の男性は、心と体のバランスが崩れやすいかも…と思って、男性専用のプラベートサロンをつくろう!と思い至りました。
――男性専用にこだわったのはなぜですか?
エステティックサロンといえば女性専用が多く、「専用」と明言していなくても男性は入りづらい…とおっしゃる方が多いんです。それに男性専用のサロンは都心部にはありますが、私が住んでいるここ小田原にはまだなかったので、主人とも相談して決めました。
主人が「好きなことは好きなだけやって」と背中を押してくれて、すごく嬉しかったですね。
2人目を出産して間もなく、待望のサロンがオープン!
――同じ年に2人目の出産とサロンのオープンが重なっているのですね。
2020年の2月に長男を出産して、8月にサロンがオープンしました。
――お子さんが2人いると、育児と仕事の両立は大変だったのでは?
上の女の子は小学校に通うようになって少し手が離れましたが、下の子は生まれたばかりだったので、ちょっと大変でしたね。思っていた以上に保育園になかなか入れなくて、「もっと仕事を入れたい!」と思ってもできない環境がとても歯がゆかったです。
――サロンの営業時間も朝9時から夜21時までと長いですよね。
サロンは家から車で10分の場所にあるので、予約の合間を見て家事と育児の時間に充てることができます。例えば、夜の予約が入っていたら、夕方に家族の食事を作ってから私はサロンへ向かいます。そうすると主人は子どもたちに食事をさせてお風呂に入れてくれるので、安心して仕事ができるんですよ。後片づけもしてくれているので、私は家に帰ったらのんびりお風呂に入って眠るだけ(笑)。自分のライフスタイルに合わせて仕事ができる環境は理想的ですね。
――パートナーとの育児や家事の分担はどうしていますか?
造園業で働く主人とは共働きなので、家事と育児はすべてを半分ずつ分担しています。料理は私が作りますが、それ以外の洗濯や片付け、掃除、子どもたちのことはできる方がやる…という感じです。
主人は料理以外、家事と育児全般が得意なので、私が仕事で1日中家にいないときは、ベッドやソファーを動かして床ふきをしてくれたり、子どもの送迎もしてくれます。家庭のことを率先してやってくれるので、いつも感謝の気持ちでいっぱいです。
羽深さんが仕事と育児を両立させるためのポイント
1.ライフスタイルに合わせて仕事ができる環境をつくる
2.仕事の合間に家事・育児の時間を組み込む
3.パートナーと協力して家事と育児を分担する
子どもとの時間をつくるために起業した羽深さん。ご自身のライフスタイルに合わせて仕事ができるのは、ワーキングママにとって理想的な環境と言えるでしょう。
後編では、羽深さんの家事や育児のこだわり、パートナーの協力を得るために心がけていることなどを伺います。