切迫流産の危機からネイリストの道へ。6人の子どもを育てながら自宅サロンの夢を実現! 『ぶたの真珠』オーナー・林 珠里さん#1

美容業界でキャリアを築きながら子育てもがんばっているワーキングママやパパにお話を伺うこの企画。今回ご紹介するのは、6人のお子さんを育てながらネイリストとしての腕を磨き、2年前にご自宅にネイルサロンを開いた林 珠里さん。「子どもに兄弟や姉妹がほしいけれど…」と、2人目や3人目をどうしようかという悩みや、「自宅にサロンをつくってもお客さまを呼べるのか」という不安を解消するヒントになるお話をご紹介します。

お話を伺ったのは…

ネイルサロン『ぶたの真珠』オーナー
林 珠里さん

福祉関係の学校で理論や技術を学び、卒業後は介護の仕事に従事。27歳で結婚し、28歳で第一子を妊娠。出産後にネイリストになるべく専門学校に入学し資格を取得し、ネイルサロンに勤める。2年前よりご自宅にネイルサロン『ぶたの真珠』を開設。

切迫流産の危機をきっかけに、座ったまま作業ができる「ネイリスト」を目指す!

11歳の長男を筆頭に、8歳の次男、6歳の長女、4歳の三男、2歳の次女、0歳の四男(写真上)と、林家は6人のお子さんでいつも賑やか。

――美容の仕事を選択したきっかけは何ですか?

福祉関係の学校を卒業して、「このまま福祉の仕事を続けるんだろうな」と思っていました。介護施設でデイサービスの仕事をしていたとき、切迫流産しそうになってしまったんです。まだ妊娠5か月でしたが、施設長から「危ないから、もう産休に入って」と言われてしまって。

1人目を妊娠しているときから2人目が欲しかったんです。医師から「お腹に赤ちゃんがいる間、この仕事は無理だね」と言われたこともあって、産休中に職場に復帰するかどうかを含めていろんなことを考えました。それで、身体を動かさなくても働けることは何だろう…と悩んだ結果、前から興味のあったネイルの道に進もう!と決めました。

――まったく業種が違う道に進むことで、パートナーから何か言われませんでしたか?

当時は私も夫も福祉の仕事をしていて、福祉の仕事はとても給料が安いんです。普段から「どちらか片方だけのお給料だけでは生活できないね」という話をしていたので、夫も「いいんじゃない」と賛成してくれました。それで妊娠中に学校を探して、出産して半年後から1年間、通って資格をとったんです。

高校生の時にアルバイトをしてコツコツ貯めたお金があったのが役に立ちました。「大事なときのために」という想いで貯金していたお金だったので、「もう後戻りできない!」という気持ちになりましたね。

――学校を卒業してからは、どうなさったんですか?

初めての子どもだったので、「3歳までは自分の手で育てたい」という気持ちもありました。でも、ここで休んでしまうと仕事がなくなってしまうかも…という不安が大きかったので、ネイルサロンに就職しました。

――初めての赤ちゃんで、初めての仕事となると大変だったのでは?

最初に勤めたネイルサロンがものすごく厳しくて、ここで徹底的に鍛えられました。初日からオーナーに「私は林さんに子どもがいることを考慮しません」って宣言されてしまったんです。契約では週2日の出勤だったのですが、毎日3時間の練習がノルマだったので、勤務日以外の日もサロンに出勤していました。出勤した日も練習のノルマがあったので、夜8時まで勤務してから3時間の練習をしていたんですよ。家に着くころにはクタクタでしたが、子どもの世話と家事があって、その頃は2時間くらいしか眠れませんでした。

オーナーは本当に厳しくて、「子どもが熱を出したから休みます」は通用しないんです。夫の実家がある調布まで熱を出した子どもを預けに行って、そこからサロンに出勤することもありました。ここで8か月ほどがんばりましたが、体調を崩してしまって辞めざるを得なくなりました。

――その後は、またサロンに転職ですか?

次に選んだのはママさんネイリストの多いサロンです。シフトを自分で決められるような融通の利く環境で、本当に勤めやすいサロンでした。5人目を産むまで勤務したのでほぼ10年、お世話になりました。

女の子が欲しくて3人目を出産。その後いちばん悩んだ4人目の妊娠

林さんがご自身で使っている仕事道具。お子さんたちにはサロンに使っているお部屋の出入りを禁止しているとか。

――お子さんは全員で6人でしたね?

小学六年生の長男、小学三年生の次男、小学一年生の長女、4歳の三男、2歳の次女、この春に生まれた四男の6人です。男の子が続き、どうしても女の子がほしくて3人目を出産しました。夫とも「これで子どもはいいよね」という暗黙の了解だったのですが、4人目を妊娠してしまって…。産んでいいものか、本当に悩みました。せっかく授かった命ですから私は産みたい。でも夫に「堕ろして」と言われそうで、すごくイヤでした。両親にも相談できないまま、そろそろ病院で検診を受けないと…という時期になって、ようやく夫に打ち明けました。

夫は「反対するわけないじゃない。何ですぐに言ってくれなかったの?」って、言ってくれました。病院でも妊娠を喜んでくれて、「あぁ。産んでもいいんだ」って、やっと思えるようになりました。

その後、実家の母に連絡をしたら、驚いてはいましたが「よかったね、おめでとう! 赤ちゃんが大好きだから、生まれてくるのが楽しみだわ」って喜んでくれました。

――お子さんたちは保育園に預けていたんですか?

長男の時は「他人に預ける」ということにすごく抵抗があって、実家の母に預けていました。でも母から「体力的にきつい」と言われてしまい、2歳になるころから保育園に預けるようになりました。2歳にもなると物心が付いているので、「保育園に行きたくない!」って泣くんですよ。息子が保育園に慣れるまで、私も辛かったですね。

次男は0歳からすぐ保育園に預けるようにしました。赤ちゃんの時から通っているので、すぐなじむんですよね。へんなこだわりを持たないで、早く預ければよかったと思っています

――産休と育休でお休みしている間、お客さまのことは気になりませんでしたか?

ものすごく怖かったです。出産のギリギリまで働いて、産後2か月で復職しましたが、離れてしまう人は離れてしまうんですよね。お客さまに事情を説明すると、「逆にギリギリまでやってもらえるなんて助かる」っておっしゃる方もいらっしゃいますけれど。今、自宅のサロンにいらしてくださる方は、5~6年前からお付き合いのある方がほとんど。いちばん古いと10年以上前からの方もいらっしゃいます。

ネイリストになりたてのころは、「稼がなくちゃ!」という想いが強かったですが、今はお客さまを大切にした施術をしたい…と思っています。気持ちにゆとりができたせいかもしれませんね(笑)

――ご自宅にサロンをつくろうと思ったのはなぜですか?

2番目に勤めたサロンはすごく居心地がよくて、5人目を出産して復職するまで勤めていました。その復職した日にオーナーから「店を閉じる」と言われてしまったんです。その当時はまだ自宅でサロン…とは頭になかったので、次の就職先を慌てて探しました。

前のサロンで私を気に入ってくださったお客さまを連れて転職したものの、新しいサロンのオーナーさんとはどうにも相性が合わなかったんです。通える範囲でほかにサロンがあったら…と探しましたが転職先も見つからなくて。それでお客さまに「自宅にサロンを開いたら、いらしてくださるか」伺ったんです。そうしたらほとんどのお客さまが私の家まで通ってくださる…という返事だったので決意しました。

2番目のサロンのオーナーが、「店を閉じるから、使っていたネイルの材料はほかのスタッフと分け合って自由に持って行って」と言ってくださったんです。なので、お客さま用のイスと棚などを準備するだけで、すぐに自宅でサロンが開けました。


林さん流! 子だくさんでもキャリアを築く3つのポイント

1.実家のサポートなど頼れるものは何でも利用する

2.保育園には子どもを慣れさせるために0歳から利用する

3.日ごろからお客さまとの信頼関係を築いておく

6人ものお子さんを育てながら、ご自宅でサロンを開いている林さん。度重なるサロンの移動に産休と育休による長期休暇を経ても、お客さまに「林さんに施術をしてほしい」と思わせるのは、技術力の高さだけではありません。その場を和ませる穏やかな人柄、周りを包み込むような温かな雰囲気もお客さまを惹きつけている理由でしょう。

後編では6人のお子さんたちに対して均等に愛情を注ぐための工夫、家事や育児の負担をいかに軽くするかなどについて伺います。

撮影/古谷利幸(F-REXon)

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