Beauty Japan 2021「Best Director賞」受賞!富田さんが語る、ママ美容師の可能性と今後

2020年にスタートしてから、人気を集めている美容師・富田恵梨華さんの「おうち美容室」。前編では、「おうち美容室」をコンセプトや、従来の訪問美容との違い、集客・運営方法などを伺いました。

後編では、「おうち美容室」が誕生するまでの経緯や、育児とキャリアにまつわる葛藤、そこから様々な挑戦を経て、Beauty Japan 2021 Best Director賞を受賞するまでにいたる流れと、富田さんの今後のビジョンについてお話をうかがいました。

今回、お話を伺ったのは…

富田 恵梨華さん

シャンプー台をお客さまの家に運んでカットカラーなどを行う訪問美容の新業態、「おうち美容室」の生みの親。現在は、出産育児で仕事をやめたママ美容師の声をかけグループで活動している。Beauty Japan 2021 Best Director賞受賞。

富田さんのInstagram:erika_m.77

「育児」と「キャリア」の両立を考えて生まれた「おうち美容室」

さまざまな葛藤があり出来上がった「おうち美容室」という形態

――ここからは、富田さんが「おうち美容室」を立ち上げるまでの経緯について教えてください。

おうち美容室をはじめた背景には、「ママ美容師になって感じた、働きにくさ」がありました。以前は、大きなサロンで美容師として働いていたのですが、妊娠して、子どもができてからは、周りが忙しい中で産休を取ったり、家事や子守のために働く時間を短縮せざるを得なくなったりして…。お店の方や同僚は良くしてくれたのですが、当時はとても肩身が狭い思いをしていましたね。

――女性の美容師さんにとって、仕事が楽しくなってくる時期と、出産の時期は重なることが多そうですね。

そうなんですよ。「もっと働きたい!」というタイミングと、子どもが産める時期が重なってしまい、悩まれる美容師さんもたくさんいらっしゃると思います。売上はしっかり立てていても、働いている時間が短いため、給与面でも厳しいものがありました。お給料から、託児所など子どもにかかる費用を引くと、2万円くらいしか残らないこともよくあり、働き方について悩んでいましたね。また母親としても、子どもが自分で立ちあがった記念日に居合わせられなかったり、一緒の思い出を作る機会が減ってしまったり…中途半端な気がしていました。

――仕事と育児の板挟みになって、働き方を試行錯誤された結果生まれたのが、おうち美容室ということでしょうか?

そのとき感じたのが「このままでは、自分が輝いて人生を送っている未来像が描けない」という思いでした。子どもの成長を見とどけつつ、憧れだった美容師もやめたくない。そんなときに、自然に思いついたのが、おうち美容室という働き方だったんです

おうち美容室を通してママ美容師の可能性に気がつく

和気あいあいとして時間を過ごせる

――実際にはじめてみて、どんな気づきがありましたか?

ママ美容師の強みについて、感じることがたくさんあったのと、自分の美容師としての在り方について再認識できました。おうち美容室のお客さまには、子どもがいるママさんも多く、気が付かないうちにストレスが溜まっている方や、「誰かに話しを聞いてほしい」と思っている方も多いんですよ。ママ美容師なら、育児という共通点があるので、話に共感やすいなど、お客さんに寄り添そうことができます。あとは、やっぱり、お客さんの笑顔ですね。施術をした方が喜んでくださる様子を見て美容師という仕事の素晴らしさを再認識しました。

――富田さんが美容師になった経緯についても教えていただけますか?

私は、小さい頃くせ毛が悩みだったんです。でも、サロンで綺麗な髪型にしてもらってから、心まで入れ替わったような気がして…。「髪を通して多くの人を幸せにしたい」と思ったのがきっかけですね。そこから美容学校に通い、サロンに勤め始めなした。

――では、その「髪を通して多くの人を幸せにしたい」という夢は、おうち美容室を通して実現できているのですね。

はい。もちろん売上も大事ですが、私の中の軸として一番優先したいのは、「目の前のお客さまの笑顔」なんです。おうち美容室では、そんな自分の原点についても改めて気付かされました。

多くの人が経済的に自立し、子育てしやすい世の中になるように

ママ美容師の働きやすい世の中を目指して

――Beauty Japan 2021では、見事Best Director賞を受賞されましたが、応募の経緯や評価されたポイントについて教えてください。

Beauty Japan 2021への参加のきっかけは、運営からDMをいただいたことです。また「おうち美容室についてたくさんの人に知ってほしい」という思いがあって、応募をしました。Best Director賞については、未来性を評価してもらったと考えています。

――現在は、「おうち美容室」の他に活動をママ美容師コンサルタントとしても働かれているとか?

私と同じように、子どもを生んでから自分のキャリアについて悩んでいる方は多く、少しでも助けになればと思い、活動しています。コンサルティングでは、まず「何について悩んでいるか?」「何を知りたいか?」を教えていただき、私の経験についてお話し、一緒に解決策を見つけていきます。

――ありがとうございます!最後に富田さんの今後のビジョンについて教えてください。

「お客様の笑顔を作る」という軸はぶらさずに、おうち美容室の規模を広げていけたらと考えています。現在は、愛知や岐阜がメインですが、なかなか美容室に行けず困っているかたは全国にいると思います。そんな方々をサポートすべく、ママさんやママ美容師さんとの輪を徐々に広げていきたいですね。


美容師として富田さんが大切にしている3つのポイント

1.お客様の笑顔はもちろん「自分が輝けている環境か?」を常に問い続けること

2.美容師を志した当時の気持ちを忘れないこと

3.自分のやっている事業について、SNSやイベントなどを通して発信していく姿勢

おうち美容室ができるまでについて、余すことなく話してくれた富田さん。その根本には、美容師を志した頃から大切にしている思いや、お客様もそして自分自身も輝いていたいという思いがあり、そこから新しい事業を生み出していることが分かりました。ぜひ参考にしてみてください。

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