自分とお客さんが輝ける場所を探して。たどり着いた「おうち美容室」 美容師・富田 恵梨華さん

施設にお邪魔し、低単価でできるだけ多くの施術を行うものというイメージが強い「訪問美容」。しかし法律の緩和とともに、これまでの常識をくつがえす新しい形態の訪問美容が増えています。美容師・富田恵梨華さんが営む「おうち美容室」もその一つ。育児や介護、病気といった様々な事情があり、サロンに行きたくても行けない人に向けて、サロン同様のサービスを自宅で提供しています。前編となる今回は、「おうち美容室」をコンセプトや、従来の訪問美容との違い、集客・運営方法などの面から徹底分析!その魅力に迫ります。

今回、お話を伺ったのは…

富田 恵梨華さん

シャンプー台をお客さまの家に運んでカットカラーなどを行う訪問美容の新業態、「おうち美容室」の生みの親。現在は、出産育児で仕事をやめたママ美容師の声をかけグループで活動している。Beauty Japan 2021 Best Director賞受賞。

富田さんのInstagram:erika_m.77

これまでの訪問美容の常識を変えた「おうち美容室」

座り心地のよい椅子と、持ち運びのできるシャンプー台

――まずは、人気の「おうち美容室」について教えていただけますか?

「サロンのサービスをおうちでも」がコンセプトの訪問美容です。お客さまのご自宅に美容師が直接おうかがいして、カットやカラーといった施術を行います。一般的な訪問美容は大規模施設などで、一人1000円程の金額でやるもの。お客さまに寄り添った丁寧なサービスというより、数をこなすことが大事なタイプなものでした。しかし、法律の緩和によって訪問美容の対象が「何らかの事情で自宅や施設から出歩くのが難しい人」に変わったことや、私自身が自分にあった働き方を模索する中で、小さいお子さんがいるママや、病気のため美容室に行けない方向けにサロンにいるかのようなサービスを味わってもらえたらと思い、2020年頃からおうち美容室を始めました。

――具体的なサービス内容について教えてください。

私のインスタのリンクに仕事用の公式LINEが載っているので、そちらからご連絡をいただく形が多いですね。そこで、日程を調節させていただき、予定の時間になったら、美容師が直接ご自宅にお伺いします。メニューは、ブリーチなど一部できないものもありますが、カットやカラーなどサロンと変わらない様々なサービスをご利用いただけるのが特徴です。

――メニューが豊富なのですね!他にこだわりがあればうかがえますか?

シャンプー台には、こだわっていますね。普通の訪問美容用のシャンプー台だと、温水をタンクに貯めたものを持っていくのですが、お湯が冷めてしまったり、座りにくかったりするんですよ。なので、多少大きくはなりますが、お客さまのご自宅の水道に直接繋げて、座り心地の良いシャンプー台を使うようにしています。

――お客様からの反応についても教えていただきたいです。

「気持ちの良いシャンプー時間でリラックスできました」といったお声や、「普通の美容室だと、子どもが泣いたり騒いだりしてしまうので、落ち着けませんが、おうち美容室では、理解のあるママ美容師さんがついてくれるので子どもの面倒をみながら、安心して施術を受けられます」「(メイクなど)外出にかかる手間が一切かからずとても楽です!」といった感想をたくさんいただいております。

おうち美容室のいいところの一つは、お客様のニーズに応じて、フレキシブルなサービスができるところなんです。途中、授乳が入っても全く問題なし。美容室と自宅のいいとこ取りをできたらと考えています。

口コミに加え、プレゼントとしても人気の「おうち美容室」

おうちで髪の毛を染めるお客さん

――お客さんはどのような方が多いのでしょうか?

育児や介護、病気などの理由で、家から離れることが難しい方ですね。育休中のママのおうちにお邪魔することも多いです。ママさんの中には結構、「会社に行けない今の時期に、思いっきり自分が好きなヘアスタイルを楽しもう!」と考えている方が多く、明るめのお色に染めたり、パーマをかけたりすることも多く、喜んでいただいています。

――集客の方法についてもうかがえますか?

広告も打っておりますが、口コミが多いですね。一度体験くださった方が、まわりのママ友にも「良かったよ」と勧めてくださるケースが主です。他にも、インスタの検索や、友人へのプレゼントとして送られるもいらっしゃいますね。

――プレゼントもできるのですね!喜ばれそうです。

子供ができた友人に、出産祝いとして、おうち美容室の回数券を送る方や、高齢のお母さまの誕生日プレゼントとして送られる方もいらっしゃいますね。

――実際に、おうち美容室をはじめてどんな手応えを感じましたか?

お子さんの面倒や、ご病気で、サロンに行けない方はたくさんいらっしゃいます。効率面では、床を汚さないために養生シートを貼ったり、シャンプー台を移動させたりと手間がかかりますが、施術後のお客さまの笑顔を見たり、インスタのコメントで「本当に必要なサービス」といった励ましのお声をいただいたりすると、ニーズが高いと考えております。

お客様とママ美容師、みんなが幸せになれる事業形態を実現!

シャンプー台を運ぶ富田さん

――「おうち美容室」という名前は、富田さんオリジナルなのでしょか?

そうです。「訪問美容」よりも、気軽で親しみ安いネーミングはないかと思い、インスタで名前を募集させていただき、悩んだ結果、おうち美容室に決定しました。

――どのような形態で、運営されているのでしょうか?

2020年は私が一人で、試行錯誤しながら施術を行っていました。しかし、いろいろなお宅にうかがいっているうちに一人では難しくなり、私と同じママ美容師さんにお声がけして、現在は3人体制でやっております。

――先程のお話で、訪問美容だと1000円くらいのカットを数多くこなす、とのことでしたが、おうち美容室の価格帯はどのようなものなのでしょうか?

サロンと同じお値段にプラスして、出張費を請求しております。おうち美容室は、お客様と同時に、一緒に働くママ美容師さんにとっても良いものにしたいと考えております。ですので、還元率は7割と高めに設定したり、誰かが急用が入ってもお互いにカバーできるような体制にしたりと、働きやすい環境づくりにつとめています

――他に運営面で、おうち美容室の良い点があれば教えてください。

美容師さんがフリーランスとして仕事をする場合、シェアサロンに家賃を払ったり、自分のサロンの設備費や家賃が大きな負担になったります。おうち美容室では、そうした固定費がほとんどかからないので、美容師さんにとっても大きなメリットがあるんです。その分、お客様によりリラックスしていただけるアイテムを取り入れるなど、サービスに力を入れることができ、好循環を回すことが出来ます。お客様と美容師、両者にとってWin-Winな事業形態だと考えています。


「おうち美容室」が人気となった3つの理由

1.シャンプー台へのこだわりなど、サロンクオリティを自宅で味わえる

2.サロンを変わらない豊富な施術メニュー

3.担当するのは、ママ美容師。子育てや人生経験も豊かで安心できる

とってもユニークな「おうち美容室」。詳しく内容を聞いていくと人気の理由に納得します。後編では、富田さんがどのようにして、おうち美容室を作り上げたのか、また今後のビジョンについてお話をうかがいます。

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