【2023年度最新版】美容師国家試験とは? 実施要項を紹介|合格後に必要な免許申請手続きとは
美容師になってたくさんのお客様のヘアスタイルを美しくしたい、と考えている人は多いのではないでしょうか。しかし、美容師として活躍するには、国家試験に通って免許を取得しなければなりません。
そこで、今回は美容師の国家試験について、内容や合格するための基準などをお伝えします。過去の合格率や第48回試験の要項も紹介するので、受験時の参考として役立てていただければ幸いです。
また、2022年度に開催された第46回試験の詳細などをお伝えしている下記の記事も、ぜひあわせてチェックしてください。
【2022年度最新版】美容師国家試験はどんな内容? 合格率や受験資格と併せて解説!
美容師の国家試験とは
美容師として就職するためには、国家試験をクリアして資格を手に入れなければなりません。そこで、まず、美容師の国家試験とはどのようなものなのかを確認していきましょう。
試験の要項
美容師の国家試験は、年度ごとに秋期(7~9月頃)と春期(1~3月頃)の年2回、公益財団法人理容師美容師試験研修センターによって実施されます。実技試験と筆記試験があり、両方合格すれば美容師免許を取得することが可能です。
なお、どちらか一方のみ合格した場合は、次回実施される試験で合格したほうの試験が免除されるという優遇措置があります。
試験の合格基準
美容師国家試験の実技と筆記では、どの程度で合格になるのでしょうか。それぞれの合格基準を見てみましょう。なお、内容は変更される可能性もあるので、最新情報は理容師美容師試験研修センターの公式サイトでチェックしてください。
実技試験
実技試験は減点方式で行われます。「衛生上の取扱試験」の減点が20点以下、かつ「基礎的技術試験」の減点が第1課題(カッティング)・第2課題(オールウェーブセッティングまたはワインディング)ともに30点以下であることが合格の条件です。
なお、第2課題は回ごとに変わるほか、より時代の流れに合った試験を行うため、科目の見直しが行われる可能性があります。変更された場合は、新しい内容で備えを行いましょう。
実技では施術の技術だけでなく、業務を衛生的におこなえるかを審査する「衛生試験」もあります。頭髪や手指の清潔さ、作業衣や履物などの身だしなみ、用具の衛生状態や収納方法などをチェックされ、それぞれの項目で10~30点の持ち点で審査されます。
技術が合格点でも衛生試験で不合格となることもあるため、しっかり準備することが大切です。
筆記試験
筆記では、55問中60%以上の正答率が必要とされています。
そのうえで、関係法規・制度及び運営管理、公衆衛生・環境衛生、感染症、衛生管理技術、人体の構造及び機能、皮膚科学、香粧品化学、文化論、美容技術理論という、出題される全課目において無得点でないことが条件です。
免除について
理容師免許を所持している人が、美容師の免許を取るために筆記試験を受けることも可能です。その場合は「美容技術理論」のみ受ければよく、12問中7問以上の正答で合格になります。
理容師と美容師のダブルライセンスを持っている人も増えており、より活躍シーンが広がるため、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。以下の記事も参考にしてください。
理容師と美容師の免許を両方取得したい!ダブルライセンスをかなえられる学校とは
美容師の国家試験の受験資格
実は、美容師の国家試験を受けるためには条件があり、その受験資格を満たした人でないと試験を受けられません。
受験資格は、美容師養成施設に平成10年4月1日以降に入学した人の場合、昼間課程2年以上・夜間課程2年以上・通信課程3年以上のいずれかを修了していることが条件です。
また、平成10年4月1日より前に入学していた場合は、昼間課程1年以上・夜間課程1年4カ月以上・通信課程2年以上のいずれかを修了した後、平成14年3月31日までに1年以上の実地習練を経た人が対象とされています。
美容師の国家試験の合格率はどのくらい?
美容師の国家試験は、どのくらいの人が受験し、合格率はどのくらいあるのでしょうか。過去10回(第38〜47回)の受験者数・合格者数・合格率は以下の通りです。
奇数回のほうが合格率が高い理由
上記の表からわかるように、合格率は変動が激しく、偶数回のみでは50~60%前後、奇数回のみでは85%以上と、春期(奇数回)のほうが受験者数が多く合格率も高い傾向です。
というのも、春期は理容師・美容師養成施設の昼間課程卒業生が受験し、秋期には通信課程の学生が主に受験する傾向があります。秋期に不合格だった人が春期に再挑戦する場合が多いのも、変動が起きる理由の1つです。
国家試験を突破するためのポイントとは?
衛生試験や筆記試験の準備をしっかりおこない、実技試験に向けて練習を重ねて臨む試験ですから、できれば一発合格を目指したいところです。
国家試験を突破するために必要なことをチェックしてみましょう。
1. 万全な体調で臨めるようにする
試験日までに準備や練習を完璧にしていても、当日体調が悪かったり不調を感じていると、十分なパフォーマンスを発揮できない可能性が高くなってしまいます。
体調が優れないことで頭がぼーっとしてしまったり、実技に集中できなかったりしたら、せっかくの努力が実を結ばずに終わってしまうことも。試験当日は万全な状態で臨めるように整えましょう。
2. 実技の審査基準を頭に入れておく
実技試験は回ごとに内容が変わることにも注意が必要です。それぞれの課題に対する審査基準をしっかりと覚えておき、それに向けて練習をすることが大切。
たとえばカッティングの実技では、毛髪の長さの過不足・切り残しやモデルウィッグの適合状況・禁止事項の有無ではそれぞれ50点の減点。せっかくの準備が台無しにならないように要項や禁止事項はしっかりと確認しておきましょう。
3. 衛生面・道具の扱いにも気をつける
衛生管理の知識や身だしなみなどを審査される衛生試験も実技試験と同じくらいの緊張感をもって臨みましょう。
チェック項目の一つである用具類の審査では指定の用具を揃えるだけでなく、一部用具の表示や収納方法、除菌用ウェットティッシュの成分など細かい規定も多いため、審査マニュアルにしっかりと目を通し、ぬかりなく準備しておくことが大切です。
第48回美容師国家試験の実施要項
ここからは、例として、令和5年度の8月に開催される第48回美容師国家試験の要項を紹介します。
なお、第48回美容師国家試験の申し込みは令和5年5月29日(月)で締め切られているため、申し込みはできません。次回の募集は令和5年11月6日(月)から願書が配布され、申し込みの締め切りは11月28日(火)、実技試験開始日は令和6年2月1日(木)です。
実技試験日・開催地
第48回試験の実技は、令和5年8月1日(火)から、滋賀県と高知県を除く各都道府県で開催されます。そのため、滋賀県および高知県在住者は、他の都道府県で受験しなければなりません。なお、基礎的技術試験の第2課題はオールウェーブセッティングであることが公表されています。
筆記試験日・開催地
筆記試験は、令和5年9月3日(日)に、北海道・岩手県・宮城県・東京都・石川県・愛知県・大阪府・岡山県・広島県・愛媛県・福岡県・鹿児島県・沖縄県の13都道府県で実施されます。
場所は開催回によって異なるため、自分が受験する際はどこで受けられるのか必ず確認しましょう。
受験料
試験の受験料は2万5,000円です。ただし、免除により実技または筆記のみ受験する場合、半額の1万2,500円で受けられます。
合格発表日
合格発表日は、令和5年9月29日(金)です。当日の午前9時に、合格者の受験番号が理容師美容師試験研修センターに掲示されるほか、センターのホームページからも確認できます。遠方の人はインターネットを利用すると便利でしょう。
また、合否に限らず、同日に受験の申し込み者全員に結果が郵送されます。
免許申請手続きとは
試験合格後には免許申請の手続きをし、美容師名簿に登録されることで晴れて美容師として業務を開始できます。試験に合格しただけでは免許を取得したことにはならないので、注意しましょう。
美容師免許申請の手続きに必要なことを紹介します。
免許を受けずに美容師の仕事をすると無免許営業になる
まず、美容師免許の申請手続きを忘れるとどうなるかを紹介します。
美容師の免許を持たずに美容師として営業することは法律で禁止されています。違反すると30万円以下の罰金に処されるほか、悪質と見なされれば今後美容師の免許を取得することができなくなる可能性も。
申請の手続きは決して難しいものではありません。試験に合格したら、すみやかに免許を申請しましょう。
申請時に必要な書類とは
試験に合格して初めて免許を申請するときに必要な書類は以下の5種類です。
免許証に旧姓又は通称名(外国籍の方)の併記を希望する場合に限り、以下のどちらかの書類も必要です。
・その氏名が記載されている戸籍抄(謄)本(6カ月以内に発行されたもの)
・その氏名が記載されている住民票(6カ月以内に発行されたもの)
免許申請書を紛失したときは
記入して提出が必要な書類や払込票は合格通知書に同封されますが、万が一紛失してしまっても慌てることはありません。
各申請書は、理容師美容師試験研修センターのサイトからダウンロードすることができます。また郵便局の払込票を紛失した場合は、郵便局に備え付けの「払込取扱票」を使用して払込みも可能。受領証または利用明細票の原本は申請書の裏面に貼り付ける必要があるため、失くさないようにしましょう。
公益財団法人理容師美容師試験研修センター|各種申請書類ダウンロード
どこに送付すればいいの?
申請書類一式の送付先は以下です。
〒135-8507
東京都江東区有明3-7-26
公益財団法人 理容師美容師試験研修センター
新規免許申請 係
すべての書類をひとつの封筒にまとめましょう。封筒の大きさに指定はなく、折りたたんでも大丈夫です。重要な個人情報や収入印紙も含まれるため、必ず簡易書留で送付する必要があります。
美容師として働きたいなら国家試験への合格が必須!
美容師として働くための免許は、国家試験に合格しないと手に入れることができません。そして、国家試験を受けるためには、専門学校などの養成施設で所定の課程を学ぶ必要があります。
受験資格や試験の内容、合格基準なども知ったうえで、対策をしっかりおこなって合格し、立派な美容師を目指しましょう。
引用元
理容師・美容師実技試験審査マニュアル|公益財団法人理容師美容師試験研修センター
第48回美容師国家試験受験案内|公益財団法人理容師美容師試験研修センター
理容師免許・美容師免許の概要|公益財団法人理容師美容師試験研修センター
美容師国家試験合格者の免許申請について
美容師法| e-GOV法令検索
免許に関する申請手続きについて|公益財団法人理容師美容師試験研修センター