経営するために大事なのは「再現性」と「仕組みづくり」。廃業の経験から導き出した成功法【エステサロン経営者 佐々木沙織さん】#1

福岡県天神市で、ハーブピーリング専門店「エミルカ EMILUCA」を経営し、FC(フランチャイズ)4店舗を全国に展開している佐々木沙織さん。実は、経営は二度目。一度目の独立では、体を壊したことで業界を離れることを余儀なくされた佐々木さんが、どういった経緯でエステ業界に戻り、成功を納められたのでしょうか?

前編では、一度目の独立から、二度目のサロン開業に至るまでの経緯や集客の方法を詳しく伺います。

お話を伺ったのは…
エステサロン経営者 佐々木沙織さん

18歳で美容業に就職後、数々の有名エステサロンでの勤務を経験し、24歳で独立。天神市内のマンションの一室でサロンを構えながら、プレイヤーのほか、専門学校の美容講師としても活動していたところ、多忙により体調を崩してサロンを廃業。その後は、飲食店を経営する夫の手伝いでマーケティング業に着手するなどを経て、二度目の独立を決意。現在、直営店は1店舗、FC店舗は3店舗と今までの経験を活かして徐々に拡大中。

一度目の独立で「自分にしかできないこと」を追求するあまり、廃業を経験

スタッフさんが問診している様子。再現性のあるスタッフにより、技術には定評が

――まず、現在運営している店舗について教えてください。

サロン顧問1人、マーケター1人、私の計3名で株式会社エミルカを運営しており、福岡県天神市にて直営店1店舗と全国でFC4店舗を経営しています。

FC店舗は、千葉船橋店・新宿店・熊本店まで展開中です。

――以前、一度エステ業界を離れたとか。現在のサロンを開業するまでの経緯をお聞かせください。

一度目の独立は、24歳くらいの頃。当時は「自分にしかできないこと」がしたくて、いろいろな仕事をしていました。エステティシャンとしてはもちろん、通っていた母校の講師や個人的に継続的に売上を獲得できる方法を個人的に教えるなど…。独立したとき、天神市のマンションの一室でサロンも構えていましたが、出張やエステ以外のご依頼もあり、外に出て仕事をすることが多かったですね。

ところが「自分にしかできないこと」を追求するあまり、体を壊してしまって。それから1〜2年働くことができなくなって廃業することになったんです。

そのあとは夫が営んでいた飲食店の集客を手伝うことに。マーケティングを担当し、アフィリエイトについて勉強しました。

結果的には集客に成功し、マーケティングという仕事にやりがいを感じるようになっていて、美容業界に戻ることは全く考えていなかったのですが…コロナ禍によって起こった出来事がきっかけで二度目の開業を考え始めました

――どんな出来事だったのですか?

飲食店にアルコール提供の自粛要請が出たこと。しばらくアルコールが提供できなくなったので、テイクアウトができるよう方向性を変えてなんとか繋いでいましたが、今後、アルコールを提供できない中で売上をキープしていけるのか、不安を感じていました。この出来事をきっかけに、自分の身は自分で働いて守るしかないんだなと痛感。私ができることってなんだろうと考えたとき、やはり「美容」しか浮かばなくて…。

一度目の独立のときと違ってマーケティングを経験していましたし、エステティシャンとして働いてきた経験もある。今度は「自分のため」ではなく、家族のために、誰かを守ることができる事業をエステ業界で始めようと決意したんです。

「再現性」と「仕組みづくり」を軸にして、二度目の独立を決意

「再現性」にこだわったハーブピーリングの施術はサロンの看板メニューに

――二度目の起業は、最初から「経営」にフォーカスしていたのですね。

初めから商売として成り立たせるように意識しました

一度目は「自分にしかできないこと」を追求するあまり、サロンワーク以外にも欲張って足を掬われてしまったのが敗因。その経験から経営で成功するには、当時の私が目指していたことの正反対の誰もができる・共有できる「仕組みづくり」が必須で、「再現性」を念頭におくことが必要だと考えました。

――その「再現性」はどのように反映させましたか?

ハーブピーリング専門店としてオープンしたことです。

「再現性」がかなうエステサロンを立ち上げるために、向こう10年くらいのスパンで伸び続けている美容キーワードを片っ端から調べ、市場をリサーチ。その中から、教育期間が短期間で済み、再現性が見込め、さらにはお客様からの満足度が表面上で得られて次回予約が必ず取れてリピートに繋がる…と考えると、「ハーブピーリング」がベストだったんです。

小顔矯正やボディマッサージって手技の格差が起きやすいので、必ずみんなが再現することって難しいんです。

それから毎日の施術人数を想定したうえで単価を決めて近隣のライバル店を洗い出し、良い共通点だけを盗んで自社のサロンに活かしました。「エミルカ EMILUCA」を本格的に立ち上げる前に、テストとして市場調査をしたところ、一定の需要が見込めそうだったのですぐにGO。当時はサロンも少なかったので運やタイミングも良かったと感じます。

――テストとして、というのは?

株式会社エミルカを設立する前に、「VIVI」というサロンで試運転をしていたんです。一番重要なのが、「再現性」がとれるのか、と。

無事売上が立てられることが分かったので株式会社エミルカを立ち上げ、ハーブピーリング専門店「エミルカ EMILUCA」としてオープンすることに。その後、すぐにスタッフを一名採用し、私と同じ技量が再現できるか、テストも並行して行いました。その当時から顧問とマーケター、私の3人で手がけてきました。

――順調に開業したようですが、大変だったことは?

「VIVI」時代は実績も無いに等しかったため、モニターを募集して無料カウンセリングを集客のために行ったのですが…最初はうまくいかなかったです。実績がなく、選ぶ際の決め手がなかったからなのか、当日に連絡がとれなくなったり、料金をもっと安くしてほしいと言われたりと、思うように進まない時期がありました

それでも今まで自分が重ねてきた技術は胸をはれるものでしたし、諦めずにモニターを依頼をしていたら、だんだんお客様も定着し始め、「エミルカ EMILUCA」の立ち上げに踏み切ることができたんです。

どのサロンよりも多く、お客様の施術のビフォー・アフターの実績を挙げられたことがご来店いただけるようになった理由だと感じます。

――サロンの実績が集客に繋がったのですね。

あとは入念なリサーチが良かったのかなと。ご来店いただいたお客様に必ず「なぜ当店をご利用いただいたのか」「どこが良かったのか」などヒアリングをさせていただきました。数あるサロンの中から選んでくれた理由は、ご来店いただいたお客様が一番知っているはずなので。

結果的にお客様のご意見やご感想を反映したサービスにレベルアップできたことで、口コミも広まり、オープン2ヶ月目にして満席になってしまうほどになりました。今考えれば地に足をつけて準備してきたこともありますが、運とタイミングも絶妙だったのかと感じます。


前編では、一度目の開業で学んだことを活かした二度目の開業までの道のりを伺いました。後編はFC店舗でのブランド力と売上をキープできている秘訣について詳しくお聞きします。

取材・文/東菜々(レ・キャトル)

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Salon Data

ハーブピーリング専門店「エミルカ EMILUCA」
住所:福岡県福岡市中央区渡辺通 5丁目24-30 東カン福岡第一ビル1014
電話:080-6221-7044
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