リピーターが多い理由は? ネイリスト・平井さんに学ぶ「愛される接客術」【フリーランスネイリスト 平井彩香さん】#2
ブレない技術と明るい人柄で多くのリピーターを抱える、ネイリストの平井彩香さん。独立後も学ぶ姿勢を忘れない平井さんは、他のサロンにはないメニューを提案し、施術をしていないときでも常にお客様ファーストでいるとのこと。
後編では、毎月80人〜100人のネイルを担当している平井さんに、独立してからの集客の方法や今後の目標について伺っていきます。
教えてくれたのは…
ネイリスト・平井彩香さん
服飾の専門学校を卒業後、アパレル企業の販売員として就職。26歳でネイリストを目指し始め、28歳のときに池袋のサロンでデビュー。その後銀座のサロンに勤務しながら、シェアサロン「GO TODAY SHAiRE SALON」でも活動し、2022年からはフリーランスのネイリストとして活躍している。
「友達が行っているサロン」の影響力を使ってアプローチ
――独立してからはどのように集客をしてきましたか?
以前から担当しているお客様が多いのですが、強いて言うならInstagram経由の口コミです。お客様が自分のInstagramのストーリーズで私をメンションしてくれて、そこから私のアカウントに飛んでくる。そこで実際に自分の知り合いがフォローしているのが見えるので、来客につながったりしています。「友達が行っているサロン」の影響力は、とても大きいんだなと感じています。
Instagramであればどんな人が行っているサロンなのかもわかりやすく、メッセージのやりとりも密にできるので、お客様からも気軽に問い合わせができて嬉しいとの声をいただいています。
目指すはテーマパーク! リピーターの心つかむ接客術
――しばらくは新規のお客様をとっていないそうですが、その理由を教えてください。
一番は「また行きたい」と思ってくれるお客様を大事にしたいからです。規模は大きいんですけど、テーマパークって新規のお客様じゃなくて、ずっとリピーターの方が来てるんですよね。だから私もそんな風に思ってもらいたい。「また行きたい」と思ってくれる人で予約を埋められたらと思っています。
それから爪へのダメージが少ない「フィルイン(ジェルネイルを全てオフせずにベースジェルを一層だけ残す方法)」という少し高度な技術を導入しているので、予約が取れずに他のサロンに行ったことで爪が薄くなってしまう場合もあります。同じ技量を持つ方に施術してもらえればいいのですが、お金をかけて爪をボロボロにはして欲しくないなと思っていて。それを防ぐために、リピーターのお客様が予約を取りやすいようにしています。
――実際にお客様と会っていないときも、コミュニケーションを取っていたりしますか?
常にしてますね。デザインの相談もあるんですけど、お直しについての連絡もあります。今後私自身が改善していくためにも、「何で割れちゃったの?」「何してたら浮いちゃったの?」とちゃんと聞くようにしていて。施術以外でのコミュニケーションの方が濃いかなと思います。
実際に独立するまでは、ネイルサロンだけでなく美容院、まつげサロンなどに通ってみました。一通り網羅したときに、「お直しをしてほしい」ってかなり言いづらいなと感じたんです。けどやっぱりお互いのためにも伝えてもらえたほうがいいなって思ったので、もしお直しが必要になったときは遠慮せずに言ってもらえるように、施術中から何でも伝えやすい雰囲気をつくっています。
――平井さんはリピーターのお客様が多いですが、その秘訣を教えてください。
「予約がしやすいか」ということを大事にしているので、調整30分、調整1時間というメニューを作っています。カウンセリングの時間として使うこともあるのですが、大体はお直しの予約に使っていて、事前にネイルの写真を送ってもらってから「この程度なら30分で大丈夫だよ」などと伝えています。
普通はネイルが浮いちゃったり、割れちゃったりしたら、もう行かないというお客様も多いと思うんです。でも私の場合は施術を通して信頼関係ができているので、みなさん連絡をしてきてくれます。ネイルをしたら終わりではなく、その後もお客様のケアをする。このメニューがあることで、ちょっとしたお直しの予約も入れやすくしています。
もちろん施術中には、ネイルのケア方法や注意すべきことをしっかり伝えていて。みなさんちゃんと守ってくれるので、そのなかで割れたり浮いちゃったりしたら、絶対に相談してくれるんです。その関係性ができていますね。
――独立してからは、他のネイルサロンに行ってみたりしていますか?
予約の仕方や施術、お出迎えからお見送りなど、勉強も兼ねてフットネイルだけサロンでやってもらっています。カウンセリングシートの内容はサロンによって違うので、とても勉強になるんです。けれどやっぱり施術以外の時間までケアしてくれるところはない。だからそれは自分の売りにしようと思いました。
何事も始めるのに遅いことはない!
――それでは最後に、今後の目標を教えてください。
一番の目標は、シェアサロンを抜けて自分のサロンを構えることです。それと視野を広げるためにも、短期でいいので海外でも学んでみたいなと思っています。
今はTikTokLIVEをよくやっていて、終わった後はYouTubeにアーカイブをアップしているんです。例えばこれらの動画は、もし今後自分のサロンを開くことになったときに「次までにこれをやっておいてね」とスタッフに共有できる。少しずつですが下準備はしていますね。
それから実は母がフェイシャルエステをやっていて、私がネイルスクールに通う前にその検定を観に行ったことがあったんです。そのとき大体30代〜50代の方がいたんですけど、そのなかに1人だけ70代の女性の方がいて。
そのときはネイリストとして始めるのも遅いなと思ってたから、どうしようと思ったときだったんですけど、すごくキラキラした目をしてステージの上でこう話していたんです。「これから私は実技に入っていきます。人生この先あと何年あるかわかりませんが、何事も始めるのに遅いことはありません」と。
当時私はまだ20代なのに何を悩んでいるんだろうと思いました。このままアパレルを続けるか、ネイリストとして挑戦してみるか悩んでいたので、その女性の存在はとても大きかったです。
――その女性の言う通り、何事も挑戦するのに年齢は関係ないですよね。
そうですね。実際に自分が独立するとは思っていなかったし。思い返せば怒涛の日々でしたが、これからも自分らしく頑張っていこうと思います!